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1905 テノックス

東証S
1,180円
前日比
-10
-0.84%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
22.7 0.64 3.22
時価総額 86.7億円
比較される銘柄
ライト, 
インフロニア, 
日本乾溜工
決算発表予定日

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テノックス Research Memo(4):コンクリート杭工事や浅層地盤改良工事、既存杭引抜き工事事業へ業容拡大


■事業概要

3. 事業領域の拡大
近年テノックス<1905>は、M&Aや提携により事業領域の拡大を進めている。同社は鋼管杭工事と深層地盤改良工事の両方を主力として行っているが、これにコンクリート杭や浅層改良など工法のラインアップを増やし、さらに既存杭の引抜き工事などへ営業領域を広げることができれば、顧客に対してワンストップで総合的な施工技術の提案が可能となる。したがって、ラインアップの拡充は受注に有利に働くことになり、将来予想される建設需要減少への対策にもなる(工法が全く異なるため、場所打ち杭には進出しない方針である)。

2020年10月に、回転埋設工法であるHIT工法を開発するなど、長年関西を拠点に杭工事や地盤改良工事、杭引抜き工事などの基礎工事を手掛けてきた広島組と、土木建築用機械や工具の販売、修理、リースなどを行う亀竹産業(株)(2021年2月広島組と合併)を完全子会社化した。広島組の持つ営業地盤と杭引抜き工事技術の取り込みが最大の目的である。2020年12月には、日本ヒュームと業務及び資本提携契約を締結した。同社が持つ杭工事や地盤改良工事の技術と、日本ヒュームが持つコンクリート杭製造技術や施工技術を持ち寄ることでシナジーを発揮する考えだが、特に同社にとってはコンクリート杭による建築基礎市場の再強化につながる提携といえる。また、2021年1月には、日本コンクリート工業と業務及び資本提携契約を締結した。提携の目的は、基礎工事分野での協同業務に加え、日本コンクリート工業の持つ二酸化炭素固定化技術を活用することで、脱炭素及び産業副産物を活用した循環経済に参画することにある。業務及び資本提携をした2社とは、株式を相互に保有することで長期的な提携関係の構築を目指している。


設計から施工まで一貫した体制で高い品質を実現
4. ビジネスモデルと強み
以上のように、様々なケースに対応できるラインアップは、同社の強みということができる。また、携帯端末などで施工状況をリアルタイムで確認できる施工管理装置「VCCS」を多くの現場に導入、テノコラム工法では工事開始直後に4週後の強度を予測する「促進養生システム」を開発するなど、どのような現場でも安定した施工品質を確保することができる。また、子会社で工事技能者集団や機材を提供しているため、工程に合わせた安全確実な工事進行も可能となっている。こうした安全確実で高い施工品質も同社の強みといえる。

ところで、建築構造物や土木構造物の建設は、通常ゼネコン(元請、総合建設業者)が下請けを取り仕切って進める。基礎工事に関わる事業者もゼネコンから発注を受けるが、基礎工事は最初にして最重要の工程であるため、発注を前に設計業者(設計コンサルタント・設計事務所)から直接引き合いが来ることが多い。その際同社は、設計業者にラインアップや施工品質などをアピールし工法を提案することができる。その後、設計業者の描いた図面により発注者(施主)がゼネコンに、ゼネコンは専業企業である同社に(100%とは言えないが)発注し、同社は工事完成後にゼネコンに引き渡すという流れになる。このように同社は、ビジネスモデル上はゼネコンの下請けということになるが、バリューチェーンという観点からは設計業者と直接つながる形になっている。同社の場合、豊富な経験とノウハウ、設計から施工まで一貫した体制による高い品質などから、技術提案が設計に反映されることが多く、そのためゼネコンから発注を受ける機会が多くなっているようだ。これを同社は「折り込む力」と呼び、同社の強みということができる。つまり、同社のビジネスモデルは、ラインアップ、施工品質、「折り込む力」という3つの強みを柱に構成されているということができる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《ST》

 提供:フィスコ

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