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3683 サイバーリンクス

東証S
782円
前日比
-14
-1.76%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.2 1.19 2.05 131
時価総額 88.9億円
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決算発表予定日

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サイバリンクス Research Memo(5):2020年が収益構造の転換点と位置付け、成長局面に向けた土台作り


■業績動向

(1)中期経営計画

サイバーリンクス<3683>は2016年度から2020年度までの5ヶ年の中期経営計画を策定、公表している。その内容は、「Link Smart ~もたず、つながる時代へ~」を同社サービスのブランドコンセプトに定め、流通分野を核としたシェアクラウドによるサービスの積極展開を行い、各事業分野でのシェア拡大により収益基盤を強化する戦略となっている。2020年度に売上高107億円(定常収入比率46.1%)、経常利益11億円(経常利益率10.2%)、ROE15%以上を目指すことが目標だ。

その事業戦略は、モバイルネットワーク事業の安定収益をベースに、ITクラウド事業、特に流通業向けクラウドサービス分野を伸ばすべく、クラウドサービスの拡充やIT技術の蓄積等への積極投資を行う。具体的には、a)クラウドサービスの拡充、b)ドコモショップ店舗の大型化と取扱い商材の拡大、c)IT技術の蓄積と安心・安全への取り組み強化、d)人材の確保及び育成、e)内部管理体制・ガバナンス体制の強化、の5点を重要課題として取り組む計画である。

a)クラウドサービスの拡充
主力のITクラウド事業におけるクラウドサービスの拡充について見ると、まず流通分野に関しては、新サービスにより中・大規模小売(年商300億円以上)、中小規模卸、メーカーの3方向への事業展開を推進する計画。年商300億円から1,000億円超規模の中・大規模食品小売に対応した「@rms生鮮」や「@rmsネットスーパー」、「店POWER」(統合棚割システム)等の@rmsシリーズの周辺サービスを先行して提案しているほか、「@rms基幹次期バージョン」の開発を行っており、2017年4月からの本格サービス開始を目指している。

一方、卸に関しては、小規模卸・メーカー(約33,000社)のEDI化をターゲットした「コード変換基盤」の開発を行っており、食品小売業界における商流の業界標準の確立を目指している。さらに、メーカーを含む食品流通業界全体をカバーする情報交換のプラットフォームである「C2Platform」※を構築中で、食品小売業界の情報流のデファクト構築を目指している。「C2Platform」は個々の企業間で通信により行っている情報交換を、情報を必要とする関連企業すべてに伝達できる構造を構築し、流通業界の企業連携の効率化を図ることを目的としている。

※C2とはコミュニケーション&コラボレーションの略。

官公庁クラウド分野では、LGWAN※接続サービスを含む自治体ネットワーク及び教育系ネットワークを整備し、和歌山県内プラットフォーム基盤構築を目指している。特に情報系システムに関しては得意分野である防災・医療・文教システムと連携したクラウドサービスのほか、ネットワーク運用、オペレーション、障害対応など、官公庁の情報システム部門の代行業務を担う高度な情報系シェアクラウドサービスを展開する計画。また、医療・文教分野クラウドサービスは全国展開を計画している。

※総合行政ネットワーク。地方自治体の組織内ネットワークを相互に接続した広域ネットワーク。

b)ドコモショップ店舗の大型化と取扱い商材の拡大
モバイルネットワーク事業においては、顧客利便性と集客力の向上のため、店舗の大型化を推進するとともに、携帯電話以外のスマートライフ関連商材の取扱いを拡大する計画。店舗の大型化については、2016年度下期より同社の基幹店である岩出店(和歌山県岩出市)にて取り組む予定となっている。

c) IT技術の蓄積と安心・安全への取り組み強化
より高度で付加価値の高い競争力のあるサービスを提供していくために、機械学習・AI(Artificial Intelligence)や、認証連携、タイムスタンプ等の先進的なIT技術の蓄積を行い、新しいサービスへの実装を図る。また、サービスの安定性、安全性を高めるためにネットワーク網の強化と効率化を推進する。

d)人材の確保及び育成
同社では、2015年12月末時点の461人体制を5ヶ年の中期経営計画の期間中に大幅に増員・増強する計画。このため、採用を強化するほか、戦略立案力やリーダーシップを最大限に発揮できる人材育成に注力する方針。

こうした戦略の展開により、2020年度に売上高107億円(定常収入比率46.1%)、経常利益11億円、ROE15%の達成を目標としている。この中期経営計画通りに進捗した場合、セグメント別経常利益構成比は2015年度のITクラウド事業55%、モバイルネットワーク事業45%から2020年度にはITクラウド事業73%、モバイルネットワーク事業27%になる見込み。

2020年は現在のモバイルの安定収益をベースにITクラウド(特に流通クラウド)を伸ばすという戦略、及び収益構造が大きく変化する転換点で、この5ヶ年の中期経営計画期間はそれ以降の新たな事業成長を目指す土台作りと考えらえる。このため、弊社は同社の中長期的な動向を占う手掛かりとして、流通クラウド分野における「@rms基幹次期バージョン」や「C2Platform」などの新サービスの受注動向を注目するほか、今後についてはユーザーの評価も併せて注目したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )

《HN》

 提供:フィスコ

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