貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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6723 ルネサス

東証P
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AI革命は次の爆騰ステージへ、「エッジAI関連」で化ける7銘柄 <株探トップ特集>


―米国のITジャイアントが軒並み参戦、「生成AI」標準実装時代の新出世株を探せ―

 東京株式市場は強弱観対立のなかも足もとは次第に強気優勢の色を帯びてきた。日経平均株価は今週に入りボックス上限の3万9000円台前半を離脱、4万円大台挑戦のムードを漂わせている。折からの為替市場での円安進行によって日本株の割安感が増幅され、海外投資家の日本株への資金還流を誘発している。円安が輸出採算改善の観点でハイテクセクターに追い風となる一方、物価への影響から円安を阻止したい日銀の金融政策正常化に向けた思惑を背景に、運用面で追い風となる銀行や保険といった金融株にも改めて投資マネーが流れ込んでいる。

 ただ、全般相場が底上げとなった後は、次の投資ターゲットを求めて個別銘柄選別の動きが強まる。いわゆるテーマ物色の波が形成されるが、成長シナリオが描けるセクターとしては、やはり 生成AI周辺でビジネスチャンスを捉える企業が最右翼といえる。生成AIの加速度的な拡大がデータセンター建設特需をもたらしているのは周知の通りだが、クラウドサービスであるがゆえの限界やリスクも内包している。それを解消する新技術が「エッジAI」であり、米国をはじめとする世界のビッグテックが同分野に経営資源を注ぐ動きが顕在化している。東京市場でもエッジAI関連株が脚光を浴びそうだ。

●生成AI急拡大でもう一つの「時代の要請」

 生成AIは文字通り日進月歩で進化を遂げているといってよいが、つれて利用者層も急速な伸びを示しているのはいうまでもない。Web検索に生成AIが自然に導入されるようになり、これはインターネットを日々活用する我々にとって、生成AIもまたその一つのピースとして日常と同化する段階に入ったことを意味する。

 しかし、クラウドサービスの難点は利用者が殺到することでレスポンスの遅延や、プライバシー保護などセキュリティー面のリスクをはらむことだ。また、今は生成AI市場の拡大で必須となるAIサーバーの増設によって電力需要の膨大化も警戒される状況にある。こうした環境下でクラウド経由ではなく、ネットワークの末端にあるデバイス、つまり「エッジ(端)」にAIを組み込むことによって、ユーザー層には迅速なレスポンスやプライバシー保護、通信コスト面での優位性を提供し、ベンダー側にとっても電力消費の問題やインフラ拡充の遅れといったリスクがカバーされる。これがエッジAI導入のコンセプトだ。

●チャットボットを“持ち歩く”時代に

 では、ネットワークの端末にあるデバイスとはどういうものか。それは最も分かりやすいのは我々が肌身離さず所有しているスマートフォンが挙げられるが、エッジAIの本格普及は、ユーザー層にとって具体的なところで チャットボットの利用などで福音となる公算が大きい。このほかパソコンはもちろん、エレクトロニクス化が進展する自動車や、街中のさまざまな場所に設置されているAIカメラなども該当する。

 ネットに接続困難な場所や状況にあっても、常に(生成AIを含む)AIを至近距離で活用することができる。例えばAI活用でレスポンスの速さが求められる事例としては、1秒の差で事故と隣り合わせの自動車などで非常に重要性が高い。自動運転の本格普及期にはエッジAIはなくてはならない技術といえる。

●目の色を変える米IT大手、再び爆需発生か

 米国ではエッジAIに関して半導体ファブレス大手のクアルコム<QCOM>がスマホ分野で先行している。同社のスマホ向けプロセッサーが生成AI対応の先駆的商品として注目度が高い。しかし、他の米ビッグテック各社が同分野で手を拱(こまね)いているはずもなく、アルファベット<GOOGL>傘下のグーグルやアップル<AAPL>なども生成AIをスマホに搭載する計画に意欲的だ。また、マイクロソフト<MSFT>は生成AIを迅速に動かす機能を搭載したパソコンを開発したことを5月に発表している。

 スマホについては、近年はバージョンアップしても新機能で決め手を欠き、販売が停滞するケースが目立っていた。半導体メモリーの在庫調整(半導体市況軟化)の大きな要因ともなっていたが、このエッジAI機能が搭載されることにより、近い将来に爆発的な買い替え需要を生む可能性もある。AI革命のネクストステージを担うテーマであり、東京市場でも同分野で存在感を放つ銘柄群にスポットライトが当たりそうだ。今回のトップ特集ではエッジAI関連で株価変身余地が大きい有望株を7銘柄エントリーした。

●株価飛躍へダイナミズムをみなぎらせる7銘柄

◎ジーデップ・アドバンス <5885> [東証S]

 ジーデップはディープラーニングなどAI領域で必要なハードやソフトの開発及び販売を手掛ける。米エヌビディア<NVDA>のエリートパートナーであり、GPUサーバーの販売では国内トップに位置する。エヌビディア製の推論用エッジデバイスの販売でも早くから実績を積み重ねている。このほか、インテル<INTC>やアドバンスト・マイクロ・デバイシズ<AMD>といった米国を代表するビッグテックからパートナー認定を受けるなど、高い信頼を確保し近年の業績成長トレンドに反映させている。

 業績も24年5月期はトップラインが前の期比2ケタ増収で初の40億円台に乗せる見通し。営業利益は同14%増の6億3400万円予想とこちらも2ケタ伸長となり、売上高・利益ともに連続で過去最高更新が見込まれている。

 株価は今年3月6日に1万6600円の年初来高値をつけた後は大幅な調整を入れているが、これは第3四半期に売上高は好調だったものの、利益面が停滞したことが影響している。しかし、中期的な成長力は折り紙付きでここは買い場。25年5月期も2ケタ増収増益が続く公算が大きい。早晩1万円大台復帰を通過点に戻り足を強める動きが想定される。

◎フィックスターズ <3687> [東証P]

 Fスターズは高度なソフトウェア技術を有し、顧客企業のソフトウェアを高速化する技術で優位性を発揮するほか、次世代コンピューティングの切り札とされる量子コンピューターやAIコードレビュー技術でもその実力を示す。先端技術分野に強く、同社のエッジAIアプリケーション開発クラウドプラットフォーム「GENESIS DevEnv」はルネサスエレクトロニクス <6723> [東証P]が導入するなど実績が高い。また、スーパーコンピューター分野では、富士通 <6702> [東証P]や理化学研究所などと「富岳」で協業関係を構築している。

 業績も好調を極めている。トップライン・利益ともに過去最高水準にあり、24年9月期は売上高80億円(前期比14%増)、営業利益23億円(同10%増)といずれも連続で過去最高を更新する見通し。売上高利益率の高さも特筆される。

 株価は今年3月6日に2516円の上場来高値を形成した後に調整を入れ、足もとでは2000円手前での推移となっている。しかし、成長力の高さを考慮すれば時価近辺は絶好の拾い場といえそうだ。最高値奪回は時間の問題といえ、中長期で3000円大台を指向する強調展開が見込まれる。

◎ヘッドウォータース <4011> [東証G]

 ヘッドウォはAIを活用して企業の経営課題を解決するソリューションビジネスや企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)導入支援などを手掛ける。エッジAI分野には早くから取り組んでおり、ソニーグループ <6758> [東証P]のグループ企業と連携するなどして展開力強化に努めている。

 直近では5月下旬にエヌビディアとドイツのシーメンスの先端技術を活用し、新たに産業用エッジ生成AIシステムを開発したことを発表、先端領域に次なる一歩を踏み出した。既に、昨年6月からエヌビディアの正規代理店でもあるマクニカホールディングス <3132> [東証P]傘下の半導体商社マクニカともエッジAIの企画・運用のサポート体制強化を目的に協業体制にある。このほかAIチャットボット分野でも強みを発揮する。

 業績はトップラインの伸びが顕著で、24年12月期は前期比27%増の29億2800万円を見込み、営業利益は同2.4倍の2億2600万円を予想している。株価は当面は5月22日の戻り高値1万4650円クリアが第1目標だが、中期的には今年3月6日の上場来高値2万490円の奪回も射程圏に。

◎Laboro.AI <5586> [東証G]

 ラボロAIは、顧客企業ごとに経営課題や戦略に合わせたオーダーメイドのAIサービスを開発、及び導入コンサルティング事業「カスタムAIソリューション」を展開している。マシンラーニングのスペシャリスト集団として、企画立案(ビジョン策定)から導入・実装、チューニング(運用支援)に至るまでワンストップで対応できることが強み。また、カスタムAI搭載カメラソリューションの提供も行っている。

 業績面では利益水準こそまだ低いがトップラインは顕著な伸びを示しており、時流を捉えた成長性に富むビジネスモデルが魅力。23年9月期の売上高は前の期比87%増の13億6900万円と急増、24年9月期も前期比20%増の16億4400万円を見込むが、続く25年9月期も2割前後の伸びが続く公算が大きい。

 株価は5月23日に1835円の直近高値をつけた後は大幅な調整を強いられたが、ここにきて売り物が枯れ株価も下値限界を示唆、5日移動平均線を足場に浮上気配をみせる。株式需給面では貸株市場を経由した空売りが溜まっていることで、どこかでその買い戻しが機能してリバウンドを助長する可能性がある。

◎ザインエレクトロニクス <6769> [東証S]

 ザインは半導体のファブレスメーカーで特定用途向け半導体を自社ブランドで独自開発する。アナログとデジタル双方における深い知見を生かしたミックスドシグナルLSI製品の開発及び販売をコア事業とし、AI・IoT分野におけるハードウェアやソフトウェアを幅広く手掛けている。ハイスペックな次世代高速インターフェース技術と画像処理LSIの提供を行い、とりわけエッジAIカメラソリューションの実力に市場の注目度が高い。

 エッジAIカメラではディジタルメディアプロフェッショナル <3652> [東証G]と連携して次世代スマートBEMS(ビル・エネルギー管理システム)をはじめとするソリューションに取り組んでいる。業績も24年12月期は大きく変貌しそうだ。売上高が前期比44%増収を見込むなか、前期4000万円の赤字だった営業損益は10億2400万円と大幅黒字化が予想されている。

 株価は2月以降、900~1300円のゾーンを荒い値動きで往来する展開をみせていたが、6月中旬を境に継続的な資金流入が観測され、直近は大きく上放れる格好に。約8年ぶりとなる1500円台突入を目前としている。

◎サイバートラスト <4498> [東証G]

 サイバトラスは認証・セキュリティー事業を主力にIoT事業、Linux/OSS事業を手掛ける。SBテクノロジー <4726> [東証P]が同社の過半の株式を保有する筆頭株主。認証関連ではマイナンバーカードの利用増加に伴う需要を取り込むほか、IoTもセキュリティーコンサル案件が好調で業績成長を後押ししている。また、エッジAI環境に必要なセキュリティー機能をパッケージ化した「EM+PLS」を提供、サイバーセキュリティー国際規格に対応するための認証機能にも見合う安全性の高いエッジAI環境実現に一役買っている。

 25年3月期は売上高が前期比11%増の72億円、営業利益が同17%増の13億円といずれも2ケタ伸長で過去最高更新が続く見通しだ。連結決算に移行した18年3月期以降は業容拡大が続きトップラインは増勢の一途、営業利益も増収効果を反映して高成長路線をまい進している。

 株価は5月中旬から今月中旬まで、約1カ月間にわたる調整局面を強いられたが、目先トレンド転換し21日には1908円の高値を形成、その後は上昇一服となっているが、日足一目均衡表は雲抜けを果たしており再騰への期待が膨らむ。

◎モルフォ <3653> [東証G]

 モルフォは東京大学発のベンチャーで、スマートフォン向け手振れ防止用画像・動画処理ソフトを主力に、デジタル画像処理における独自技術を駆使したソフト開発に特化。収益の主柱を担うのはロイヤルティー収入で売り上げの約半分を占めている。車載分野やDXの事業領域に照準を合わせているが、一方でエッジAI分野も深耕している。同社のAI画像鮮鋭化技術「Morpho Deep Deblur」は、AIを活用して画像に発生するさまざまな種類のブレを除去し鮮鋭化するもので、中期的にもエッジAIの普及局面で活躍が見込まれる。

 業績面では赤字が続いていたが、24年10月期は売上高が29億円(前期比22%増)と19年10月期に達成した過去最高を上回る見通しにあり、営業損益も2億円の黒字と5期ぶりに黒字化が予想されている。

 株価は今中間期の決算発表を受け今月17日にマドを開けて急騰を演じた。その後は調整を強いられたが、下旬以降は75日移動平均線をサポートラインに1700円台後半から1800円台前半のゾーンでもみ合っており、上放れの機をうかがう状況にある。

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