貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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8316 三井住友FG

東証P
3,663.0円
前日比
+64.0
+1.78%
PTS
3,673円
00:57 11/23
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.4 0.97 3.28 12.48
時価総額 143,756億円
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日本株が過去最大の下落幅、マネー逆回転・銀行株ストップ安の波紋 <株探トップ特集>


―米景気減速懸念で金利急低下、市場の動揺続き日経平均VIは08年秋以来の高水準―

 日経平均株価が下げ止まらない。週明け5日の東京市場で日経平均株価は4451円安となった。1日の下げ幅としては「ブラックマンデー」の影響を受けた1987年10月20日を上回り、史上最大。7月11日につけた史上最高値(終値ベースで4万2224円02銭)から1カ月も経たずして1万円を超す下げとなり、一転して年初来安値に沈むなど歴史的な急落劇をみせている。

●「サーム・ルール」でマネー逆回転が加速

 8月2日発表の7月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数の伸びが市場予想を下回り、失業率は上昇。直近3カ月の平均失業率が、過去1年間の最低値を0.5ポイント上回ると景気後退に入るという「サーム・ルール」を満たすこととなった。米インテル<INTC>の人員削減を巡るニュースや、緊迫化する中東情勢も投資家心理を一段と悪化させた。同日の米ダウ工業株30種平均は一時980ドルを超す下げとなったほか、ナスダック総合株価指数も連日の大幅安。米長期金利は3.7%台と7カ月ぶりの水準に急低下した。

 米国景気の先行き懸念が一段と強まるなか、5日の東京市場は前週末と同様に、プライム市場の値下がり銘柄数が全体の約99%に上る全面安商状が続き、投資家の不安心理を示すとされる日経平均ボラティリティ・インデックス(VI)は一時85.38まで急上昇。リーマン・ショックのあった2008年秋以来の高水準をつけた。東証の業種別指数では保険業が17.6%安で下落率トップ。銀行業が17.3%安と下落率2位となった。三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]がストップ安に売られたほか、第一生命ホールディングス <8750> [東証P]や野村ホールディングス <8604> [東証P]もストップ安となった。

 日銀が追加利上げに踏み切った7月31日前後では、段階的な利上げサイクル入りへの思惑から、金利上昇による事業への好影響を見込んだ買いが銀行株を下支えしていた。しかしながら同日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に公表された7月のISM製造業景況感指数、そして同月の米雇用統計がいずれも米国の景気後退リスクを意識させる結果となり、7月初旬の「トランプ・ラリー」下で4.5%近辺まで上昇していた米長期金利は急低下している。

●サーキットブレーカー発動

 日本の長期金利にも強い下押し圧力が掛かり、5日の円債市場では一時0.750%と4カ月ぶりの低水準をつけた。内外金利の低下などを受けた銀行株売りに拍車が掛かるなかで日経平均とともに、東証株価指数(TOPIX)も年初来安値を更新。日経平均とTOPIXなど株価指数先物取引では一時、サーキットブレーカーが発動する事態となった。

 振り返ると20年には、新型コロナウイルス感染症の拡大により経済活動の停止を世界が余儀なくされ、日経平均は同年1月高値の2万4100円台から3月に1万6300円台とおよそ7800円の調整をみせた。16年のブレグジット(英国の欧州連合離脱)決定や米大統領選でのトランプ氏勝利の直前、15年8月のチャイナ・ショック、11年3月の東日本大震災、08年秋のリーマン・ショックなど、内外のさまざまな要因によって日本株は数多くのショック安を経験してきた。下げ相場は上げ相場よりもスピードが速い。冷静さを保つ一部の投資家を除いて、上げ相場は熱狂を与え、下げ相場は大きな動揺をもたらす。

 直近まで世界の株式市場は、米国のマイルドな景気鈍化と米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが両立するソフトランディング期待に支えられてきた。その土台が揺らぐなかで、米ハイテク株から資金が流出し、これに連動する形で日本株の買いポジションを積み上げてきた海外勢が一斉に売りに動いている。ショック安ではあるが、リーマン・ショックのような金融システム不安の高まりを契機とするものではない。一部のアセットに集中していたマネーの逆回転によるものである。

●FRBの対応注視、日銀9月利上げ観測は後退へ

 マーケットの一部ではFRBの緊急利下げを期待する向きもある。ただし株安が一時的なものとなり、金融システム不安が高まらないのであれば、実現可能性としては乏しいだろう。「仮にFRBが緊急会合を開くものなら、『そんなに米国経済は悪いのか』という余計な憶測が広がりかねない」(水戸証券投資顧問部シニアファンドマネージャーの酒井一氏)との声もある。今のところは9月のFOMCでの0.50%の大幅利下げがメーンシナリオとなり、米金利もこれを織り込む動きとなっている。CMEフェドウォッチによると、9月のFOMCでFRBが0.50%の利下げに動く確率は90%を上回っている。

 そして日銀については、マーケットの急変を受け、9月の金融政策決定会合での追加利上げは困難との思惑が早くも市場に広がっている。追加利上げが見込めないとなれば、ドル円相場にはサポート要因となるが、米国の利下げ観測が一段と強まれば、ドル売りを誘発するかたちで相場に下押し圧力を掛けることとなる。急激なボラティリティの上昇を背景に、円キャリー取引のポジションが巻き戻される形で、一時1ドル=141円台まで円高が進行しているが、それまでの円キャリー取引に絡んだポジションの大きさゆえ、円高の流れが早々に収束すると決めてかかるのは難しい。

 日銀の追加利上げ観測の後退は、当然のことながら銀行株には逆風となる。5日の三井住友FGは朝方のストップ安局面を経て、一時的に下げ渋ったが、後場に売り直しとなり再びストップ安に張り付いた。金融株のみならず、5日にストップ安をつけた銘柄数は800を超える規模となっている。投げが投げを促す環境下で、個人投資家による追証に絡んだ売りが相場を一段と下押しすることへの警戒感が強まっている。急落局面のなかで冷静さを保ちつつ、底入れのタイミングを探る姿勢が、市場参加者にこれまでになく求められていると言えそうだ。

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