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2715 エレマテック

東証P
1,895円
前日比
-28
-1.46%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.9 1.12 4.75 11.37
時価総額 802億円
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エレマテック Research Memo(4):成長企業としての特長を依然として保持している(2)


■改めてエレマテック<2715>の強みを考える

(3)主要事業分野別の見通しと同社の進捗状況

a)液晶・TP・BL関連市場
液晶パネルは大型から中小型までサイズのバリエーションが広い。その中で、タッチパネル(TP)は特に中小型サイズにおいては液晶と一体化して利用されている。またバックライト(BL)は光源という液晶にとって不可欠の構成要素だ。同社が各種サイズの液晶パネル向けに様々な部材を供給しているのは主要取扱商材品目で紹介したとおりだ。以下では液晶パネルの主要なテーマや市場について同社の現状を述べる。

スマートフォン向け液晶パネル:2016年3月期第4四半期に急激な生産調整に見舞われ、その後2017年3月期第1四半期にかけて底ばい状態が続いた。しかし第2四半期に入って回復に転じ、足元の第3四半期はさらに生産が回復してきている。スマートフォン向け市場が液晶不足の状況にあることから、第4四半期も現在の強い需要が継続する可能性が高いと考えられている。

車載用液晶パネル:車載用液晶パネルはこれまではカーナビがその代表格であったが、新たな市場が次々と生まれようとしている。その典型例がサイドミラーレス車だ。サイドミラーの代わりにカメラを装備し、その映像をメーターパネル内の液晶パネルに映し出すことで後方・周囲の確認を可能とするものだ。本格量産はまだ1?2年後とみられるが、デザイン性の高さゆえに、急速に普及する可能性がある。また、運転席のメーター周りのデザインもこれまでとは大きく変わる可能性がある。方向性としては液晶パネルが占める面積が拡大する方向と考えられる。車載用液晶パネルでは視認性確保のために反射防止技術がより重要になるが、同社はそうした商材を従来から取り扱っている。

デジタルサイネージ:デジタルサイネージは表示と通信にデジタル技術を活用した広告媒体のことだが、液晶パネルも表示装置として活用が有力視されているものの1つだ。屋外等、その設置条件に照らして飛散防止フィルムや低反射フィルムなどの機能が特に求められると考えられる。同社はこれらフィルム素材を従来から取り扱っているほか、他のモジュール品の取扱いも視野に入れているようだ。

有機ELへの対応:有機ELは表示デバイスの1種であり、液晶パネルと対立関係で語られることが多い。すなわち、有機ELがシェアを伸ばすと同社はデメリットを受けるのではないかということだ。現状、中国で有機EL生産の大型設備投資が行われており、将来的に有機ELが液晶パネルの大きな脅威になる可能性はある。この点について同社も有機EL向け部材供給について主要顧客などと協力体制を敷いて、商材提案を進めているようだ。一方で、有機ELの優位性をフレキシブル性に求めるとすれば、液晶パネルでもフレキシブル液晶の開発が進んでいる。フレキシブル液晶の投資は有機ELの10分の1とも言われており、液晶が有機ELを突き放す可能性もある。同社はフレキシブル液晶向け部材供給においても、顧客と協力して商材提案を進めているようだ。

b)自動車関連市場
同社の自動車関連事業は、現時点も堅調に推移しており、2017年3月期通期の業績見通し下方修正の中にあっても、マーケット別のAutomotiveの売上高予想は上方修正された。

自動車関連市場における同社の現在の主力商材は表示装置関連となっている。具体的にはメーター周り等の部材としての、ガラス、光源、放熱シート、樹脂成型品、オプティカル品などだ。同社はスマートフォン向けをはじめとしてガラス前面板の加工・加飾成型のノウハウを蓄積してきたが、それがカーナビやヘッドアップディスプレイ(HUD)向けに顧客から評価されている。車載用は視認性確保のために反射防止や映り込み防止のニーズが高いが、その技術の活用なども求められている分野だ。なお、液晶パネル自体は、車載用のものであっても、同社の社内管理上はDigital Electronicsに含まれている。したがって、同社のAutomotive売上高の実質は公表値よりも大きい。

ここ数年伸びている分野はLEDヘッドランプ用光源アセンブリ品や成型用金型販売、ケーブル・ワイヤーハーネスなどがある。特にLED用ヘッドランプ光源は、ここ数年で急速に光源のLED化が進むなかで新たな商流を開拓し、太い流れとなりつつあるようだ。この向け先は日系自動車メーカーに限らず、欧米自動車メーカーも有力な最終需要家となっているとみられる。その背景には同社のグローバル拠点展開に対する顧客の高評価がある。

これからの成長が期待される分野はカメラモジュール用の各種商材だ。レンズモジュールやCMOSセンサー、シールド材や筐体、ハーネスなどがその具体的内容だ。自動車業界における大きなテーマに自動運転があるが、カメラモジュールはその中で不可欠の構成要素であり、同社はそこに切り込もうとしている。既に顧客と共同で複数の有力自動車部品メーカーに各種部材の売込みを開始しているようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《TN》

 提供:フィスコ

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