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3073 DDグループ

東証P
1,252円
前日比
-18
-1.42%
PTS
1,246円
20:16 05/02
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.1 2.50
時価総額 231億円
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DDグループ Research Memo(6):高収益ブランドの出店拡大が成長けん引。コロナ禍回復に伴い黒字へ転換(2)


■決算動向

2. 2024年2月期上期の業績概要
DDグループ<3073>の2024年2月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比22.2%増の18,218百万円、営業利益が1,671百万円(前期は505百万円の損失)、経常利益が1,575百万円(同89百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益(以下、最終利益)が前年同期比280.6%増の1,421百万円と、コロナ禍からの回復により大幅な増収増益を実現した。上方修正予想(7月14日付)をさらに上回り、最終利益は過去最高益(上期ベース)を更新した。

2023年5月から新型コロナウイルス感染症が、感染症法上の分類において2類相当から5類に移行され、商業立地、オフィス街の人流や外食需要が緩やかに回復し、天候不順による影響(第2四半期)があったものの、「飲食・アミューズメント事業」が総じて好調に推移した。既存店売上高(上期平均)はコロナ禍前の2020年2月期比87.6%(前年同期は同65.4%)にまで戻ってきた。業績予想を上振れる結果となったのも、既存店売上高の回復が想定を大きく上回ったことが主因である(期初想定は同75.0%)。一方、「ホテル・不動産事業」については、新型コロナウイルス感染症の軽症者受け入れ施設としてのホテル一棟貸が終了(第1四半期末に契約期間満了)したことで減収となったが、その点を除けば、貸コンテナ事業が安定推移したうえ、ホテル事業においても稼働率・客室単価が回復してきた。

第2四半期累計期間の出退店については、新規出店3店舗、退店12店舗により、2023年8月末の直営店舗数は327店舗となった。また、不採算店舗3店舗の業態変更を実施した。

損益面では、増収による収益の押し上げやコスト構造改革の継続により大幅な増益を実現した。物価上昇に伴う影響に対しても、コストコントロールや同業他社との共同購買※等が寄与したことで原価率は20.5%(前年同期は22.1%)に改善し、販管費率も70.3%(同81.3%)と大幅に低下した。その結果、営業利益率は9.2%と高水準に達し、最終利益は過去最高益(上期ベース)を更新した。

※グループ会社DDプラスによる同業他社との共同購買プラットフォーム(2021年3月スタート)によるもの。同社グループ約330店舗に、それと匹敵する規模の他社店舗を加えたバイイングパワー及び効率化の推進により原価率の改善を図ることができた。なお、プラットフォームの詳細や目的等については、過去のフィスコ企業調査レポート(2021年6月11日発行)を参照のこと。


財政状態では、借入金の返済等に伴う現金及び預金の減少により総資産は前期末比7.7%減の32,551百万円に縮小した。自己資本は利益剰余金の増加により同25.1%増の6,961百万円に増加し、自己資本比率は21.4%(前期末は15.8%)に大きく改善した。有利子負債は前期末比16.0%減の19,179百万円に減少している。なお、業績見通しが安定したことに加え、財務状況も改善していることから、財務諸表における「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載が解消された。

各事業の業績や主な取り組みは以下のとおり。

(1) 飲食・アミューズメント事業
a) 飲食
売上高は前年同期比26.9%増の13,350百万円、セグメント利益は1,277百万円(前年同期は529百万円の損失)となった。経済活動の活性化とともに主要な出店エリアである都心への人流や外食需要が緩やかに回復し、既存店売上高(上期平均)はコロナ禍前の2020年2月期比88.0%(前年同期は同65.0%)にまで戻った。損益面でも、増収による収益の押し上げに加え、コスト構造改革の継続や原価高騰対策(共同購買等)も奏功し、大幅な増益(黒字化)を達成した。出退店については、新規出店3店舗、退店12店舗により2023年8月末の店舗数(直営店)は275店舗となった。また、ニューノーマルに対応すべく3店舗で新業態への業態変更を行った。

b) アミューズメント
売上高は前年同期比27.6%増の3,734百万円、セグメント利益は262.2%増の786百万円となった。「飲食事業」同様、都心エリアへの人流が回復してきたことや行動制限の撤廃などにより、既存店売上高(上期平均)はコロナ禍前の2020年2月期比86.5%(前年同期は同65.3%)にまで戻った。損益面については、元来、収益性の高い業態であることから、売上高の回復とともに大幅な増益となり、セグメント利益率も21.0%の高水準に達した。前期末から出退店の動きはなく、2023年8月末の店舗数は52店舗である。活動面では、「BAGUS」公式アプリをリニューアルし、ブランド間相互送客の強化※によるLTVの最大化に取り組んだ。

※ビリヤード、ダーツ、カラオケ業態とインターネットカフェ業態のポイント共通化など。


(2) ホテル・不動産事業
売上高は前年同期比22.5%減の1,134百万円、セグメント利益は同39.6%減の259百万円となった。減収減益となったのは、新型コロナウイルス感染症の軽症者受け入れ施設としてホテル1棟(PARK IN HOTEL ATSUGI)を提供(一棟有償借り上げ)していたのが、終了したことが主因である。ただ、貸コンテナ事業は安定推移しているうえ、ホテル事業についても国による旅行支援などが追い風となるなか、既存ホテルのリブランド効果や話題性のあるコラボ企画等が奏功し堅調に推移している。また、貸コンテナ事業において需要が拡大しているバイクコンテナを増設したほか、シェアハウス運営において「SUNNYSIDE INN材木座II」をオープンするなど、顧客ニーズに応える施設づくりや新たなサービスの展開にも取り組んだ。

3. 2024年2月期上期の総括
2024年2月期上期を総括すると、コロナ禍からの回復により計画を上回る大幅な業績の伸びを達成したことはもちろん、ニューノーマルに向けて同社業態の優位性が失われていないことを実証できた点でも大いに評価できる。この数年間の落ち込みは、政府のコロナ対策(人流抑制や営業制限など)に伴う不可抗力によるものであり、特に都心のドミナント展開にこそ強みを有する同社にとって大きなハンディとなったが、経済活動の正常化や行動制限の緩和などにより都心への人流が戻り、本格的な回復が見えてきた。さらに言えば、足元の収益性はコロナ禍前を上回って推移しており、この数年間を通じて取り組んできたコスト構造改革(筋肉質な収益体質への転換)は、今後の戦略遂行に向けてプラスの材料と言えるだろう。活動面においても、新業態による新規出店の動きやブランド間相互送客の強化、他社IPコンテンツとのコラボカフェ開催など、新中期経営計画で掲げたブランドポートフォリオの再構築やLTVの最大化に向けて、具体的な形が見えてきた点は評価できる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《SI》

 提供:フィスコ

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