【特集】大谷正之氏【日経平均3万3000円が視野、日米株高は続くか】(1) <相場観特集>
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
―米国株主導でグロース株に資金還流、ここからの戦略は―
週明け13日の東京株式市場は日経平均株価が反発し一時3万2900円台に歩を進めたが、その後は値を消す展開となった。前週末の米国株市場ではハイテク系グロース株中心にリスクオンの流れが鮮明となり、東京市場もこれに追随したが、日経平均3万2000円台後半では戻り売り圧力も意識されているようだ。9月中旬以来の3万3000円台乗せが視野に入るなか、果たして上昇トレンドは維持できるのか。ここからの相場展望について、第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。
●「年末にかけ高値更新も、グロース株優位の展開に」
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
基本的には、株式相場は年末に向け高値を試す展開が続くと予想している。今月1日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が終わり、米長期金利にはピークアウト期待が膨らんでいる。日本でも10月の日銀金融政策決定会合は通過し、決算発表も概ね好調な結果となっている。14日発表される米10月消費者物価指数(CPI)の結果が注目されているが、大きな波紋を引き起こす内容でなければ、市場の一段高期待は続きそうだ。
FOMCと日銀金融政策決定会合は年内あと1回ずつ予定されているが、ある程度は予想された範囲内での展開が見込めそうだ。市場は不透明要因が晴れつつあることを好感する状況を迎えている。むしろ米国は、景気後退も警戒されるところだが、現時点ではインフレの落ち着きを好感するソフトランディングを想定してよい状況だとみている。
こうしたなか、今後年末に向け日経平均株価は、まずは9月高値3万3634円、続いて6月高値3万3772円を抜き再び33年ぶり高値圏に上昇する展開も予想している。リスク要因は、米長期金利が高止まりすることや中東情勢の悪化などだ。日経平均株価の下値は13週移動平均線のある3万2100円程度だろう。
個別では、グロース株優位の展開が予想され、東京エレクトロン <8035> [東証P]のような半導体関連株やキーエンス <6861> [東証P]のような設備投資関連株などが注目される。トヨタ自動車 <7203> [東証P]のような自動車株も上昇余地があるだろう。また、高配当利回りのバリュー株も下がったところは拾い場となりそうだ。12月決算のJT <2914> [東証P]やブリヂストン <5108> [東証P]などタイヤ株にも注目している。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。
株探ニュース