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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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3680 ホットリンク

東証G
299円
前日比
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50.4 0.76 79.26
時価総額 47.7億円
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ホットリンク Research Memo(8):足元の業績は好調に推移しており通期計画達成の蓋然性あり


■今後の見通し

1. 2023年12月期の業績見通し
ホットリンク<3680>の2023年12月期の業績見通しは、売上高で4,846百万円(前期比16.1%増)、営業利益で99百万円(同95.1%減)、税引前利益で85百万円(同95.3%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益で69百万円(同96.1%減)としている。前期比の数値は、クロスバウンド事業の売却に伴い、同事業を除く実績値を使用した。なお、2022年12月期の営業利益にはクロスバウンド事業の一部売却による特殊要因1,899百万円が含まれている。クロスバウンド事業の実績及び売却益を除外すると営業減益となるが、中期目標の実現に向けた積極投資による一過性の減益である。

今後は、各事業において「深化」と「探索」の両面からの推進を行い、事業環境や景気の変動に左右されづらい事業ポートフォリオの創造を目指す。そして既存事業の深化と新たな事業機会の探索による「両利きの経営」を推進し、利益体質を維持しつつ成長投資を行うことで、さらなる成長を見込む。既存事業の強化を目的に、技術やネットワークを有する企業に対する積極投資やM&A、IT業界における人材流動性の高まりを想定した人材の採用及び育成強化を進めるほか、Web3関連事業の強化を目的に、優良企業への出資強化、ファンドサイズの拡大、自社事業の立ち上げやシナジー創出の可能性も検討する。

2023年12月期第2四半期は、売上高は計画どおりに推移しており、営業利益については計画を上回る進捗となっている。しかしながら、SNS業界をとりまく環境変化が激しいことから通期業績見通しは据え置きとしている。後述する5ヶ年目標の廃止に伴い、外部環境の劇的変化に対して機動的な経営判断が可能となっており、通期見通しの進捗も上振れしていることから計画達成の蓋然性はあり、通期計画上振れ着地の可能性もあると弊社は予想している。

2. 事業別の見通し
(1) SNSマーケティング支援事業
SNSマーケティング支援事業は、顧客ニーズにマッチしたサービスのワンストップ提供の実現を目指し、顧客数の拡大及び顧客単価の上昇の両立を図る。wevnalより譲受したSNS広告事業及び一部メディア事業(fasme)は、SNS広告(獲得系)やGoogle等の検索連動型広告のサービスの提供を開始している。wevnalは、BX(Brand Experience)プラットフォーム「BOTCHAN」の開発・提供を主たる事業として成長を続けている企業である。wevnalのSNS広告事業及び一部メディア事業(fasme)を譲り受けることで、同社の強みであるSNSマーケティング支援サービスの拡充に加え、自社メディアを保有することにより幅広い顧客に対して質の高いサービスが提供可能となる。具体的には、wevnalのSNS広告(獲得系)やGoogle等の検索連動型広告に関する運用ノウハウ及び人材と、同社が有するビッグデータの収集・分析・活用を通じたSNS活用におけるノウハウ及び人材を融合することで、既存顧客への新サービスの提供、新規顧客開拓などのシナジーを見込む。同社が得意とする、ターゲットを選定したフォロワーの獲得による認知・ブランディング促進と、wevnalが得意とする購買ページやLPへの誘導による獲得・販売促進、これらを組み合わせたSNS広告を行うことで認知から購買フェーズまでワンストップサービスの提供が可能となり、事業領域のさらなる拡大が期待される。

認知から購買までの各フェーズにおいて、マーケティング支援サービスを提供する企業は多く存在するが、全てのフェーズで質の高いサービスを提供し一気通貫で顧客ニーズを満たすことのできる企業は少ない。SNSを活用したマーケティングの需要は今後も堅調に膨らむ見通しであり、業界内で大手との取引が増えるなど順調にプレゼンスを強める同社にとっては追い風が続いており、売上高は好調に伸びていくと弊社では見ている。

一方で、外部環境の変化に伴うリスクには注視が必要だ。SNS運営企業の経営方針変更は、データを提供する各社の販売価格の変動に直結する。また、情報提供方法やデータ販売の有無に変更が生じた場合、同社が提供するSNS分析ツールや同サービスを利用するクライアントにとって大きな変化となる。

同社では、これら外部環境の変化を成長のチャンスと捉え、柔軟な戦略の見直しや対応策の検討を行い、変動する市場環境に適切に対応する体制を整備する方針だ。足元では、X(旧Twitter)の運営会社Xの経営方針変更によるデータ価格の上昇や仕様変更によって、新たなSNSマーケティング手法への需要が高まっている。加えて、大手SNS運用企業の影響だけでなく、AI時代の到来によりメディアのロングテール化が進むことで、同社が得意とするUGCの価値が向上すると予想している。これに基づき、同社では外部環境の変化に合わせた新たな取り組みを進めている。企業向けSNSマーケティング支援領域を拡大するために、M&Aや業務提携の活用や、M&Aを通じてニッチメディアを取得し、既存のSNSマーケティングとの連携を図ることで、単価や顧客層の拡大を目指している。これによって、変化する外部環境に柔軟に対応し、成果を上げる方針だ。

(2) DaaS事業
DaaS事業は、サービス内容及び価格体系の変更による顧客単価向上に取り組んでいく。同社がこれまで培ってきたSNS企業とのリレーションを活用し、金融業界への新規開拓による売上増をねらうとともに、収益性を重視しつつ、人員体制の強化と新規事業の立ち上げを模索する。なお、想定レートは1米ドル当たり130円~135円に設定している。同事業において円安は業績の上振れ要因ではあるものの、米ドルベースでの成長を重要観点とし事業成長を図る。

(3) Web3関連事業
Web3事業は、同社の子会社であるNonagon Capitalを通じて、Web3業界への投資活動及びリサーチを行う。これまでは、パイロット・ファンド(プロジェクト)の位置付けで活動してきたが、今後はファンドサイズの拡大を視野に入れたグローバルネットワークの構築に注力する。また企業やトークンへの出資にとどまらず、Web3関連事業として自社事業とのシナジーの創出に加え、新規事業としてインキュベーションを行うことも検討する。Nonagon Capitalでは2023年6月時点で7社への投資を実施しており、国内外のWeb3関連カンファレンスへの登壇を通じた独自のネットワーク構築を推進している。Web3関連市場は一部仮想通貨取引所の破綻を例としてボラティリティが高まっており、各国では様々な領域での社会実装に向けた技術が進展すると同時に、急速な法整備が検討されている。同社ではこれらの変化をチャンスとして捉えており、暗号通貨の発行、サービスの非中央集権化、デジタルデータの所有権の明確化、トークンによるインセンティブ革命、トークンによる自律分散型組織等の技術革新などの分野に対して、引き続き注目していく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)

《SI》

 提供:フィスコ

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