【特集】大塚竜太氏【日経平均3万3000円が視野、日米株高は続くか】(2) <相場観特集>
大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)
―米国株主導でグロース株に資金還流、ここからの戦略は―
週明け13日の東京株式市場は日経平均株価が反発し一時3万2900円台に歩を進めたが、その後は値を消す展開となった。前週末の米国株市場ではハイテク系グロース株中心にリスクオンの流れが鮮明となり、東京市場もこれに追随したが、日経平均3万2000円台後半では戻り売り圧力も意識されているようだ。9月中旬以来の3万3000円台乗せが視野に入るなか、果たして上昇トレンドは維持できるのか。ここからの相場展望について、第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。
●「年末に向け堅調で3万4000円も視野」
大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)
全体相場は12月中旬にかけて堅調な値動きが予想される。ここ米国株高が続いており、東京市場もそれに追随する形となっているが、ファンダメンタルズ面からも国内企業の決算は総じて好調で株価に押し上げ効果をもたらしている。米国については目先的には10月の消費者物価指数(CPI)の発表を控え、株式市場の不安定要因とはなるものの、中期的にみれば、既に米国のインフレ懸念は株式市場にとってトレンドを左右するネガティブなインパクトは持っておらず、過度な警戒は必要ないだろう。
米国の金融政策については前週のパウエルFRB議長の発言を受けて、先走った緩和期待は後退している。だが、現状では来年6月くらいの利下げが有力視されており、いずれにしても政策金利引き上げは打ち止め間近で、金融政策の方向転換が意識される局面であることに変わりはない。
個別では米長期金利の上昇圧力が緩和されるなか、米国ではグロース株への資金還流が観測されているが、日本株も当面はこれに追随する流れが想定される。全体相場に歩調を合わせてバリュー株の水準訂正も継続すると思われるが、しばらくは放置され続けたグロース株の戻り足が相対的に目立つ可能性が高そうだ。
日経平均の向こう1ヵ月のレンジでは、上値については7月の年初来高値を上回り3万4000円台をうかがう場面があって不思議はない。一方、ここまで日経平均はいくつもマドを開けて上昇してきており、下方向にもボラティリティは高まりやすく、何かの拍子に深押しを強いられる可能性はある。オーバーシュート気味に売られれば3万1500円程度の下値形成はあるかもしれない。しかし、そこはこれまで通り買い場と心得ておきたい。
物色対象としてはグロース株への資金還流を背景に東京エレクトロン <8035> [東証P]やアドバンテスト <6857> [東証P]といった半導体関連の主力銘柄を中心に狙い目となろう。また、これまで売り叩かれた中国関連も反動高が見込まれ、ダイキン工業 <6367> [東証P]などをマークしたい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。
株探ニュース