貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

2432 ディー・エヌ・エー

東証P
1,603.5円
前日比
+25.0
+1.58%
PTS
1,603.5円
14:32 05/07
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
0.89 19.20
時価総額 1,959億円
比較される銘柄
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サイバー
決算発表予定日

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Appier Research Memo(4):包括的なAIソリューションをワンストップで提供(2)


■会社概要

3. 強み
(1) 機械学習を用いたAI技術の継続的なイノベーション
Appier Group<4180>の革新的な機械学習を活用したAI技術は同社のソリューションの基盤となっており、技術面での優位性が強みとなっている。具体的には、深層表現学習技術※1、自動化された機械学習、オンラインリアルタイム学習、転移学習※2の導入が挙げられる。

※1 データから特長検出や分類に必要な表現を自動的に発見し、テキストだけでなく画像や動画のソースからも深い意味を抽出できる技術。
※2 ある領域で学習したAIモデルを別の領域に活用し、効率的にAIモデルを学習させる技術。

a) 深層表現学習技術
同社が提供するAIテクノロジーのプラットフォームは深層表現学習技術を活用しており、これによって新たな言語への展開が容易になっている。

b) 自動化された機械学習
同社が提供するAIプラットフォームは、分析するデータ量が増加すると自動的にシステムとAIアルゴリズムが拡張され、データサイエンティストの手を介することなく、AIモデルが自動的に構築される。これにより、AI人材が不足している企業でも同社のソリューションの導入が可能となる。

c) オンラインリアルタイム学習
同社が提供するAIテクノロジーのプラットフォームは、従来の機械学習技術とは異なり、オンラインから取得した膨大なデータをリアルタイムで分析できる。これにより、顧客はユーザーの嗜好の変化にも速やかに適応でき、データの適切性や予測結果の正当性に関して問題があった場合には迅速に処理できる。

d) 転移学習の導入
同社は新規顧客や新たな業種・新しい予測に対応する際、プラットフォームに転移学習を導入することでAIモデルの学習時間短縮に効果的な「コンセプト」の伝達を実現している。

このほか、AI予測モデルを構築する際のアルゴリズムの多さ、アンサンブル学習も強みとなっている。AIが、顧客のデータに基づいて膨大な数のアルゴリズムのライブラリーから最適なものを抽出し、かつ、それらを自動的に最適に組み合わせることで、顧客ごとに最適なAI予測モデルを構築できる。

(2) AIエキスパートとビジネスに精通した経営陣
既述のとおり、同社の創業者及び経営陣にはAIエキスパートが多数在籍している。また、経験豊富な従業員が多数在籍しているほか、他の取締役やアドバイザーの専門的な知見も生かせる強みを持っている。一例を挙げると、ヘッドオブジャパンの橘浩二氏は東京大学法学部を卒業後に野村證券(株)に入社し、企業の資金調達やIPO(新規株式公開)に10年間従事した後、経済産業省の資源エネルギー庁で政府保有資産の売却などを担当した。その後、独立系投資アドバイザーとして投資ビジネスに従事し、ディー・エヌ・エー<2432>執行役員としてコーポレート・ファイナンス部門を率い、M&A戦略、財務、経理、広報、IR、社内IT化などの実務に携わった経歴を持つ。また、最高戦略責任者のJoe Chang博士は、米大手戦略コンサルタントのMckinsey & Company, Inc.出身であり、現在、新しい市場や技術における事業機会を獲得するためのM&Aおよびパートナーシップ戦略を統括している。

(3) プラットフォームの価値を高めるネットワーク効果
同社は、相互に補完的で綿密にリンクした6つのソリューション(「CrossX」「AIXPERT」「AIQUA」「BotBonnie」「AiDeal」「AIXON」)をプラットフォームとして提供することで、強力なネットワーク効果を生み出している。

a) 既存顧客の利用拡大による好循環
同社のソリューションは機械学習を活用しているため、顧客の利用に応じて分析されるデータ量が増加し、予測の精度が向上する。これにより顧客の満足度は高まり、利用促進と定着が図られるとともに、別のソリューション導入への意欲が高まる。顧客が別のソリューションを導入し利用が促進されれば、分析されるデータの種類と網羅性が上がり、同社のAIアルゴリズムの精度はさらに向上する。これにより顧客の満足度はさらに高まる、という好循環になる。

なお、同社の月次顧客解約率は0.62%(2022年6月)と過去最低レベルまで改善し、NRR(Net Revenue Retention Rate:売上継続率)は127.3%(同)と過去最高まで拡大したことからも、顧客ロイヤルティが高いことが窺える。

b) 営業生産性の向上
既存顧客の利用拡大による好循環に加え、営業生産性の向上も継続している。各国の潜在顧客を探索し、最も適切なタイミングでアプローチするという効率的な営業組織を体系的なアプローチで構築したことによって、顧客獲得数が増え、投資回収サイクルの短縮を実現した。

c) リカーリング売上収益増加と売上総利益率改善・営業レバレッジ
分析されるデータ量が増加することによる同社のAIアルゴリズムの継続的な精度向上を背景として、顧客のマーケティング投資に対して予測可能なソリューションに対する高い顧客満足度から、安定した収益源であるリカーリング売上収益※が増加する傾向にある。利益率に関して、「CrossX」はAIアルゴリズムの精度が継続的に向上することで、より少ないマーケティング・プラットフォーム利用料で多くのユーザーを獲得できるようになることから、売上総利益率の改善が見込まれる。さらに、売上総利益率が比較的高い「AIQUA」「AiDeal」「AIXON」等の顧客基盤を拡大することも売上総利益率向上につながる。加えて同社は、収益基盤が拡大するにつれて販管費率が低下する傾向にあることも営業利益率改善につながっている。

※利用量ベースの価格体系・サブスクリプションベースの価格体系のソリューションともに継続的に収益計上される可能性が高い売上収益。

既述のとおり、同社の提供するソリューションはデジタルマーケティングのすべてのフェーズに対応している。また、単体でも効果を発揮するが、各ソリューションが高度に連携・統合されていることから、組み合わせて使うことによってさらに大きなシナジーが期待できる。このため、解約率は低く、NRRは高い傾向が続いている。これらも業績拡大に寄与していると弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

《TY》

 提供:フィスコ

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