【特集】総裁選の次は解散総選挙へ 「選挙関連株」が動兆カウントダウン <株探トップ特集>
自民党総裁選は予断を許さない状況ながら、総裁選が終われば次の焦点は解散・総選挙だ。次期総理総裁の重点政策なども今後関心を集めそうだが、まずは選挙関連に注目したい。
―新総裁の「鮮度」重視で年内解散の公算大、11月の重要外交日程前との見方強まる―
9月27日に投開票の自由民主党の総裁選挙が佳境を迎えている。過去最多の9人が立候補したことに加えて、政治資金問題を発端とした派閥の解体で異例の混戦模様といわれる総裁選も「石破氏・小泉氏・高市氏の三つ巴の戦い」との構図が固まりつつある。ただ、1回目の投票ではいずれの候補者も過半数を獲得できず、決選投票にもつれ込むことが濃厚といわれている。
総裁選が終われば、次に関心を集めるのは衆議院解散・総選挙の時期だろう。新総裁に誰がなるかによって大きく異なると言われるが、11月にも解散・総選挙が行われるとの観測もある。 選挙関連に注目したい。
●自民総裁選は決選投票が濃厚
自民党の総裁選には石破茂元幹事長、小泉進次郎元環境相、高市早苗経済安全保障相のほか、小林鷹之前経済安保相、林芳正官房長官、上川陽子外相、加藤勝信元官房長官、河野太郎デジタル相、茂木敏充幹事長が立候補している。1回目の投票は議員票368票と、党員・党友票368票の計736票で争われ、過半数を獲得する候補がいなければ、上位2人による決選投票が行われることになる。
投開票を27日に控え、党員・党友票では石破氏のリードが伝えられるが、議員票の行方は派閥解体の影響で読みにくくなっている。前述の3人以外の候補者が決選投票に残る可能性もゼロではない。党内では決選投票をにらんだ駆け引きが活発化しているようで、予断を許さないところだ。
●解散・総選挙に前向きなのは小泉氏
今回の総裁選の候補者のなかで、解散・総選挙に最も前向きとされるのが小泉氏だ。今回の総裁選への出馬に際し、「総理総裁になったらできるだけ早期に衆議院を解散し、国民の信を問う」と述べており、小泉氏が当選すれば早期解散の可能性は強まる。
石破氏は14日に行われた討論会で、「すぐ解散しますという言い方はしない」と述べ、首相就任後の所信表明演説や各党の代表質問に加え予算委員会の質疑が必要との認識を示した。また、他の候補者も早期解散に積極的な姿勢をとってはいない。
●11月10日投開票が有力か
このように、誰が新総裁になるかによって解散・総選挙の時期は異なりそうだが、新総裁の「鮮度」が落ちないうちに解散したいという意見は多いようだ。
9月28日の党大会で任期満了を迎える公明党の山口那津男代表は14日のテレビ出演で、早ければ10月27日投開票の日程で行われる可能性もあるという見方を示した。ただ、このスケジュールでは、予算委員会の審議や党首討論の実施は難しいといわれている。
一方で、11月の中旬以降はAPEC(アジア太平洋経済協力会議)やG20(20カ国・地域)首脳会議などの日程が続くことや、12月は来年度の税制改正や予算案の決定がある。それを考慮すると11月10日投開票というのが有力視されている。このほか、現地時間5日の米大統領選挙を重視し、その後の解散として12月1日あるいは8日との見方もある。
いずれにしても、「鮮度」を問題にするのなら年内解散・総選挙の公算が大きい。選挙に関連する銘柄には注目が必要だろう。
●過去の総選挙でインパクトのあった選挙関連銘柄に注目
今回、改めて注目したいのは、総裁選候補者の訴える「政策」に関連する銘柄ではなく、「選挙」そのものに関連している銘柄だ。
まず注目したいのがムサシ <7521> [東証S]だ。投票用紙交付機や投票用紙読取分類機などの自社開発の選挙関連機器を多く手掛けるほか、投票箱や投票箱のなかで自然に開く投票用紙、更には選挙用の名簿管理システムや期日前投票システムなどの選挙関連製品を多く手掛けており、選挙関連の代表格といえる。前回の2021年10月に行われた総選挙は、22年3月期の金融汎用・選挙システム機材売上高を21年3月期比2.1倍に急増させるのに大きく貢献しており、今回の総選挙の寄与も期待されている。
福井コンピュータホールディングス <9790> [東証P]は、各投票所で有権者が直接タブレットで回答し、その情報をダイレクトに自動集計する選挙出口調査システムを手掛けている。特に総選挙における業績へのインパクトは大きく、前回21年10月に行われた総選挙時には、22年3月期のITソリューション事業の売上高を21年3月期比4.4倍に急増させるのに大きく貢献した。
イムラ <3955> [東証S]も選挙関連として名が挙がる銘柄の一つだ。封筒事業で国内シェア2割強を占めるトップ企業で、選挙時には入場整理券送付用の封筒に関連した需要が見込まれる。郵便やメール便の取り扱い数量が減少傾向にあるなか事業環境は厳しいが、7月の東京都知事選挙に続く選挙関連需要の寄与が期待されている。
このほか、投票用紙分類機や投票用紙交付機などの選挙関連機器を手掛けるグローリー <6457> [東証P]、選挙の世論調査や出口調査に関連したアウトソーシングで実績が豊富なパソナグループ <2168> [東証P]、選挙情勢調査を行うマクロミル <3978> [東証P]、街頭演説など選挙用メガホンの代表格であるTOA <6809> [東証P]、選挙事務所内の什器備品レンタルのニシオホールディングス <9699> [東証P]なども注目される。
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