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1717 明豊ファシリ

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明豊ファシリ Research Memo(5):2023年3月期第2四半期累計は、CM事業の好調により過去最高益を更新


■業績動向

1. 2023年3月期第2四半期累計の業績概要
明豊ファシリティワークス<1717>の2023年3月期第2四半期累計業績は、売上高で前年同期比7.9%増の2,175百万円、売上総利益で同10.3%増の1,189百万円、営業利益で同14.8%増の462百万円、経常利益で同14.6%増の463百万円、四半期純利益で同13.9%増の319百万円となった。売上高・各利益は会社計画を上回り、2期連続で過去最高益を更新した。CM業界を取り巻く環境としては、建設投資や設備投資は公共投資が堅調に推移しているものの、景気の先行き不透感が強まるなか、民間投資は慎重な姿勢が続いた。建設資材コストの上昇や納期遅延などプロジェクトの進行・管理の難易度は高まっていることから、同社のCMサービスの引き合いは活発に推移し、好業績の要因となった。

売上総利益率は前年同期の53.5%から54.7%に上昇したが、これは主にプロジェクトの上流工程から参画する付加価値の高い案件が増加したことによる。また、販管費は人件費の増加により前年同期比51百万円増となった。2023年3月期第2四半期末の従業員数は249名(前年同期末比12名増、前期末比6名増)となった。

分野別受注粗利益※1の構成比を見ると、CREMが前年同期の18%から13%、鉄道・学校他が34%から24%にそれぞれ低下した一方で、工場・研究所が10%から19%、公共が19%から24%にそれぞれ上昇した。CREMについては特定顧客向けのプロジェクトが一巡したこと、鉄道・学校他については継続案件であるJR東日本の品川開発プロジェクト※2の受注計上時期のズレ込みが影響したものと見られる。一方、工場・研究所は既存顧客からの引き合いが活発だった。公共分野については、前年同期はコロナ禍対応に予算が優先的に振り向けられたため低調であったが、2023年3月期第2四半期は同社が得意とする庁舎建て替えプロジェクト等を含めた主要な受注案件が大幅に増加した(大学を除いた受注件数は前年同期比5件増の13件)。なお、公共分野に関しては基本的にプロポーザル方式の案件のみ入札しており、その大半を落札している。

※1 受注粗利益は、受注高から社内コスト以外の原価(工事費等)を差し引いたもの。
※2 JR高輪ゲートウェイ駅西側に合計4棟の高層ビルと1棟の文化施設を建設し、新たな街区を開発するプロジェクト(2025年開業予定)で、2020年より着工を開始、予定事業費は約5,800億円と現在進行中の建設プロジェクトで最大規模となり、同社にとっても過去最大級のプロジェクトとなる。


2023年3月期第2四半期累計期間に受注した案件で注目されるのは、外務省のオフィス改革に関するコンサルティング業務だ。官公庁においても「働き方改革」をテーマにしたオフィスの再構築が進められている。同社は2020年1月に経済産業省から受注して以来、一般公募入札により選定され、オフィス改革に関するコンサルティング業務を継続して受注しており、他の省庁にも広がった格好だ(2022年3月期は内閣官房 内閣人事局からも一般公募入札を経て受注)。外務省では、現在のオフィス環境におけるペーパーレス化や行政コストの削減、個々人の生産性向上、優秀な人材確保の観点から、民間企業や他の省庁の事例等を踏まえてオフィスの再構築を推進していく。現行のオフィス環境について調査・分析を行い、課題等を整理し、コンセプトを提案し、2022年度中に一部部局でのパイロット事業実施及びその後の拡張の在り方の具現化を計画している。このため、経済産業省からの受注と同様に、2023年度以降も一般公募入札において同社の実績が評価され、継続受注となる可能性が高いと弊社では見ている。

官公庁は民間企業よりもDX化が遅れていると言われており、2021年9月に新設されたデジタル庁を司令塔として、行政のDX化を推進していく方針を打ち出している。このため、今後は他の省庁でも働き方改革を踏まえたオフィス再構築の動きが進むものと見られ、豊富なノウハウと実績を持つ同社にとってさらなる受注獲得が期待される。また、将来的に省庁の大規模移転などがあった場合には、難易度の高い大規模オフィスの竣工時同時入居プロジェクトを多く手掛けてきた同社にとって受注獲得の好機になると見られる。

そのほか、SDGsに対する関心が高まるなかで、2021年夏より開始した脱炭素化支援コンストラクション・マネジメントサービスの引き合いも活発化している。2022年5月には千葉市から「新庁舎の脱炭素化に資する電力調達方法に係る調査及び提案業務」を受注しており、さらなる拡大が期待できる。建物の新築・改修プロジェクトについては、脱炭素化支援が必須要件となるなか、建物の環境への影響を評価するCASBEE建築評価員を多く擁し、ZEB※1などで豊富な実績※2とノウハウを持ち合わせた人材が豊富であることが強みとなっている。

※1 ZEB(Net Zero Energy Building)の略称で、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物を指す。
※2 同社は国内初となるZEBを実現した宗教法人成長の家の「“森の中のオフィス”プロジェクト」に基本構想段階からCM事業者として参画した(業務契約期間2010年5月~2014年3月、東京本社の本部の一部を移転・併用開始)。同プロジェクトについては内容が高く評価され、(一社)日本コンストラクション・マネジメント協会が主催する「CM選奨2017」を受賞している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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