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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─ハイテク系は楽観論の反動だが、心配は無用!

経済評論家 杉村富生

「ハイテク系は楽観論の反動だが、心配は無用!」

●新春相場は荒れやすいもの!恐れるな!

 新年早々、正月気分を吹き飛ばすような悲惨な出来事が相次いでいる。能登半島地震の犠牲者は増えるばかりである。いたましい限りだ。大発会の株式市場は波乱の幕開けとなった。日経平均株価は瞬間、770円安まで売り込まれた(大引けは175円安にとどまる)。「日本は大丈夫か」との声があったのは確かだろう。

 ただ、2023年を思い返して欲しい。やはり、同様のスタートだった。日経平均株価は1月4日に2万5661円(432円安、ザラバベース)の安値をつけている。それが11月20日には3万3853円と、33年ぶりの高値を示現した。上昇幅は8192円、上昇率は31.9%となる。2024年はこの再現が期待できる、と考えている。

 すなわち、日経平均株価は3万8915円(1989年12月29日の史上最高値、終値ベース)を奪回するだろう。中・長期的には懸念は無用だ。とはいえ、新春相場は荒れやすい。ボラティリティ(株価変動率)は高くなる。この背景には機関投資家がアセットアロケーション(資産配分&ポートフォリオ)を年初に見直す動きがある。

 さらに、11~12月にはウィンドウ・ドレッシング(利食いの玉は売りを手控えるとともに、年末の株価を意識し買いを入れる)、タックスロス・セリング(含み損の銘柄は売却、売買益課税を圧縮しようとする)が並行的に行われる。1月にこの“逆目”が出る。要するに、利食い先行のパターンとなる。

●出遅れの野村ホールディングスが動兆しきり!

 好業績、かつテーマ性内包、PER5.9倍、PBR0.68倍のゲームカード・ジョイコホールディングス <6249> [東証S]は昨年8月高値→12月安値の下落率は66.2%に達する。貸し株を使った売り叩きにあったのだ。2月に、24年3月期第3四半期(10-12月)決算の発表を行う。それを受け、本格反騰相場に転じると思う。

 新紙幣発行(7月)関連との切り口があるマースグループホールディングス <6419> [東証P]はPER6.9倍、PBR0.70倍だ。パチンコ・パチスロ関連セクターはガイアグループの経営破綻などの影響があって、不人気だったが、この問題はそもそも「実損ゼロ」だったし、解決済みだ。今後は見直しの展開になるのではないか。

 アメリカ市場ではNASDAQ指数が続落(12月28日~1月4日に5日連続安)だ。金利低下(利下げ)を先取りした格好だったが、金利が上昇、3月利下げの確率は低下が著しい。つれて、ハイテク系セクターは利食い優先の形になっている。逆に、バイオセクターが好人気である。流れは変わる。

 ただし、巨大IT企業の相場は終わっていない。この調整は年初の利食いに加え、楽観論の反動だろう。2024年は半導体サイクルが好転期を迎える。さらに、スマホ、パソコンに買い換え需要シーズンが到来する。それに、フレンドショアリング(友好国内でサプライチェーン完結)の動きが加速している。

 実際、台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>の熊本工場、力晶積成電子製造(PSMC)の宮城工場、ラピダスの千歳工場(北海道)、オランダのASMLホールディング<ASML>の技術支援拠点(北海道)、マイクロン・テクノロジー<MU>の広島工場の増強、ソニーグループ <6758> [東証P]の合志工場(熊本)など新工場建設ラッシュではないか。

 半導体関連のレゾナック・ホールディングス <4004> [東証P]、アテクト <4241> [東証S]、巴川コーポレーション <3878> [東証S]はじっくり狙える。商い面では日本郵船 <9101> [東証P]の値動きが抜群だ。出遅れの野村ホールディングス <8604> [東証P]は動兆しきり。中期的に1株純資産(1092円)の水準を目指すだろう。

2024年1月5日 記

株探ニュース

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