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1905 テノックス

東証S
1,195円
前日比
+15
+1.27%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
23.0 0.64 3.18
時価総額 87.8億円
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日本乾溜工
決算発表予定日

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テノックス Research Memo(6):採算改善し2ケタ増益


■業績動向

1. 2020年3月期第2四半期業績
テノックス<1905>の2020年3月期第2四半期の業績は、売上高88億93百万円(前年同期比23.1%減)、営業利益5億97百万円(同19.4%増)、経常利益6億20百万円(同18.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益4億55百万円(同29.6%増)となった。建設業界では、民間設備投資は弱含みながらも一定の規模を維持しており、公共投資は補正予算の執行などにより底堅く推移した。一方、建設業界でも長時間労働の是正や週休2日制の導入など「働き方改革」への対応が急がれており、施工現場の担い手の確保と育成も大きな課題となっている。このような環境の中で、同社は引き続き中期経営計画における各施策を実行するとともに、施工品質の向上と安全管理の強化、人材の育成、適正な人員配置による施工体制の強化と生産性の向上に取り組んでいる。大幅減収ではあったが、採算改善により利益額の進捗が前年同期と同水準となったため、おおむね順調な業績だったと言えるだろう。

売上面では、土木構造物向けの杭工事で引き続き北陸新幹線(福井~敦賀間)の高架橋が寄与したものの、東日本大震災復興関連がピークアウト、建築構造物向けの杭工事で集合住宅などが減少、地盤改良工事では民間の工場や商業施設といった大型物件が減少、大型土木工事の鋼管杭の販売も減少した。利益面では、前期に計上した施工不具合の復旧に伴う工事関連費用がなくなったことや、施工管理の徹底を進めたことなどにより大幅増益となった。なお、第1四半期に非連結子会社TENOX ASIA(ベトナム)を連結子会社化したが、収益は限定的だった。


増収2ケタ増益を目指す
2. 2020年3月期業績見通し
同社は、2020年3月期業績見通しを、売上高210億円(前期比1.1%増)、営業利益11億50百万円(同20.6%増)、経常利益12億円(同18.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8億円(同25.0%増)と見込んでいる。通期でも第2四半期と同様の経営環境が予想されるため、引き続き中期経営計画達成へ向けて施策を実行するとともに、施工品質の向上と安全管理の強化、人材の育成、適正な人員配置による施工体制の強化と生産性の向上に取り組む方針である。売上高については、北陸新幹線の高架橋の杭工事は減少するが、新名神高速道路関連の杭工事が増加すること、競合は厳しいが地盤改良で大型案件を数件控えていることから、通期ではわずかながらも増収に転じる見込みとなった。利益面では、安全や品質面でのリスク管理の徹底、施工機械と人員の効率的な配置などによりコスト削減を進め、通期でも2ケタ増益の確保を狙っている。


まだ実現していないM&Aに期待
3. 中期経営計画進捗と中期成長イメージ
同社は、東京オリンピック・パラリンピック後の受注環境の変化や米中貿易摩擦など世界情勢の影響を懸念している。長期的には鉄道関連や2025年大阪・関西万博など大型プロジェクトを見込んでいるが、一方で社会構造の変化から建設需要の減少を想定、基礎工事業界において競争激化と淘汰が進むと予想している。そうした経営環境をベースに中期経営計画を策定することは、企業として当然と言える。しかし実際は、東京オリンピック・パラリンピック後も、2025年大阪・関西万博や各都市が名乗りを上げているIR(統合リゾート)、東京の都心再開発など開発案件が目白押しである。また、高速道路や鉄道など古くなったインフラの大掛かりなリニューアルも予想される。さらに、頻発する自然災害に関しては復興需要のみならず防災需要も増えそうだ。

とはいえ、人口減少により減る構造物も多く、既存の事業だけでは業績が大きく伸びる状況にないということは理解できる。だからこそ、5つのテーマを課題から機会へと昇華することは、中期経営計画の達成のみならず長期的にも重要なことと思われる。なかでも、ICT技術を利用した施工プロセスの効率化、生産性の向上、品質の向上や安全性の向上は、他社も一定程度進歩すると思われるので不可欠だろう。また、新規分野や新規顧客へとドメインも広げたい。もちろん海外展開への期待も含まれるが、それ以上に、まだ実現していないM&Aに期待したい。その際に、場所打ち杭工事や海上施工など同社として手付かずの領域を持つ企業をM&Aできれば、補完性やシナジー効果から将来の可能性が大きく広がることになると考える。開発力、提案力、施工力という3つの力にIT技術や新たなドメインが加わることで、中期経営計画の達成はもちろん、その先にある長期的な飛躍にも期待したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《ST》

 提供:フィスコ

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