クリレスHD Research Memo(6):2024年2月期は大幅な増収増益を実現(2)
■クリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>の決算概要
各カテゴリー別の業績は以下のとおりである。
(1) CRカテゴリー
売上収益は前期比18.2%増の47,326百万円、カテゴリーCF※1は同40.1%増の5,132百万円となった。都心・観光立地やインバウンド需要を取り込む業態が好調に推移し、実質既存店売上高(通期平均)はコロナ禍前比89.9%(前期は75.2%)にまで回復してきた。特に期末月(2024年2月)についてはコロナ禍前を上回る水準(106.1%)となっており、今後に向けても明るい兆しと言える。新規出店9店舗※2、退店31店舗により、期末店舗数は484店舗となった。
※1 カテゴリーCF(キャッシュ・フロー)は、調整後EBITDA(=営業利益+その他の営業費用-協賛金収入等を除くその他の営業収益+減価償却費+非経常的費用項目)をベースとしているが、有用な期間比較のため一過性要因となる時短協力金は控除している(以下、同様)。
※2 投資効率の高いゴルフ場内レストランの新規業務受託5店舗を含む。
(2) SFPカテゴリー
売上収益は前期比26.9%増の29,079百万円、カテゴリーCFは同249.3%増の2,997百万円となった。コロナ禍の収束やインバウンド需要も追い風となり居酒屋業態が好調に推移した。実質既存店売上高(通期平均)はコロナ禍前比87.0%(前期は69.2%)に回復し、とりわけCFについては大幅な改善を実現した。新規出店7店舗※、退店13店舗により、期末店舗数は202店舗となった。
※「磯丸水産」2店舗、「五の五」3店舗など。
(3) 専門ブランドカテゴリー
売上収益は前期比34.1%増の51,473百万円、カテゴリーCFは同66.5%増の5,378百万円となった。2022年12月にグループインしたサンジェルマン(及びレフボン)が通年で寄与したほか、そば・ベーカリーといった日常食業態が好調を維持した。実質既存店売上高(通期平均)はコロナ禍前比88.1%(前年期は77.7%)に回復し、CFも大きく改善した。新規出店10店舗※1、退店19店舗※2により、期末の店舗数は368店舗となった。
※1 全国農業協同組合連合会(以下JA全農)とのコラボによる出店6店舗を含む。
※2 サンジェルマン12店舗を含むが、PMIに伴うものであり、立地や競合環境等を踏まえた当初計画どおりの退店のようだ。
(4) 海外カテゴリー
売上収益は前期比6.5%増の19,706百万円、カテゴリーCFは同32.4%増の2,409百万円となった。コロナ禍前を上回る状況が継続しており、円安による影響を除いても、既存店売上高は前期比110.8%、コロナ禍前比135.9%と順調に伸びている。また、CFについても増収効果に加え、収益化が遅れていたニューヨーク3店舗(CRNY)の撤退等に伴うマージン率の上昇により大きく増加した。新規出店8店舗※、退店7店舗により、期末店舗数は55店舗となった。
※香港2店舗「MOMIJI CHAYA」、シンガポール1店舗(しゃぶ菜)、北米1店舗(IL Fornaio)、ジャカルタ1店舗(AWkitchen)、タイ3店舗(かごの屋)。
3. 2024年2月期の総括
以上から、2024年2月期を総括すると、(1) 計画を上回る既存店の伸び(回復)を実現できたところと、(2) 戦略的な業態変更や退店、減損処理等により筋肉質なコスト構造への転換をさらに進めたところの2点に集約される。特に(1) は、ポートフォリオの見直しなどを通じて、消費志向の変化に対応しながら需要の回復をうまく取り込めている証左と言えるだろう。(2) についても、今後の収益力強化につながるものとして評価したい。また、活動面では、後述のとおり、JA全農との包括業務提携の締結などで注目すべき成果をあげた。食材の品質や安全はもちろん、国内農畜産業の振興支援は消費者への訴求効果が高いため、同社のブランド戦略にも資するものと期待できる※。
※「食の安全安心」や「産地との共存共栄」は、同社サステナビリティにおける重要課題(マテリアリティ)にも特定されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
《SI》
提供:フィスコ