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【特集】ITバブルで一躍、時代の寵児に躍り出る アマゾン・ドット・コム③ Buy&Hold STORIES-4-
アマゾン・ドット・コム<AMZN>
第1章Part3
- 第1章 アマゾン始動‥ネット書店開店、そしてドット・コム・バブルへ
- 第2章 株価低迷期にアマゾン躍進を担う2大プロジェクトが始動!
- 第3章 膨張するアマゾン帝国、「4本目の柱」は何か?
第1章 アマゾン始動‥ネット書店開店、そしてドット・コム・バブルへ
3.ITバブルで一躍、時代の寵児に躍り出る
※株価単位はドル。株式分割を考慮後の修正値
上場資金で矢継ぎ早にM&Aを仕掛け、海外にも初進出
上場初年、1997年12月期の「ベゾス・レター」で、ベゾスは顧客第一主義を繰り返し訴えたが、それを証明するのがレビュー欄の存在だろう。いまではこうしたレビューは、どのECサイトにも設置され珍しくもないが、導入当初は、商品を卸す出版社や投資家から「なぜ、商品を売る立場のアマゾンが、商品に対するネガティブな情報を発信する必要があるのか」と反対の声が噴出したという。それは、当時の常識では当然の考えだった。そうした反論に接し、むしろベゾスは改めて意を強くした。「私たちはモノを売って儲けているのではない。お客様の購読判断を助けることで対価をもらっているのだ」( 『Invent&Wander』ジェフ・ベゾス、ウォルター・アイザックソン共著・ダイヤモンド社刊)と。
顧客の利益を優先するか、供給者(サプライヤー)の利益を優先するかという問題は古くて新しいテーマだ。上場から27年後の現在に至るまで、アマゾン・ドット・コム<AMZN>は度々、FTC(米連邦取引委員会)にその商慣行を問題視されている。根幹にあるのは、優越的地位を背景としてサプライヤーに圧力をかけているのではないかという嫌疑だが、それに対してアマゾンは、顧客利益を第一に考えたうえでの行動だと反論している。どちらの立場にプライオリティを与えるかによって物事は全く別の姿に映ってしまうのだ。
以後、ベゾスと同社の取り組みは、「何よりも顧客利益を重視する」という大前提の下で進められるが、その都度、社内外で意見の対立を生むことになる。だが、ネット書店の初期段階からこの命題を追求し、この姿勢を崩さずにきたことが、同社のこれまでの躍進を生んできたことは紛れもない事実だろう。
さて、上場翌年の1998年、相変わらずネット書店の売上高が拡大し、物流現場がてんてこまいに忙殺される中、社内から将来の市場予測に関する良くない調査結果がベゾスに上がってきた。曰く「消費者の大部分は本を読まない。だからアマゾンを利用したこともないし、今後も利用することはない」というものだ。報告した人間は、ベゾスが落胆、または激高することを予想していたという。だが、ベゾスは全く違う反応を見せた。
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