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2471 エスプール

東証P
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業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.1 3.01 3.29 25.71
時価総額 240億円
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エスプール Research Memo(5):障がい者雇用支援サービスは期初計画下回るも、増収増益を達成


■エスプール<2471>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) ビジネスソリューション事業
ビジネスソリューション事業の売上高は前期比15.5%増の5,825百万円、営業利益は同6.9%増の1,619百万円と増収増益基調が続いた。コロナ禍によりセールスサポートサービスやプロフェッショナル人材バンクサービスが減収減益となったものの、主力の障がい者雇用支援サービスのほか、ロジスティクスアウトソーシングサービスや採用支援サービスも増収増益に寄与したことが要因だ。また、新たに2020年6月に子会社化したブルードットグリーンの業績が売上高で約1.2億円、営業利益で12百万円の増額要因となった。

a) 障がい者雇用支援サービス
障がい者雇用支援サービスの売上高は前期比20.6%増の3,335百万円と大きく伸長し、営業利益も同109百万円増加の15億円弱となった。コロナ禍により営業活動や障がい者の教育訓練が一時的に制限を受けたため、農園設備の販売区画数は前期比14区画増の936区画と期初計画の1,026区画に未達となったが、需要は引き続き旺盛で当第4四半期の販売数は366区画と四半期ベースで過去最高(310区画)を大きく更新している。また、2020年11月期末の運営区画数は前期末比868区画増の3,829区画、障がい者雇用数は同435人増の1,915人、契約企業数は同62社増の321社と順調に拡大した。販売区画数(936区画)と運営区画数の増加分(868区画)の差は解約分となる。

売上高の内訳を見ると、運営区画数の拡大により運営管理収入が前期比48.9%増の1,546百万円と大きく伸長したほか、その他収入(障がい者及び運営管理者の紹介料)も同23.1%増の421百万円と2ケタ成長が続いた一方で、設備販売は同1.4%減の1,367百万円と若干ながら減少に転じた。販売区画数については増加したものの、一部再販設備が含まれており平均販売単価の下落が減収要因になったと見られる。また、その他収入の伸びが販売区画数と比較して高くなっているが、これは障がい者の紹介料平均単価が上昇したことや、設備販売に対して1ヶ月前倒しで紹介料を売上計上していることが要因と見られる。

新規農園の開設は6施設で、うち愛知県の2施設(東海市、小牧市)、東京都1施設(板橋区)は各自治体との連携案件となり、 埼玉県1施設(川越市)、千葉県の2施設(柏市、船橋市)については独自開発となっている。また、板橋区の農園は同社初の屋内型農園となっており、2020年8月のオープン以降、全222区画中54区画を販売、残りについても2021年1月時点ですべて受注が完了するなど好調な滑り出しとなっている。

なお、2020年11月期の売上高営業利益率は若干低下した。これは売上構成比の変化(運営管理収入の売上構成比上昇)による影響に加えて、賃料負担の重い屋内型農園を1施設開設したことも一因と考えられる。板橋区のケースで見ると賃料が約500万円/月と近隣の屋外型農園と比較して約5倍の水準であり、オープンの半年前から賃料負担が発生している。賃料負担については月額管理収入や栽培設備の価格を高く設定することで吸収するが(フル稼働の場合、利益率は同水準)、農園の稼働率がまだ低い時期においては利益率の低下要因となる。

b) ロジスティクスアウトソーシングサービス
ロジスティクスアウトソーシングサービスの売上高は前期比7.0%増の1,172百万円、営業利益も同19百万円増加の150百万円と増収増益となった。前期の途中に会計基準を変更(売上高に含めていた配送料を立替金に変更)しており、同一会計基準で見れば売上高は実質25%増収となっている。

売上高の内訳を見ると、EC通販発送代行サービスが前期比13.9%増の1,054百万円(実質30%増収)、物流センター運営代行サービスが同32.0%減の117百万円となった。EC通販発送代行サービスについては、コロナ禍に伴う巣ごもり消費の拡大が追い風となり、自社物流センター(品川区、つくば市)もフル稼働に近い状態が続いた。一方、物流センター運営代行サービスは、百貨店向けの物流業務が中心となっていたためマイナスの影響を受けた。

c) 採用支援サービス
採用支援サービスの売上高は前期比29.1%増の564百万円、営業利益は同17百万円増加の60百万円と2ケタ増収増益となった。コロナ禍により、売上の約3割を占めていた外食業界からの需要が冷え込んだものの、ドラッグストアやデリバリーサービス事業者、スーパーマーケットなど好調な業界からの受注拡大でカバーした。応募受付数は前期比35%増の549千件、期末顧客数は前期末比10社増の91社となった。

d) その他
セールスサポートサービスの売上高は前期比21%減の4.1億円、営業利益は約30百万円と減収減益となった。コロナ禍により商業施設での販売キャンペーン案件が減少したことによる。また、プロフェッショナル人材バンクサービスについても同様に、売上高は前期比1ケタ減の2.3億円、営業利益は15百万円と減収減益となった。

環境経営支援サービスについては、売上高で1.2億円、営業利益で12百万円となった。子会社化前の直前決算(2020年3月期)では、売上高で283百万円、営業利益で46百万円となっており、収益水準が低下したように見えるが、これは子会社化と同時に売上高の約半分を占めていたエコポイント運営事務局の事業を終了したことが要因となっている。子会社化以降はクレジット仲介事業が売上高の9割を占めており、既存事業ベースでは拡大していることになる。

(2) 人材ソリューション事業
人材ソリューション事業の売上高は前期比21.8%増の15,250百万円、営業利益は同48.5%増の1,757百万円と大幅増収増益となった。売上高の内訳を見ると、主力のコールセンター派遣は前期比28.2%増の12,201百万円と順調に拡大し、家電量販店等への販売支援業務についてはコロナ禍により同13.2%減の2,162百万円、介護系派遣を中心としたその他が同75.6%増の887百万円となった。増収効果に加えて募集費用を抑制できたことで、売上高営業利益率も前期の9.5%から11.5%に上昇した。

コールセンター業務については、グループ派遣による高品質なサービスが引き続き評価され、主要顧客先での取引シェアが拡大したことが好調の要因となっている。また、同一労働同一賃金制の導入によって、2020年4月以降に約4%の値上げが浸透したこと、2020年11月期第3四半期に政府系の短期スポット案件を受注したことも増収要因となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《ST》

 提供:フィスコ

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