貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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7011 三菱重工業

東証P
2,215.0円
前日比
-44.0
-1.95%
PTS
2,210円
19:21 11/27
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
32.4 3.30 0.99 5.01
時価総額 74,726億円
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生活に浸透するクリーンエネ、「水素関連株」に流れ込む投資マネー <株探トップ特集>


―G7気候・エネルギー・環境相会合を経て、温室効果ガス削減の切り札として再脚光―

 4月下旬にイタリアで開催された主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合では、世界全体で温室効果ガス削減を進めるため、G7以外の国に対して、2030年以降の新たな削減目標を25年初頭までに提出するよう働きかけることなどが決められた。改めて温室効果ガス削減に向けた各国の取り組み加速が予想されるなか、今回はそのカギを握るクリーンエネルギーの一つである「水素」にスポットライトを当てた。

●水素の新技術開発に傾注する三菱重

 三菱重工業 <7011> [東証P]は4月下旬、同社が運営している「高砂水素パーク」内で、次世代の高効率水素製造技術である固体酸化物水蒸気電解「SOEC(Solid Oxide Electrolysis Cell)」のデモ機の運転を開始したと発表した。このSOECは、同社がすでに開発・製品化している固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)の技術を応用したもので、高効率であるという利点に加え、独自の円筒形セルにより他社にはない高圧化を可能にする技術として開発を推進している。

 今後も更に水素製造における高出力・大容量化を目指して技術開発を進めていくことになるが、その端緒として今回のデモ機の稼働開始は大きな一歩となる。ちなみに、同パークでは、水素「製造」エリアにアニオン交換膜(AEM:Anion Exchange Membrane)水電解方式、メタン熱分解方式といった異なる水素製造装置の製品化に向けた実証を進めていく計画となっており、日本の水素技術の高度化に向けて大きな役割を果たす施設になっていくことが予想される。

●トヨタなど自動車メーカーも本腰

 一方、我々の生活の裏で進むこうした水素の技術開発の進展は、なかなか実感としてイメージが湧きにくいのも事実。そこで、紹介したいのがトヨタ自動車 <7203> [東証P]、カワサキモータース、スズキ <7269> [東証P]、ホンダ <7267> [東証P]、ヤマハ発動機 <7272> [東証P]、川崎重工業 <7012> [東証P]が参加する、水素小型モビリティ・エンジン研究組合「HySE(ハイス)」の取り組みである。

 1月5~19日にサウジアラビアで開催された「ダカール2024」における取り組みの成果はあまり知られていないかもしれないが、同研究組合は水素エンジンを搭載したバギー「HySE-X1」でダカール2024に参加し、10日間で1000キロメートルを走破するレースにおいて、クラス4位で完走を果たした。ダカールラリーといえば、厳しい気象条件の中、砂漠から泥濘地帯、山岳地帯などさまざまな路面を走ることから「世界一苛酷なレース」とも評され、水素エンジンの実用性という意味でも今回の結果は意義あるものといえる。

●我々の日常にも浸透する「水素」

 自動車と同じ乗り物という範疇では、JR東日本 <9020> [東証P]が水素ハイブリッド電車のHYBARI(HYdrogen―HYBrid Advanced Rail vehicle for Innovation)のテスト走行に挑んでいる。また、ある意味、自動車や電車よりも我々の身の回りに近いと言っても過言ではない領域にまで、今や水素は浸透しつつある。例えば、「生活」領域では既にリンナイ <5947> [東証P]やノーリツ <5943> [東証P]が水素を用いた家庭用給湯器を開発しているのだ。また、直近のホットトピックで言えば、「食」の領域への水素進出が挙げられる。

 東京にある「icHi(いち)」というレストラン(4月12日開業)は、水素コンロの製販企業であるH2&DX社会研究所を中核に、新コスモス電機 <6824> [東証S]や新明和工業 <7224> [東証P]など9社が協力しており、水素で調理された「水素焼きコース」を楽しめる。燃料の臭いがつかないため、食材本来の風味を生かした調理が可能なほか、しっとりとした焼き上がりが特長という。

●本命から穴株まで幅広い視野で選別

 水素関連の設備企業は、従来は工業用途の供給がメインだったが、これらをきっかけに、提供領域を広げていく狙いがあるもようだ。50年カーボンニュートラルの達成に向けて大きな切り札となるであろう水素だが、同元素に対する期待感は国内外で高まり続けている。今回は、そんな「水素関連」の銘柄に改めて焦点を当ててみる。銘柄選定においては、中核に位置付けられる銘柄から、これまで水素関連として認知されていなかったであろう銘柄まで幅広く取り上げた。

 岩谷産業 <8088> [東証P]は水素関連としての中核銘柄として注目度が高い。同社は23~27年度の中期経営計画「PLAN27」における重点施策として、水素戦略、脱炭素戦略、国内エネルギー・サービス戦略などを掲げている。これまで協業関係にあったコスモエネルギーホールディングス <5021> [東証P]との資本・業務提携により、水素エネルギー分野に関して、コスモエネルギーグループが保有するSS(サービスステーション)ネットワークを活用した水素供給ネットワークの構築を検討する。4月には今後普及が見込まれる大型燃料電池トラックへの短時間での充填が可能な「岩谷コスモ水素ステーション平和島」を開所した。

 やまびこ <6250> [東証P]は小型屋外作業機械と農業用管理機械などを手掛けている。2月には建設現場などのカーボンニュートラルに貢献するShindaiwa発電機・溶接機19機種のバイオ燃料(RD)対応を発表するなど、環境対応を進めている。また、i Labo社と共同開発した水素エンジン発電機の実証機を3月に東京都・有明で開催された「フォーミュラE 2024 Tokyo E-Prix」において初稼働しており、10台のフードトラックに7時間にわたり安定した連続稼働と電源供給を実現した。

 ブラザー工業 <6448> [東証P]はプリンター・複合機、デジタル印刷機、産業機器、産業用ロボットやFA機器の駆動を担う高剛性減速機、家庭用ミシンなどを手掛けている。しかし、これ以外にも水素関連プロジェクトを象徴するブランド「PureEne」において、燃料電池、水素吸蔵合金、水素柱上パイプラインなど、水素利活用のプロジェクトに取り組んでおり、同関連株として意外性がある。

 東陽テクニカ <8151> [東証P]は最先端の計測ソリューションプロバイダーで世界150社以上の企業をパートナーに、計測に関わる最先端の技術を提供している。3月29日付で、燃料電池評価装置の製造に協力会社として携わっているエル・テール社を100%子会社化しており、水素コア技術である 燃料電池や水電解の評価システムについて増産体制を構築する計画。

 TOPPANホールディングス <7911> [東証P]は世界初となる独自の製造方式による、触媒層付き電解質膜(CCM)/膜電極接合体(MEA)の生産設備を昨年8月に高知工場に導入し、高性能・高品質な電極部材の販売を行っている。CCM/MEAとは、水素を製造する水電解装置、水素の貯蔵や運搬に関わる電解槽、水素を利用する燃料電池において、中核となる重要なエネルギー変換デバイスのことで、水素活用に向けた動きが今後加速するにしたがって、同社株に対するマーケットの関心が高まりそうだ。

 酉島製作所 <6363> [東証P]は大型・高圧ポンプを手掛けるが、今年の3月には京都大学と共同で、高温超電導モーターを搭載した世界初となる大流量・高効率の液化水素ポンプを開発し、運転試験に成功している。液化水素の効率的な大量運搬は、水素コストの大幅な低減に寄与する。同社は30年以降の水素サプライチェーン商用化に向けて、更なる大流量、高圧力を目指して開発を進める計画である。

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