【市況】来週の株式相場に向けて=「石破新総理」誕生後の相場を織り込む
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
特に、日経平均株価の上昇幅は900円を超える高値引けとなり3万9800円台に上昇。7月中旬以来、約2カ月ぶりの水準に上昇した。「マーケットは高市総理の誕生を織り込んでいった」(市場関係者)とみられている。
しかし、午後3時過ぎに公表された決選投票の結果は石破氏が勝利し、自民党の新総裁に選出された。石破氏勝利の結果、為替市場では午後4時時点で一時143円割れまで一転して円高が進行。日経平均株価も時間外取引で急落している。
今後は10月1日に臨時国会が召集され、石破氏が新総理に選出される見通しだ。「アベノミクス」の継承を打ち出していた高市氏と異なり、石破氏は株式市場にとっては評価が難しい新総理となりそうだ。特に、石破氏は「金融所得課税の強化」に意欲を示したことを警戒する見方がある。アナリストからは「あっても一部の富裕層に限るもので大幅な課税強化はないだろう」との声はあるが、金融市場への不安を取り除くことが今後の課題となりそうだ。
今日の大幅高の反動で、来週30日の日経平均株価は急落も予想され、株式市場は目先的には石破氏を軟調な値動きで迎える可能性がある。その一方、裏金問題に前向きな取り組みをみせることで政治への不信感を取り除くことなどが期待される。新総理誕生で内閣支持率が上昇すれば、株式市場にもプラス要因だろう。個別銘柄では、鳥取県が本社の寿スピリッツ<2222>や地方創生関連のチェンジホールディングス<3962>、雨風太陽<5616>、バルニバービ<3418>など。それに、三菱重工業<7011>や川崎重工業<7012>といった防衛関連株は引き続き人気を集めることが予想される。
上記以外では、来週も米国の景気動向が高い関心を集めそうだ。特に10月4日に米9月雇用統計が発表される。また、雇用統計に先立ち1日に米9月ISM製造業景況指数、米8月JOLTS求人件数、2日に米9月ADP雇用統計、3日に米9月ISM非製造業景況感指数と重要経済指標は目白押しだ。
国内では、1日に日銀短観が発表される。同日に8月失業率・有効求人倍率、9月開催分の日銀金融政策決定会合の「主な意見」が公表される。30日にしまむら<8227>、アダストリア<2685>、1日に象印マホービン<7965>、ナガイレーベン<7447>、2日に西松屋チェーン<7545>、霞ヶ関キャピタル<3498>、3日にキユーピー<2809>、不二越<6474>、4日に安川電機<6506>、ハイデイ日高<7611>が決算発表を行う。1日にシマダヤ<250A>が新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは、3万8000~3万8900円前後。(岡里英幸)
出所:MINKABU PRESS