【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:米雇用統計、日銀短観、米ISM製造業景況指数
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
■株式相場見通し
予想レンジ:上限38000円-下限37000円
日経平均は、2日連続で高値引けとなる強い動きを見せ、約2カ月ぶりに75日移動平均線(75MA:38293円)水準を上放れた。ただ、27日大引け後の15時20分過ぎに、石破茂氏が第28代自民党総裁に決定と伝わると、為替市場では1ドル142円台までドル・円が下落。大証ナイト・セッションの日経225先物は、日中終値比2410円安の37440円で取引を終えた。
27日の米国株式市場はまちまちで、ダウ平均は前日比137.89ドル高(+0.33%)の42313.00ドル、ナスダックは同70.70ポイント安(-0.39%)の18119.59、S&P500は同7.20ポイント安(-0.13%)の5738.17で取引を終了した。
週初の日経平均は、26日と27日の上昇幅(約2000円)を丸々吐き出す格好となろう。為替、株式、金利市場いずれも追加の利上げに否定的な高市早苗氏が優勢と見ていたことから、「高市トレード」が先行し、為替市場では円全面安、株式は株高(金融株は下落)、金利市場では利回り低下の流れが強まっていた。高市氏が敗れ石破氏が自民党新総裁となったことで、「高市トレード」の逆回転が進む公算が大きい。
来週は、米雇用統計なども重要だが、やはり石破氏による党人事や政権構想などが注目となろう。石破氏は総裁選中、2026年度中の「防災庁」創設構想のほか、地方創生を掲げ、東京一極集中の是正のため地方への企業進出を促す制度を唱えていたことから、災害関連銘柄や地方創生関連銘柄に物色が向かいそうだ。さほど物色されていなかったセクターのため、中小型株から大型株まで幅広く関心が向かう可能性はある。
一方、市場が警戒するのは、一部企業への法人増税や金融所得課税の強化だ。新しいNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)はそのままの方針を打ち出していることで、岸田政権が掲げた「資産運用立国」の大枠は変えない見通しだが、金融所得課税の強化に対する市場のアレルギーは大きい。225先物のナイト・セッションでの急落もこの辺りを織り込んでいると推測する。今後、石破政権が発足し、どのような政策を掲げるのか見極めが必要な状況だ。関連銘柄への個人投資家を中心とした買いは向かいそうだが、海外投資家による腰の据わった投資資金の流入はいったん手控えられよう。
■為替市場見通し
来週のドル・円は伸び悩む可能性がある。足元で発表された米経済指標は弱さが目立つ。9月製造業PMIは前回実績を下回ったほか、9月CB消費者信頼感指数は予想外に低調な内容となった。10月4日発表の9月米雇用統計が悪化すれば、米連邦準備制度理事会(FRB)による大幅追加利下げ観測が一段と強まり、リスク回避のドル売りに振れやすい。
一方、日本銀行は金融正常化に前向きな姿勢を堅持するものの、外部環境の変化などを受けて利上げペースは緩やかになりそうだ。金融緩和策の継続に慎重とみられる石破氏が自民党総裁に選出されたが、追加利上げの時期は年明け以降との見方が依然として多い。日銀金融政策の正常化は否定できないものの、早期追加利上げを意識した米ドル売り・円買いが一段と強まる可能性は低いとみられる。
■来週の注目スケジュール
9月30日(月):小売売上高(8月)、中・製造業/非製造業/総合PMI(9月)、中・財新製造業/非製造業/総合PMI(9月)、米・MNIシカゴ購買部協会景気指数(9月)、米・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が全米企業エコノミスト協会(NABE)で講演、欧・ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が欧州議会で発言など
10月1日(火):有効求人倍率(8月)、日銀短観(大企業製造業DI)(9月)、日銀金融政策決定会合における主な意見(9月19、20日分)、欧・ユーロ圏消費者物価コア指数(9月)、米・ISM製造業景況指数(9月)、米・JOLTS求人件数(8月)、中・株式市場は祝日のため休場(7日まで、国慶節の連休)など
10月2日(水):欧・ユーロ圏失業率(8月)、米・ADP全米雇用報告(9月)、米・ボウマンFRB理事が基調講演など
10月3日(木):野口日銀審議委員が長崎県金融経済懇談会に出席・同記者会見、欧・ユーロ圏サービス業PMI(9月)、欧・ユーロ圏生産者物価指数(8月)、米・新規失業保険申請件数(前週)、米・ISM非製造業景況指数(9月)、米・ミネアポリス連銀総裁がアトランタ連銀総裁と対談など
10月4日(金):スイス・失業率(9月)、米・非農業部門雇用者数(9月)、米・失業率(9月)、米・平均時給(9月)など
《CN》
提供:フィスコ