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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─当面、米国株高に追随か

株式評論家 植木靖男

「当面、米国株高に追随か」

●チャート上の関門を突破

 日経平均株価は9月入りの翌日から11日まで、米国経済の減速懸念を背景に下落基調を辿り、7日間で3000円超も下げた。だが、12日の1213円高をきっかけに盛り返し、26日には1000円高の3万8925円と急伸している。米連邦準備制度理事会(FRB)の0.5%利下げでソフトランディング期待が強まり、NYダウが史上最高値を更新。日本にも海外短期筋の株価指数先物への断続的な買いが入るようになったことが背景にある。

 ここに至るまで日本株は1つの難題を抱えていた。それはチャート上で7月末以降、75日移動平均線が上値の壁となって立ちはだかり、これを抜けなかったことだ。だが、9月26日についにこの関門を突破した。これは需給面からの課題であり、それほど大きな問題とはいえないが、いかに現在の投資家がチャートを重視しているかの証しでもある。ともあれ、一つの難題を乗り越えたことは確かであり、さらなる高値を目指すにはプラス材料となる。

 一方、米国株だが9月以降、NYダウは何度も史上最高値を更新している。その背景として説明されるのが、米経済のソフトランディングへの市場の期待が強まったこと。ここで考えるべきは、FRBは何故0.5%も利下げをしたのかだ。景気減速を見据えた予防的な措置とされるが、はたしてそうか。ここへきて米国では経済指標などでじわじわと景気悪化が意識されており、その先行きは楽観できるものではない。

 だが、株式市場は史上最高値を更新するほど活況を呈している。大幅利下げで景気はそれほど悪くはならない。むしろ、良くなるとの判断なのか。

 いずれにしても、10月相場はこうした米国株高を背景に、日本株も同調して上昇を続けると見ざるを得ないが、投資家には米国株上昇に対する戸惑いも見られ半身の構えにあるようだ。もっとも、だからこそ総強気に偏らないことで、かえって相場上昇は長持ちするのかもしれない。

●出遅れ個別株物色の色彩が強まるか

 当面、どのような物色の流れになるのか。下半期入りし、新年に向けたテーマ探しが始まるとしたら、 防衛防災人工知能(AI)、商品市況、設備投資など多くのテーマが予想されるが、もちろんいまの段階では決めあぐねる。つまり、10月相場では個別物色の色合いが強まるとみてよさそうだ。それも業績を勘案しての出遅れ株物色となりそうだ。

 個別に見ていくと、まずハイテク株ではTOWA <6315> [東証P]。今期大幅増益予想の中、株価は5月の上場来高値4853円から半値以下にまで急落している。同様に大幅増益予想にもかかわらず、下値固めに終始しているミネベアミツミ <6479> [東証P]も出遅れ感が著しい。

 中国関連銘柄も浮上してきた。ファナック <6954> [東証P]が急伸している。中国景気の減速懸念から7月、9月と二度も株価の頭を叩かれた反動とはいえ、先行きに期待が持てそうだ。中国関連で資生堂 <4911> [東証P]、花王 <4452> [東証P]、ダイフク <6383> [東証P]なども復活しそうだ。

 また、商品市況では、やはり先高感が生じている非鉄株だ。早くからフジクラ <5803> [東証P]が急伸しているが、これからは住友金属鉱山 <5713> [東証P]の人気が復活しそうだ。金価格の上昇も材料だ。防衛では東京計器 <7721> [東証P]に注目したい。

 また、電力・ガス株も従来の見方を変える必要があるかもしれない。関西電力 <9503> [東証P]の動きがおかしい。

 このほか、日本マイクロニクス <6871> [東証P]は上昇相場の出発点に帰ってきた。今後、どこまで戻り切れるか。

2024年9月26日 記

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