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【特集】国策背景に改革が着実に進行、「医療DX」で浮上する妙味株7選 <株探トップ特集>

「医療DX」関連株に注目だ。電子処方箋の運用開始などで医療業界のデジタル化機運が今後一段と高まっていくとみられ、株式市場でも関心を集めることが期待される。

―「電子処方箋」「マイナ保険証」が医療現場を革新、推進本部発足で政府も本腰―

 医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れが進展している。従来から続く人手不足や新型コロナウイルス対応に伴う業務増加といった問題への対処に向けて医療業界のデジタル化が急務となるなか、政府の政策を追い風にこの動きが一気に進んでいる。初診からのオンライン診療 が今春から恒久的な制度として可能になったほか、来年からは1月に「電子処方箋」の本格運用、4月に「マイナ保険証」の導入義務化がそれぞれスタートする。医療DXは息の長いテーマとして、今後も折に触れ関心を集めることになりそうだ。

●「電子処方箋」来月開始、電子カルテ標準化や医療情報利活用など実現へ

 2023年1月から電子処方箋の運用が本格的にスタートする。従来の紙で発行していた処方箋を電子化して運用するもので、既に10月から山形県酒田市など4地域で先行運用が始まっている。患者の同意に基づいて複数の医療機関や薬局にまたがる薬の情報を医師・薬剤師が共有でき、重複投薬や薬の飲み合わせによる副作用を防ぐことが期待されている。今年4月に恒久的な制度となったオンライン診療・服薬指導と組み合わせることで、診察から薬の処方まですべてをオンラインで完結することが可能になる見込みだ。

 また、来年4月からはマイナンバー カードを健康保険証として利用できるマイナ保険証のシステム導入が医療機関や薬局で原則義務化される。24年には現在の保険証が廃止されマイナンバーカードに一本化される見通しにあり、さまざまな声はあるものの医療現場のデジタル化は着実に進んでいくことになる。

 政府は今年6月に策定した「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針2022)」で、医療分野での技術革新を通じたサービスの効率化や質の向上を図る方針を示した。オンライン診療の活用促進やマイナ保険証の利用に欠かせないオンライン資格認証の導入義務付けのほか、全国医療情報 プラットフォームの創設や電子カルテ 情報の標準化、医療情報の利活用など、各種取り組みを加速させる構えだ。こうした施策の実現に向け、10月には「医療DX推進本部」を発足させている。医療DXに絡む企業には国策の追い風が吹いており、活躍の舞台は一段と広がっている。来年以降の更なる成長が期待される銘柄を今回、7つピックアップした。

●医療DX7銘柄

 MRT <6034> [東証G]は、非常勤医師紹介サイトを運営。オンライン健康相談・診療アプリ「Door.(ドア)」を手掛け、株式市場ではオンライン診療関連の位置づけで注目されることが多い。自治体から新型コロナ患者向けセンターの運営を受託しており、直近では東京都の臨時オンライン発熱診療センターを12日に開設している。ワクチン接種に伴う医療人材ニーズを捉え、直近1-9月期業績は2.1倍増収・営業2.4倍増益と急拡大を遂げた。

 メディカル・データ・ビジョン <3902> [東証P]は、医療機関向け経営支援システムや医療データの分析サービスを提供。日本最大級の量と質を誇る診療データベースを保有している点がポイントで、これを強みに成長トレンドをまい進している。今12月期も前期に続き売上高、営業利益とも過去最高を更新する見通しだ。足もと予想PERは30倍前後と投資家の期待の高さがうかがわれるが、同社の上場来のヒストリカルPERをみると低水準といえる。

 eWeLL <5038> [東証G]は、訪問看護用の電子カルテシステム「iBow(アイボウ)」を開発・販売。今年9月に東証グロース市場に新規上場したニューフェースだ。電子カルテシステムとともに、レセプト(診療報酬明細書)作成サービス「iBow レセプト」、勤怠システム「iBow KINTAI」なども手掛ける。業績の拡大基調が続いており、11月には第3四半期決算とあわせて通期予想の上方修正を発表。営業48%増益で最高益更新を見込む。

 ソフトウェア・サービス <3733> [東証S]は、電子カルテなど医療情報システムを開発。医療DXの流れを背景に業績は拡大基調をたどり、前22年10月期は営業2ケタ増益で最高益を更新。続く今10月期も増益を見込んでいる。今期配当も増額する計画だ。東京支社を今年6月に稼働させており、関東圏への事業展開の強化に取り組んでいる。

 ケアネット <2150> [東証G]は、製薬企業の営業支援などを手掛ける医療情報サービス会社。コロナショックが発生した20年春から翌21年なかごろにかけて、株価を20倍近くに膨らませる大相場を演じた経緯がある。同社も最高益更新基調を続けていて、1-9月期時点で営業利益ベースの進捗率は88%に達している。

 サスメド <4263> [東証G]は、不眠障害治療用アプリの開発を手掛ける。直近20日、同アプリの医療機器製造販売承認を厚生労働省の審議会が了承したと発表。今後、厚労省から正式な製造販売承認の判断が行われる予定という。この発表を受けて株価は材料出尽くし的な売りに見舞われてしまったが、投資家からの成長期待は依然として高いようだ。

 ジェイフロンティア <2934> [東証G]は、ヘルスケア関連商品や医薬品を販売。オンライン診療・服薬指導サービス「SOKUYAKU(ソクヤク)」の展開に注力しており、提携病院数や薬局数、利用ユーザー数は大きく伸びている。テレビCMなどの先行投資がかさみ利益面では厳しいものの、売上高の伸びは顕著で今期は40%増収を見込んでいる。

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