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【特集】ESG的には罰点で売り浴びせられても、拾う神に徹して稼ぐ技

すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 みねおかさんの場合-第2回

登場する銘柄
ネクステージ<3186>、アインホールディングス<9627>、プレサンスコーポレーション<3254>、日本航空<9201>、ハブ<3030>、日本製鉄<5401>

取材・文/真弓重孝(株探編集部)、福島由恵(ライター)

イラスト:福島由恵
■みねおかさん(ハンドルネーム・50代・男性)のプロフィール:
2023年6月に55歳で公務員を辞め、目標にしていたFIRE(経済的自立と早期リタイア)を達成する。株式投資を始めたのは03年からで、当初は株主優待目当てだった。しかし、14年にマイホームのローン完済したのを機に割安株狙いに変更。暴落時に買い向かい、その後は基本、ホールドし続ける投資スタイルを確立させていく。現在の運用資産は約2億3000万円。家計に役立つ優待銘柄を中心に、家族4名義分の口座を用いて銘柄を保有し、一口座当たりの保有数は約130銘柄に。自宅取得と同時に賃貸駐車場も得ており、この不動産収入も家計や投資の種銭づくりに貢献している。

第1回記事「上げ相場では開店休業中でも、資産2億円超え&FIRE達成の訳」を読む

みねおかさん(ハンドルネーム)は、最近、中古車販売を展開するネクステージ<3186>に買い向かった。

ネクステージは同業のビッグモーター(東京都多摩市)による不正発覚を契機に注目され、その後、過去に不適切な事案があったとの報道を受けて、株価が大きく売り込まれる逆風にさらされた。

ネクステージ株に買い出動したのは、今年2023年9月13日。社長の辞任で株価がストップ安となったその翌日のタイミングを狙った。

普段はバイ&ホールド戦略ですぐには利確しないが、ネクステージの場合は買いを入れた翌々日の15日に手仕舞い、2日で11%のリターンをさらった。

前回記事で触れたように、みねおかさんが買い出動するのは大暴落のタイミングで、それ以外は基本的に開店休業のスタンスを貫く。

ただ、完全休業としないのは、みねおかさんの場合、相場の暴落時以外でも、個別銘柄で事件や不祥事などの悪材料で株価が急落した際、「イケる!」と思った銘柄には買い向かうケースもあるからだ。

今回は、個別の悪材料狙いの技を見ていこう。

■ネクステージの日足チャート(23年7月26日~)
【タイトル】

不祥事発覚や事件・事故が起きた後の一時的な反発を狙う

ビッグモーターの不祥事関連で、ネクステージに買いを入れたのは、社長が辞任しても、この時点では会社が傾くまでには至らないと見たためだ。

同社は2015年11月期以来、8期連続で2桁の増収営業増益を続けており、有利子負債の水準も自己資本とほぼ同水準で財務基盤が脆弱なわけではない。

こうした業績および財務基盤は、疑義を受けたような行為も関係した上でもたらされた可能性はある。その不透明感は拭えなかったが、不祥事企業の株価はトップ交代がカタリスト(株価変動のきっかけ)になって反発することも、長年の相場観察で何度も見てきた。

ESG(環境・社会・企業統治)の視点では、「ネクステージの行動は限りなく黒に近いグレー」と機関投資家は判断して保有株を手放す動きに出るかもしれない。

一方で、個人投資家の中には不祥事発覚後の反発狙いで買いが入ることもあり得るとも読み、世間で不祥事が話題になっているうちは、しばらくボックス圏で株価が動くと想定していた。

それもあり、ボックスの底値あたりに株価が近づくたびに買い増しをしながら、気長に上昇を待つプランを持っていた。ところが、予想より大幅に早い反発の動きとなったため、ここは短期勝負で幕引きとした。

その判断は当たることに。ネクステージは10月2日に23年11月期の業績見通しが下方修正されると、株価は続落となっている。

■『株探プレミアム』で確認できるネクステージの業績修正の長期履歴【タイトル】

調剤薬局のアインHDでは、常務逮捕事件ですかさずエントリー

経営トップや従業員の不祥事、事件、事故等のネガティブ材料に注目して取引したのは、これまでもある。

冒頭のネクステージの買い入れと同日の9月13日、公契約関係競売入札妨害の疑いで常務らが8月末に逮捕された調剤薬局首位のアインホールディングス<9627>にも買い向かっている。

アインHD株には、8月末の逮捕報道で大きく下げ、再び2番底をつけたところで買いに入る。業績は2001年4月期から連続増収で、財務面も有利子負債はわずかで自己資本比率も足元では50%を超えて安定していることもあり、みねおかさんは長期で株価の回復を待つ姿勢でいる。

■『株探プレミアム』で確認できるアインHDの財務状況の長期推移
【タイトル】

分譲マンション中堅のプレサンスでも、社長逮捕事件を機に買い向かう

そのほかにも19年のオープンハウス<3288>の傘下の分譲マンション中堅、プレサンスコーポレーション<3254>がある。

同社は、19年12月、大阪観光大学などを運営する学校法人明浄学院の土地売買契約をめぐる業務上横領事件において、罪に問われた同社の山岸忍・前社長の逮捕が悪材料となる。

最終的に山岸氏は無罪になったものの、逮捕翌日の同社株はストップ安に襲われ、値が付いた翌々日は、直近終値から約40%も下落した。みねおかさんは、この日に買い向かうと1年ほど保有、暴落前の水準に戻ったところで利益を確定した。

このケースでも、財務の健全性やネガティブ材料がビジネスの根幹をゆるがし倒産に追い込まれるほどの大ダメージにまで発展しないという要素があるのかはチェックした。

プレサンスの場合はこう考えた。「不正の疑いをかけられたのはあくまでも社長個人であり、いずれ人々は事件のことは忘れて関心は業績へと向かう。そこで、同社の収益基盤の強さが確認されれば、株価は復活路線に入る」。この見立てから、落ちてくるナイフを掴みにかかった。

■プレサンスの日足チャート(19年6月13日~21年6月7日)
【タイトル】

不祥事発覚は予測不能だが、事前想定ができる悪材料もある

みねおかさんが個別材料で注目するのは、こうした不祥事や事件、事故以外にもある。その材料とは、不祥事や事件、事故のように事前想定がしにくいものではなく、ある程度、悪材料の発生が見通せるものだと言う。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



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