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3800 ユニリタ

東証S
1,941円
前日比
+10
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PTS
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業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.4 1.28 3.50
時価総額 155億円
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決算発表予定日

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ユニリタ Research Memo(4):17/3期は技術支援サービスの落ち込み等により、会社予想を下回る減収減益


■決算動向等

1. 2017年3月期決算の概要
ユニリタ<3800>の2017年3月期の連結業績は、売上高が前期比3.6%減の6,941百万円、営業利益が同5.0%減の1,455百万円、経常利益が同4.9%減の1,555百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同26.7%減の1,056百万円と減収減益となり、会社予想を下回る着地となった。

「データ活用」及び「システム運用」が想定よりも低調に推移したことが減収要因となった。注力する新規・成長事業分野の立ち遅れやクラウド化の進展等により製品販売に伸び悩みが見られたほか、上期に自社製品販売への比重を高めた反動から、役務提供型の技術支援サービスが大きく落ち込んだ。また、2016年3月期まで順調に拡大してきた子会社による「その他」も全体として横ばいにとどまった。一方、「メインフレーム」は縮小傾向が続いているが、減収率は想定よりも小幅に収まっている。

したがって、会社予想を下回った要因は、1)技術支援サービスの落ち込み、2)新規・成長事業分野の立ち遅れ、3)クラウド化に伴う販売形態のシフト(売切り型から利用料型への移行)※の大きく3つである。特に、1)については、下期に巻き返しを図ったものの、当期業績への寄与は限定的となった。

※従来の売切り型(製品代金の一括支払い型)から利用料型(利用に応じた課金型)への移行により、契約時における案件ごとの売上高は5分の1程度に縮小することになる。ただし、利用料型は将来にわたって安定的な収入になるとともに、案件数の拡大に伴って徐々に積み上がる収益構造となることから収益基盤の強化につながる。


利益面でも、減収による収益の下振れに加えて、順調に立ち上がってきた子会社(ユニ・トランド)などに対する先行費用が利益を圧迫して営業減益となり、営業利益率も21.0%(前期は21.3%)と僅かに低下した。また、親会社株主に帰属する当期純利益の減益幅が大きいのは、前期における一時的な税金負担の軽減効果(合併に伴う繰越欠損金の引き継ぎによるもの)がはく落したことが要因である。

財務面では、総資産が「現金及び預金」の増加等により前期末比8.9%増の13,624百万円に拡大した一方、自己資本も内部留保により同6.8%増の10,700百万円に積み増したことから、自己資本比率は78.5%(前期末は80.1%)と高い水準で推移している。

事業別の業績は以下のとおりである。

(1) 「データ活用」
売上高が前期比6.8%減の2,100百万円、営業利益が同10.8%減の93百万円の減収減益となった。そのうち、「製品売上」は同6.5%増の344百万円、「技術支援サービス」は同18.1%減の774百万円、「保守サービス」が同0.4%減の981百万円となり、とりわけ「技術支援サービス」の落ち込みが大きかった。「製品売上」は、データ活用やデータ連携ニーズを捉えた自社ETL製品の販売が好調であったほか、パートナー(販売代理店)との協業によるソリューション作り(協業モデル)※も業績に寄与した。ただ、データ分析やその結果を可視化する自社BI製品については、製品単独での提案にとどまったことが影響して下期にかけて減速。クラウド化に伴う販売形態のシフトも「製品売上」の伸びを抑制する要因となっている。他社製品群についても、戦略的な入れ替えを進めたことで、「製品売上」及び「技術支援サービス」がともに縮小したが、採算性は高まった。一方、「技術支援サービス」が大きく落ち込んだのは、前述のとおり、収益力強化の施策として、上期に自社製品販売への比重を高めるため、パートナーによる販売強化策を取ったところ、「製品販売」に付随する「技術支援サービス」に対する営業活動が不足したことが原因である。下期に入り、技術者の活動量を「技術支援サービス」にシフトして巻き返しを図ったものの、顧客の予算確保に時間を要したことや検収が期を跨いだことなどにより、当期業績への寄与は限定的となった。

※(株)ゴールデンマジックと共同企画した企業向けeラーニング・ナレッジシステムなど(後述)。


(2) 「システム運用」
売上高が前期比3.9%減の2,146百万円、営業損失は308百万円(前期は283百万円の損失)と減収となり、損失幅が拡大した。そのうち、「製品売上」は同4.2%減の474百万円、「技術支援サービス」は同15.9%減の909百万円、「保守サービス」が同16.2%増の762百万円となり、「データ活用」と同様、「技術支援サービス」の落ち込みが大きかった。「製品売上」は、上期に好調であった運用自動化分野が下期で伸び悩んだほか、帳票分野では大型マイグレーション案件(メインフレームからの移行)の一服感やクラウド型サービスへのシフトなどから全体として低調に推移した。一方、ITサービスマネジメント分野やBPM分野では、コンサルティングによる上流から「製品売上」へつながる案件が増えてきており、グループ一体となったソリューションの形(デジタル変革のスムーズな実現を支援)が見えてきた。また、「保守料」が増えているのは、クラウド型サービスの移行によるものである。

なお、「データ活用」及び「システム運用」の両事業に属する新規・成長事業分野の売上高は827百万円(前期比9.1%増)と伸びたものの、通期計画の1,010百万円には未達となった。これらITの先端領域に対する潜在的な需要は大きく、提案に対する反応は良いものの、一般情勢として活用事例がまだ多くないことから、導入決定に向けて時間がかかっていることや、対応領域や金額を絞ったスモールスタートとなるケースが多くみられることが要因である。

(3) 「メインフレーム」
売上高が前期比0.8%減の2,105百万円、営業利益が同0.1%増の1,628百万円となった。オープン化やダウンサイジング化が進展するなかで縮小傾向が続いているものの、想定の範囲内。むしろ、これらの外部環境の変化に対応するソリューションの重点提案や既存顧客のシステム更改案件への取り組みにより、減収率は想定よりも小幅に収まっている。

(4) 子会社による「その他」
2016年3月期まで順調に拡大してきたが、売上高が前期比横ばいの588百万円、セグメント利益が前期比50.0%減の42百万円と足踏みとなった。特に、減益幅が大きいのは、ユニ・トランドへの先行費用が原因である。ただ、バス事業者からの成約・引き合いも増えてきており、今期(2018年3月期)での黒字転換が視野に入ってきた。一方、企業の災害対策を提案するBCPサービスは、既存顧客向けは好調であったものの、パートナーとの協働による新規開拓には課題を残した。また、SaaS型勤怠管理サービスでは、人材派遣市場の需要拡大を受け、既存の顧客を中心に堅調に推移した。

2. 主な活動実績
(1) ユニ・トランドへの積極投資
前述のとおり、2016 年5 月にIoT 型移動体向けソリューションを提供する子会社としてユニ・トランドを設立し、積極的な先行投資(本体からの技術者シフト等)を行ってきた。これまでのバス位置検索システム(路線検索、運用位置情報検索等)に続き、バス乗降者をリアルタイムで計測できるシステムを開発し、地方の二次交通(路線バス等)事業者向けソリューションのラインナップの充実化に取り組んでいる。既に北海道地域のバス事業者からの受注を獲得しているが、他のエリアからの引き合いも増えてきた。これまでになかった新しいサービスであるため、まずはスピード感をもって面を取る(先行者利益を獲得する)戦略を描いているようだ。また、将来的には海外(アジア)展開も視野に入れている。

(2) LIVE UNIVERSE(企業向けeラーニング・ナレッジシステム)の製品力及び販売強化
2016年3月には、「九州熱中屋」など直営94店舗の飲食店を運営するゴールデンマジック※と共同企画した企業向けeラーニング・ナレッジシステム「LIVE UNIVERSE(ライヴ ユニバース)」の提供を開始した。ゴールデンマジックとの連携により飲食業界開拓などに取り組んでいる。利用者は、サービス業であれば接客スキルや会話スキルのベストプラクティス動画を、飲食業であれば調理法やレシピ等のデータについて、時間・場所を選ばずに閲覧でき独自に学習を進めることができる。さらには、個々の進捗状況等をWeb上で共有し、コメントや「いいね!」を追加して上司や同僚とのコミュニケーションを取り合うこともでき、タイムリーにフィードバック評価も受けられるため、効率的にノウハウの伝承及びスキルアップを図ることが可能となる。また、利用者サイドとしても、当該教育サービス内に表示された課題を順番に消化していくことで、より高いレベルの業務にシフトしていく過程が明確となり、成長段階が可視化され利用者のモチベーション向上にも寄与するものである。同社では、他社との協業(Win-Winの関係構築)により、自社製品の認知度や販売チャネルの拡大につなげるところに狙いがあり、今後も同様の仕組みづくりを手掛けていく方針のようだ。

※ダイヤモンドダイニング<3073>(東証1部)の100%子会社。


(3) (株)アイネットとの資本業務提携
同社とアイネットとは、これまで同社が開発するシステム運用自動化やデータ連携のためのミドルウェア製品群を、アイネットの提供する企業向けクラウドサービス上で提供するための協業ならびに技術提携を行ってきた。今回の資本業務提携※の狙いは、急拡大する企業向けクラウド市場、特に、顧客のビジネスのデジタル変革ニーズに対して迅速かつ戦略的な対応を図るため、両社の強みを相互に活用するところにある。

※同社はアイネットの普通株式の一部(議決権比率の0.6%に相当する10万株)を立会外取引にて取得し、アイネットは、同社普通株式の一部(議決権比率の1.2%に相当する10万株)を同様の方法で取得。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《TN》

 提供:フィスコ

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