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2715 エレマテック

東証P
1,897円
前日比
+58
+3.15%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.9 1.12 4.74 37.94
時価総額 803億円
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エレマテック Research Memo(3):幅広い取引先・商材を生かした自社の企画・開発力とオペレーション力が強み


■会社概要

2. エレマテック<2715>の特長と強み
弊社では同社の特長・強みについて、1)取引先と商材の多様性、2)成長市場への柔軟な対応力、3)メーカー的機能の3点に整理して理解し、レポートでも説明してきた(2016年12月期16日付レポート等参照)。この理解の枠組みに加えて、同社が顧客に対して提供するサービス・機能の側面からアプローチすることで、同社の特長や強みについての理解が深まると考え、以下で紹介する。

同社は国内外に60拠点を擁し、仕入先約6,000社(国内約4,000社、海外約2,000社)、販売先約5,800社(国内約3,600社、海外約2,200社)との間で、電子材料や電子部品を中心に取引を行っている。

同社が提供しているのは、最適な部材の供給、信用供与・ファイナンス、納期・在庫の管理といったエレクトロニクス商社としてのベーシックなサービス・機能だけではない。加工サービス、調達代行サービスなど、より高度で付加価値の高いサービス・機能も提供している。同社は5つのサービス・機能を掲げているが、この中で調達代行サービス、加工サービス、企画開発機能が特に同社の特長・強みを表していると弊社では考えている。

(1) 調達代行サービス機能
調達代行サービスは顧客企業のために原材料の調達や顧客企業の社内流通を代行するサービスだ。ポイントは、ユーザーの求める仕様に合わせて、同社が国内外の約6,000社の仕入先から最適な部材を探索・調達する点や、品質管理や納期管理も同社が責任を持って行い、顧客企業内の内外の工場にジャストインタイムで供給するところだ。この一連のオペレーションをしっかりとこなせる企業は決して多くはなく、ライバル企業との差別化や顧客の囲い込み要因となっていると弊社では考えている。

弊社では同社が提供する調達代行サービス機能への需要は今後も増加していくと考えている。業務効率化や人員削減の流れのなかで、調達や社内流通を担当する部署はかなりの大手企業でも慢性的な人手不足にあるとみられるためだ。

一方で注意を要する点もある。調達代行サービスが本質的には収益性の低いサービスであることだ。調達代行サービスは顧客との取引関係を構築する最初の入り口となりやすい面はあるが、これだけを行っていては、売上高は膨らんでも利益がついてこない。調達代行サービスの枠組みでスタートした後、仕様変更の提案や同社の得意な商材への切替え、他の商材への取引拡大など、プラスアルファを追加していく必要があるということだ。

こうした施策も当初の調達代行サービスをきちんと果たして顧客に高い満足度を提供できてからのこととなる。同社はそうしたポジティブ・スパイラルをすべてではないにしろ実現できているもようだ。潜在的なアウトソーシング需要は大きいため、調達代行サービスの収益性向上パターンの確立が急がれる。

(2) 加工サービス機能
同社は商社であり、取引先であるメーカーとの競合を避ける姿勢は一貫している。しかしその一方で、顧客(販売先)から加工した形での納品を求められることも多い。そうしたニーズに応えるために同社は、国内1ヶ所と海外(中国)2ヶ所の加工拠点を設けている。

国内では横浜市のエレマテックロジサーブ(株)が電気材料等の加工及び製造や、各種受入検査、環境関連物質測定などのサービスを提供している。また海外では、依摩泰電子(大連)有限公司において電子回路基板への部品実装等を、依摩泰無錫科技有限公司においてプラスチック板へのシルクスクリーン印刷、切削加工、組立て等をそれぞれ行っている。

同社が有する新製品開発情報や最新技術動向などの情報をもとに企画設計されたカスタマイズ品を提供する状況になって初めて同社が付加価値を生み出し、収益性も挙げていくことができる。同社が目指す“モジュール化”はこのことを指している。モジュール化の推進は、後述する企画開発機能の推進と重なるところが多い。企画開発機能がワークして商談がまとまれば、おのずと同社にモジュール化の取引が発生するという関係だ。

同社のモジュール化ビジネスは、必ずしも自社加工拠点での製造・加工にこだわるものではない。しかし、やはり自社で加工・製造の技術を保有した上で外注することのメリットは大きい。加工サービスで経験・技術を蓄積して、自社加工拠点でのモジュール加工への展開を期待したい。

(3) 企画開発機能
企画開発の業務は顧客のニーズを的確に把握することからスタートする。顧客のエレクトロニクス、メカトロニクス、外装、デザインなど多岐にわたる様々なニーズに対して、同社は国内外約6,000社の仕入先の中から最適な商材を探索し、あるいはニーズに見合う製品を企画(場合によっては製品の試作も)し、顧客に提案していくのがこの業務の基本的な流れだ。

この業務においてはニーズの“把握力”と、ニーズの“実現力”の2つが必要となる。この2つを兼ね備えたライバル企業も決して多くはなく、この機能もまた、他社との差別化要因となっていると考えられる。また、同社の企画・設計に基づく新製品が採用されることは、顧客企業にとって同社がオンリーワンの存在になったことを意味し、顧客との取引関係強化という点で非常に有効だと考えられる。また前述のように、そうした新製品については同社がモジュール化の加工を行って納入することになり、同社としては収益性の高いビジネスとなると期待される。

上述の3つのサービス・機能に共通するのは、ほかの同業他社が簡単にはできないサービス・機能であるということ(差別化)と、それを通じて顧客からの信頼を勝ち取り、顧客にとって同社がなくてはならない存在とすること(顧客囲い込み)につながっているということだ。同社がこれらの機能・サービスを提供できる理由・背景を考えたとき、取引先と商材の多種多様さを挙げることができる。その幅広い取引関係は、同社を最先端の製品や技術に対して必然的に向かわせることになる。そうして得られた知見を、同社は技術商社ならではの企画・提案力で新たな取引関係や新商材へとつなげていく。そうした“正の循環”を確立しているところが同社の最大の強みだと弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《TN》

 提供:フィスコ

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