貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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6758 ソニーグループ

東証P
3,018.0円
前日比
+35.0
+1.17%
PTS
2,995円
21:07 11/27
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.5 2.35 0.66 2.45
時価総額 188,417億円
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個人ブロガー三竿郁夫氏:2024年DXの屋台骨を支える半導体に関わる戦い【FISCOソーシャルレポーター】


以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人ブロガー三竿郁夫氏(ブログ「IA工房」を運営)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

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【2024年DXの屋台骨を支える半導体に関わる戦い】
DX(デジタルトランスフォーメーション)があるゆる業界のイノベーションを牽引するデジタル産業革命の時代に突入している。
自動車業界の最前線は、EV(電気自動車)もさることながら、ITプラットフォーム会社をも巻き込み、DXの1分野である膨大なMaaS市場を視野に入れはじめた。通信業界が牽引する5Gもあらゆる業界のDXに影響を及ぼし始めた。一方、今までイノベーションに遅れをとってきた役所・教育業界・医療業界でも2023年には,マイナカード/AI教育/リモート診療等、個々の顧客に丁寧に素早く対応するDX関連サービスが動き始めた。
これらの全ての動きは、DXあっての賜物。そのDX活用を支える重要な基盤が半導体だ。2022年-2023年は、半導体がないので車の納期が遅れ、半導体がないから兵器が作れないというニュースが流れた。そのことにより、半導体の重要性・深刻性が再認識された年でもあるが、さらに2024年2025年は、DXのさらなる進展とともにそれを支える半導体業界の変革と競争の話題が多くなりそうだ。
「日本は半導体ビジネスの敗者、やっと最先端技術を取り入れたTSMCの工場が日本にできる」というニュースは流れたが、それは何を意味するのか、もっと大きな視野でみると、半導体関連産業の各社シェアの戦いのみならず、バリューチェーンの中でどこをどの国が抑えるかという国レベルの戦いにも波及していく。
世界情勢が不透明になっていく2024年、これら半導体関連の激化する戦いの視点から、最前線の企業の動きを追ってみたい。

< DXの屋台骨を支える半導体に関わる戦いに関連して >

いろいろな視点の中で日本企業の特に競争力のある部分は、1. ウェハと5. 製造装置であることは、よく知られている。また、ファブレスか垂直統合かという動きも重要で、この視点分類ではわかりにくい部分もあり、それぞれの企業の方向性と将来性は慎重に見極める必要がある。

1. 最上流: 半導体素材・シリコンウェハの視点

上流部分(半導体素材)で注目するべきは、ウェハ素材とエッチング素材だ。最先端半導体の基板に使われる高純度多結晶シリコンの技術で高いシェアをとっているのが、信越化学工業<4063>とSUMCO<3436>。
・信越化<4063>は、主流になりつつある300mmウェハ増産を糸魚川工場・東京工場(さいたま)で計画している。
・SUMCO<3436>は、2023年12月九州工業大学と半導体に関する共同研究の協定を結んだ。
・東京応化工業<4186>は、エッチング素材(フォトレジスト)のトップシェアを有し、2022年度17%の記録的な営業利益を達成している。露光装置で圧倒的なシェアを持つASML(オランダ)や前工程の工場に主要サプライヤーとしてフォトレジストを供給している。韓国での需要拡大に伴い仁川工場に新検査棟を建設することが発表されている。

2. 回路開発設計・ファブレスの視点
半導体業界では、ファブレスという言葉が頻繁に使われる。製造を持たない設計会社のことである。
・ロジック半導体の雄 Intel(米国)、AMD(米国)、Apple(米国)等が設計に注力するファブレスに移行する中で、日本の企業として注目されているのが、富士通<6702>とパナHD<6752>のSoC部門を統合した自動運転用半導体に強いソシオネクスト<6526>。ソシオネクストは、TSMC(台湾)の2nmプロセスで作るCPUの開発に取り組み、この開発でアーム(英国)とも協業する
・アーム<英国>は、投資会社から脚光をあびている英国の半導体設計大手で、2016年にソフトバンクが買収したが、その価値は買収時の3倍ほどになっている。ソフトバンクG<9984>の株価は、アームの株価動向にかなり左右されている。

3. 前工程:ファウンドリーの視点
前工程は、国別で70%以上が台湾。TSMC<台湾>が圧倒的に強い。韓国が9% サムスン電子<韓国>がそれに続く。
・TSMC<台湾>が、世界的に注目され米中分断の鍵になっているのは、半導体前工程の大半の世界シェアをTSMCが握っていることにある。半導体生産のバリューチェーン上、最も技術的にも難しく米国も中国も圧倒的に台湾に差をつけられている要の工程である。TSMC<台湾>は、熊本に新工場を建設し、その運営を日本の子会社JSMCが行う。JSMCには、ソニーセミコンダクターおよびデンソー<6902>が出資している。TSMCは、米国アリゾナにも工場を建設中で2025年生産開始予定と言われている。
・サムスン電子<韓国>は、3nm、2nm、1.7nmの最先端の前工程微細化技術開発をTSMCと争っている。その要の露光技術に関し、露光装置業界の雄 ASML(オランダ)との提携が発表された。

4. 後工程: アセンブリーの視点

後工程もやはり台湾が強くシェアは50%ほど。それに続くのは中国と米国。後工程の専門会社をOSATと呼び、ここでも競争が激化している。
・Amkor<米国>は、Appleが最大の顧客でアリゾナに新工場を建設し、TSMC<台湾>のアリゾナ進出を支援する。
・サムスン電子<韓国>は、後工程のパッケージング技術研究拠点を横浜に新設する。

5. 製造装置・テスト装置の視点
・ASML<オランダ>は、露光装置で圧倒的なシェアを持つ半導体バリューチェーンの一つの要だ。欧州を代表する企業として、米国・中国・欧州間の戦いにも影響を与えている。
・ニコン<7731>やキヤノン<7751>が、ASMLを追う立場にあるが、いずれも新型の露光装置の開発、販売を発表している。
・東京エレクトロン<8035>は、TSMCの熊本進出に伴い、九州での事業の規模を2倍にする計画だ。
・ディスコ<6146>は、後工程のダイシング装置のトップ企業だが、呉市で新工場を立ち上げ、生産能力を一挙に引き上げる。
(*) 高シェアを持つ日本の製造装置会社は、TSMC/サムスン電子/Amkor等の前工程・後工程の顧客の生産拡大に呼応して設備投資が続いている。

6.用途別半導体製品の視点
用途別の分類として、ロジック半導体、パワー半導体、イメージ半導体、AI半導体等がある。
・イメージ半導体で大きな利益をあげているソニーG<6758>。Appleのスマホ向けのイメージセンサーを熊本で大量に生産し、TSMC熊本工場とも連携していく。
・パワー半導体で世界4位の三菱電機<6503>は、ネクスペディア<オランダ>と電力効率の良いSiCパワー半導体を共同開発する。
・デンソー<6902>はトヨタ<7203>グループの電装会社という立場から半導体メーカーへの脱却を目指す。EVの駆動を制御する効率の良いSiCパワー半導体や自動運転等で使われる生成AIに適した半導体の開発も視野に入れている。
・ロジック半導体の一大市場スマホ関連に強いファブレスのクワルコム<米国>やエヌビデア<米国>は、TSMCの大きな顧客となっている。
・NAND型メモリー半導体は、1位のサムスン電子<韓国>を追って、東芝がファンドに売却したキオクシア<未上場>とSKハイニックス<韓国>およびウェスタンデジタル<米国>の3社が提携し、次世代メモリー開発を続けている。ウェスタンデジタルによるキオクシア買収話は破談となり、キオクシアの赤字は続いている。

7.米国チーム対中国の半導体戦争の視点

各国のメインプレーヤーは、1~6の中に登場してきたが、地政学的に米国、欧州、中国、その他の東アジアのそれぞれの強みをそれぞれの国家の威信をかけて守り抜くことに政府も動き出している。
・米国のApple,Intel,AMD, エヌビデア, クワルコム
・台湾のTSMC
・韓国のサムスン電子、SKハイニックス
・欧州のASML
・中国のHuwei
(*)一方日本企業、信越化学<4063>、SUMCO<3436>、東京応化工業<4186>、東エレク<8035>、ソシオネクスト<6526>等は、上記メインプレーヤー企業と比べ、その存在感で見劣りするが、上記メインプレーヤー企業との提携の動きも活発になっていくだろう。日本政府の支援を受け2022年に設立された新会社ラピダスが、2nm次世代半導体の開発、生産を目指すが、かなり先の話になりそうだ。

米中半導体戦争と言われ、最も話題になっているのは、台湾有事でTSMCが今後どうなるか? だが、いずれにしても、米国も中国も半導体のバリューチェーンを全て自給自足することは無理だ。
そこで、今後の
・各応用分野に特化したファブレス化の動き
・微細化技術の開発の行方
・各国間連携によるバリューチェーンの構築とリスク管理
に注目したい。

また、
国レベルでは、それぞれの国の強みを活かし、どの国とどう組むか?
企業レベルでは、それぞれの企業の強みを活かし、どの国のどの企業とどう組むか?
の模索が続くことになる。

今回挙げた「DXを牽引する企業、半導体産業の主役の企業」の例のようにDX時代の流れに呼応し挑戦しつづける会社に期待をかけ、今後もその動向に着目した情報を発信していきたい。

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執筆者名:三竿郁夫 IA工房代表
ブログ名:「IA工房」

参照: 「2030半導体の地政学」(太田泰彦著)、各社のホームエージ、報道記事等

《TY》

 提供:フィスコ

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