為替週間見通し:ドルは伸び悩む可能性、米大幅追加利下げの可能性残る
【今週の概況】
■日銀政策正常化への思惑で円売り縮小
今週のドル・円は反落。日本銀行による早期追加利上げ観測は後退し、週後半にかけてリスク選好的な米ドル買い・円売りが次第に活発となった。9月27日に行われた自民党総裁選の第一回目の投票で金融緩和や積極的な財政出動を唱えている高市経済安保相が第一位となったことから、日経平均は上昇し、米ドル・円は146円台前半まで買われた。しかしながら、決選投票で金融緩和や積極財政に慎重とみられる石破元幹事長が新総裁に選出され、高市氏が落選したことから、リスク選好的な米ドル買い・円売りは急速に縮小し、金融政策正常化の進展を意識した米ドル売り・円買いが急拡大した。決選投票の結果判明前に146円台半ばまで米ドル高円安が進行したが、決選投票の結果判明後に142円台に反落した。
27日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時142円07銭まで下落した。この日発表された8月米PCE価格指数は市場予想を下回り、インフレ緩和の流れは続いていることから、米連邦準備制度理事会(FRB)による大幅追加利下げ観測が強まり、長期金利低下に伴うドル売りが優勢となった。米ドル・円は142円21銭でこの週の取引を終えた。
・ドル・円の取引レンジ:142円07銭-146円49銭
【来週の見通し】
■ドルは伸び悩む可能性、米大幅追加利下げの可能性残る
来週のドル・円は伸び悩む可能性がある。足元で発表された米経済指標は弱さが目立つ。9月製造業PMIは前回実績を下回ったほか、9月CB消費者信頼感指数は予想外に低調な内容となった。10月4日発表の9月米雇用統計が悪化すれば、米連邦準備制度理事会(FRB)による大幅追加利下げ観測が一段と強まり、リスク回避のドル売りに振れやすい。
一方、日本銀行は金融正常化に前向きな姿勢を堅持するものの、外部環境の変化などを受けて利上げペースは緩やかになりそうだ。金融緩和策の継続に慎重とみられる石破氏が自民党次期総裁に選出されたが、追加利上げの時期は年明け以降との見方が依然として多い。日銀金融政策の正常化は否定できないものの、早期追加利上げを意識した米ドル売り・円買いが一段と強まる可能性は低いとみられる。
【米・9月ISM製造業景況指数】(10月1日発表予定)
10月1日発表の9月ISM製造業景況指数は47.0と、前月の47.2を若干下回る可能性がある。ただし、市場予想を上回った場合、ソフトランディングへの期待が高まり、ドル買い材料となり得る。
【米・9月雇用統計】(10月4日発表予定)
10月4日発表の米9月雇用統計では失業率は4.2%、非農業部門雇用者数は前月比+14万人程度、平均時給は前年比+3.7%が市場観測。非農業部門雇用者数が市場予想を下回った場合、雇用情勢の悪化が警戒され、ドル売り要因に。
ドル・円の予想レンジ:141円00銭-146円00銭
《FA》
提供:フィスコ