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上級者・億り人が今年に期待する銘柄のトップはアレと、アレのアレ!?

24年の日本株戦略はこれだ(データ分析編~その2)

真弓重孝、高山英聖(株探編集部)

その1-「23年に含み損が最大の銘柄のトップは『ニ』で始まる、では含み益は?」を読む

約3300人の個人投資家から得た回答データを紹介するシリーズ2回目は、今年(2024年)の日本株戦略に焦点を当てる。具体的には、

・日本株市場の見通し
・主な投資方針
・売買益、配当、株主優待の期待が大きい銘柄の上位ランキング

――を紹介する。前回は、上級者および億り人と回答者全体を比較したが、今回は全体に代わって、億り人・上級者に含まれない「もう一歩さん」を比較対象とした。

以下に掲載する表の並びは、原則として左から「上級者」「億り人」「もう一歩さん」としている。

日本株市場の見通し、「強気」が多数派に

まず日本株市場の見通しについては、3カテゴリーとも「強気」「中立」「慎重」の順に回答が多かった(下の表)。

上級者・億り人は、もう一歩さんに比べて「強気」と回答した割合が15~20%ポイントほど高く、いずれも半数を超えている。一方、「中立」「慎重」と回答した割合は、いずれももう一歩さんより下回っている。

■2024年の日本株市場の見通し
順位上級者割合億り人割合もう一歩さん割合
1位強気58.7%強気52.8%強気38.8%
2位中立19.8%中立23.6%中立24.8%
3位慎重10.4%慎重11.2%慎重18.4%
4位不明6.6%不明9.0%不明11.3%
5位分析中4.5%分析中3.4%分析中6.7%
注:回答は左から順に288、89、2947

今年の投資方針、最多は「割安な銘柄を狙う」

次の「主な投資方針」では、以下の18項目のどれに当てはまるかを聞いた。

■「主な投資方針」で聞いた18項目
質問略称
外需系に配分を高める外需系
内需系に配分を高める内需系
景気敏感株の配分を高める景気敏感
ディフェンシブ系の配分を高めるディフェンシブ
円安が追い風になる企業・セクターを狙う円安
米国の金利低下が好機になる企業・セクターを狙う米利下げ
円高が追い風になる企業・セクターを狙う円高
国内の金利上昇が好機になる企業・セクターを狙う国内利上げ
売上高もしくは利益の高成長(+20%以上)を期待できる銘柄を狙う高収益
成長セクターの銘柄に配分を高める成長セクター
期待のテーマ株に配分を高めるテーマ株
低ボラティリティー銘柄を狙う低ボラ
インカムゲイン重視で銘柄を選別インカムゲイン
高ボラティリティー銘柄を狙う高ボラ
株価モメンタムを重視して適宜売買するモメンタム
マーケット・ニュートラル運用(割安をロング・割高をショート)マーケット中立
株価が割高でも状況次第で狙う割高
株価が割安な銘柄を狙う割安
注:回答項目には、「その他」「不明」の選択肢もあり

トップとなったのは、3者とも「割安」だった(下の表)。3者の回答割合を見ると、上級者が43.1%、億り人が49.4%となり、もう一歩さんの38.5%を上回った。

またバリュー派が注目しやすい「インカムゲイン」について、上級者と億り人は20%を超える人が選んだが、もう一歩さんでは20%に満たない割合となった。

■2024年の主な投資方針
順位上級者割合億り人割合もう一歩さん割合
1位割安43.1%割安49.4%割安38.5%
2位インカムゲイン28.8%成長セクター25.8%高収益24.9%
3位高収益26.7%高収益23.6%成長セクター21.6%
4位成長セクター23.3%インカムゲイン23.6%テーマ株18.6%
5位国内利上げ16.0%テーマ株20.2%インカムゲイン15.6%
6位テーマ株16.0%国内利上げ15.7%円高12.2%
7位内需12.8%内需12.4%内需11.5%
8位円高11.8%ディフェンシブ7.9%国内利上げ9.9%
9位ディフェンシブ11.1%米利下げ7.9%ディフェンシブ9.2%
10位モメンタム11.1%円高7.9%米利下げ7.9%
11位米利下げ8.0%モメンタム7.9%割高7.7%
12位景気敏感6.9%高ボラ6.7%モメンタム7.6%
13位外需6.6%景気敏感5.6%景気敏感7.2%
14位割高6.6%割高5.6%未定・不明5.7%
15位その他3.5%その他5.6%外需5.4%
16位未定・不明3.5%未定・不明5.6%高ボラ5.0%
17位円安3.1%外需4.5%円安4.6%
18位高ボラ3.1%円安2.2%その他3.2%
19位マーケット中立3.1%低ボラ2.2%マーケット中立3.0%
20位低ボラ2.4%マーケット中立2.2%低ボラ1.6%
注:回答は左から順に713、216、6510。回答は4つまで。割合は回答人数ベース

この結果は、メーンとする投資戦略が3者ともバリュー派がトップである一方で、2位のグロース派との差がもう一歩さんはわずかであることが影響している可能性がある。

下の表は、前回の記事で紹介したカテゴリー別の投資戦略のうち、回答者全体の部分をもう一歩さんに変更したものになる。上級者と億り人はバリュー派とグロース派の割合は20%ポイント以上の開きがあるが、もう一歩さんの場合は3.5%ポイントにとどまっている。

■日本株のメーンとする投資戦略
順位上級者割合億り人割合もう一歩さん割合
1位バリュー45.8%バリュー42.7%バリュー30.5%
2位グロース22.9%グロース23.6%グロース27.0%
3位不定8.3%不定19.1%不定13.8%
4位テクニカル・需給7.3%テクニカル・需給6.7%テクニカル・需給13.8%
5位株主優待狙い6.9%その他3.4%株主優待狙い6.3%
6位その他3.8%テーマ2.2%テーマ4.0%
7位テーマ3.5%株主優待狙い2.2%その他2.1%
8位イベント1.0%イベント――イベント1.2%
9位オプション・先物0.3%オプション・先物――オプション・先物0.6%
10位不明――不明――不明0.6%
注:回答は左から順に288、89、2947

グロース派の「高収益」選好、億り人と上級者では半数も、もう一歩さんは30%台

下の表は、バリュー派とグロース派別に、24年の戦略で上位に来た「割安」「インカムゲイン」「高収益」について、3者と戦略でクロス集計したものだ。その結果は、想定通りのものと、意外性のあるものが混在した。

想定通りの内容としては、まず上級者と億り人の場合、バリュー派の半数が「割安」を選んでいる点だ。またこの2者のグロース派は30%の人が「割安」を狙っている。これも、割安成長株を狙う人がいる点では、ほぼ想定内の結果といえる。

■バリュー派とグロース派別に「割安」を選んだ割合
戦略上級者億り人もう一歩さん
バリュー50.0%55.3%44.7%
グロース34.8%33.3%33.9%
注:左から順にバリュー派は132、38、900。グロース派は66、21、797。以下2つの表で同じ

「インカムゲイン」については、上級者と億り人のグロース派で20%近くが選んだ一方で、もう一歩さんのグロース派の場合は10.3%と半分程度になったのも想定の範囲内といえる。

上級者と億り人のグロース派で20%を超える人が「インカムゲイン」に注目するのは、24年には東証のPBR(株価純資産倍率)1倍割れ状態の是正要請が具体化するフェーズも、増配や自社株買いを実施する企業の評価が高まることを期待している可能性がある。

一方で、もう一歩さんは、勝ち技を磨く途上であることを踏まえると、「インカムゲイン」にグロース性の要素を見い出しにくい部分もあるかもしれない。

■バリュー派とグロース派別に「インカムゲイン」を選んだ割合
戦略上級者億り人もう一歩さん
バリュー36.4%9.8%22.6%
グロース19.7%19.0%10.3%

高収益(高成長)については、上級者と億り人で半数程度のグロース派が選んだのは想定内だが、もう一歩さんは34%の人しか選んでいない点は意外。ただし、先のインカムゲイン同様に想定内のことかもしれない。もう一歩さんの場合、将来的に高収益となる企業の見極めに自信を持てていないことが、こうした結果になった可能性がある。

もう一歩さんの場合、将来的に高収益となる企業の見極めに自信を持てていないことが、こうした結果になった可能性がある。

■バリュー派とグロース派別に「高収益」を選んだ割合
戦略上級者億り人もう一歩さん
バリュー21.2%5.3%20.6%
グロース48.5%52.4%34.0%

売買益の期待の大きい銘柄のトップは、三菱UFJ

最後に、2024年に売買益、配当・分配金、株主優待それぞれの期待の大きい銘柄のランキングを紹介する。まずは、もう一歩さんについて、期待度が「最大」「2番目に高い」「3番目に高い」銘柄を紹介する。

もう一歩さんの売買益に関するランキングは以下通りだ。

三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>や三井住友フィナンシャルグループ<8316>といったメガバンク、そしてトヨタ自動車<7203>やNTT<9432>、三菱商事<8058>といった昨年、高パフォーマンスを上げたバリュー系ないし高配当銘柄が上位を占めている。

さらに、レーザーテック<6920>や東京エレクトロン<8035>、アドバンテスト<6857>など、こちらも昨年に"祭り"が起きた半導体関連が並んでいる。

■もう一歩さんが挙げた「売買益」の期待が高い銘柄(30位以内)
最大2番目3番目
順位銘柄名<コード>順位銘柄名<コード>順位銘柄名<コード>
1位三菱UFJ<8306>1位三菱UFJ<8306>1位三菱UFJ<8306>
2位トヨタ<7203>2位トヨタ<7203>2位NTT<9432>
3位レーザーテク<6920>3位NTT<9432>3位トヨタ<7203>
4位NTT<9432>4位三井住友FG<8316>4位三井住友FG<8316>
5位JT<2914>5位JT<2914>5位JT<2914>
6位アドテスト<6857>5位信越化<4063>6位三菱重<7011>
7位三菱商<8058>7位レーザーテク<6920>7位三菱商<8058>
8位ルネサス<6723>7位東エレク<8035>8位信越化<4063>
9位東エレク<8035>9位三菱重<7011>9位レーザーテク<6920>
10位カバー<5253>10位INPEX<1605>10位INPEX<1605>
10位三菱重<7011>10位アドテスト<6857>10位日本製鉄<5401>
12位さくらネット<3778>12位ルネサス<6723>10位ルネサス<6723>
13位ソシオネクス<6526>13位ソシオネクス<6526>10位アドテスト<6857>
14位信越化<4063>14位日本製鉄<5401>14位ホンダ<7267>
15位三井住友FG<8316>15位伊藤忠<8001>15位さくらネット<3778>
16位日本製鉄<5401>15位三菱商<8058>16位東エレク<8035>
17位INPEX<1605>17位神戸鋼<5406>16位東京海上<8766>
17位コクサイエレ<6525>17位ニデック<6594>18位オリックス<8591>
19位霞ヶ関C<3498>19位さくらネット<3778>18位三菱HCキャ<8593>
20位任天堂<7974>19位カバー<5253>20位SUMCO<3436>
20位NF日経レハ<1570>19位JET<6228>20位ENEOS<5020>
22位ホンダ<7267>19位コマツ<6301>20位ソニーG<6758>
22位SBI<8473>19位三菱HCキャ<8593>20位ヤマハ発<7272>
24位オリックス<8591>19位商船三井<9104>24位TOWA<6315>
24位SBG<9984>25位ディスコ<6146>24位ソシオネクス<6526>
26位マクニカHD<3132>25位ソニーG<6758>24位JAL<9201>
26位野村マイクロ<6254>25位郵船<9101>24位KDDI<9433>
28位資生堂<4911>28位TOWA<6315>24位ファストリ<9983>
28位TOWA<6315>28位任天堂<7974>24位NF日経レハ<1570>
28位ニデック<6594>28位ANAHD<9202>30位ラインヤフー<4689>
28位スクリン<7735>28位SBG<9984>30位神戸鋼<5406>
30位ニデック<6594>
30位QDレーザ<6613>
30位任天堂<7974>
30位ANAHD<9202>
30位マイクロ波<9227>
30位SBG<9984>
注:回答は左から順に2634、2329、2067

配当期待のトップはJT、株主優待ではKDDI

配当・分配金の期待が最も大きい銘柄のトップ5は、日本たばこ産業<2914>、三菱UFJ<8306>、NTT<9432>、三菱商事<8058>、トヨタ<7203>となった。

■もう一歩さんが挙げた「配当・分配金」の期待が高い銘柄(30位以内)
最大2番目3番目
順位銘柄名<コード>順位銘柄名<コード>順位銘柄名<コード>
1位JT<2914>1位JT<2914>1位三菱UFJ<8306>
2位三菱UFJ<8306>2位三菱UFJ<8306>2位JT<2914>
3位NTT<9432>3位三井住友FG<8316>3位NTT<9432>
4位三菱商<8058>4位NTT<9432>4位三菱HCキャ<8593>
5位トヨタ<7203>5位日本製鉄<5401>5位三井住友FG<8316>
5位商船三井<9104>6位商船三井<9104>6位日本製鉄<5401>
7位三菱HCキャ<8593>7位三菱HCキャ<8593>6位三菱商<8058>
8位三井住友FG<8316>8位オリックス<8591>8位商船三井<9104>
9位オリックス<8591>9位トヨタ<7203>9位INPEX<1605>
10位日本製鉄<5401>9位三菱商<8058>10位オリックス<8591>
11位SB<9434>11位SB<9434>11位神戸鋼<5406>
12位INPEX<1605>12位郵船<9101>11位SB<9434>
12位神戸鋼<5406>13位INPEX<1605>13位ENEOS<5020>
14位川崎汽<9107>14位神戸鋼<5406>13位トヨタ<7203>
15位郵船<9101>15位あおぞら銀<8304>15位川崎汽<9107>
16位武田<4502>16位武田<4502>15位KDDI<9433>
16位KDDI<9433>17位ENEOS<5020>17位住友商<8053>
18位ENEOS<5020>17位伊藤忠<8001>17位郵船<9101>
18位みずほFG<8411>19位東京海上<8766>19位武田<4502>
20位キヤノン<7751>20位三井物<8031>20位伊藤忠<8001>
21位三星ベ<5192>20位KDDI<9433>20位SBI<8473>
21位タチエス<7239>22位特殊陶<5334>20位東京海上<8766>
23位双日<2768>23位世紀東急<1898>23位アステラス<4503>
23位伊藤忠<8001>24位川崎汽<9107>24位伯東<7433>
25位住友商<8053>25位三星ベ<5192>24位あおぞら銀<8304>
25位あおぞら銀<8304>25位ホンダ<7267>26位特殊陶<5334>
27位丸紅<8002>25位みずほFG<8411>26位いすゞ<7202>
27位SBI<8473>28位日本郵政<6178>26位丸紅<8002>
29位伯東<7433>28位伯東<7433>29位ホンダ<7267>
30位世紀東急<1898>28位丸紅<8002>30位ブリヂストン<5108>
30位三星ベ<5192>
30位JFE<5411>
30位キヤノン<7751>
注:回答は左から順に2255、1757、1571

株主優待の期待が最も大きい銘柄のトップ5は、イオン<8267>、KDDI<9433>、イオンモール<8905>、ヒューリック<3003>、NTT<9432>となっている。

上級者と億り人の銘柄ランキングについては、次ページの株探プレミアム会員専用ページで閲覧可能となっている。なお両者に関しては、期待度が「最大」「2番目」「3番目」と分けず、合算した集計結果を掲載している。

次回は新NISA(少額投資非課税制度)をどのように利用するかに焦点を当てる。

■もう一歩さんが挙げた「株主優待」の期待が高い銘柄(30位以内)
最大2番目3番目
順位銘柄名<コード>順位銘柄名<コード>順位銘柄名<コード>
1位イオン<8267>1位KDDI<9433>1位すかいらーく<3197>
2位KDDI<9433>2位マクドナルド<2702>2位KDDI<9433>
3位イオンモール<8905>3位キリンHD<2503>3位キリンHD<2503>
4位ヒューリック<3003>3位イオン<8267>4位ヒューリック<3003>
4位NTT<9432>5位すかいらーく<3197>5位NTT<9432>
6位マクドナルド<2702>6位イオンモール<8905>6位オリックス<8591>
7位OLC<4661>7位ヒューリック<3003>7位トリドール<3397>
7位オリックス<8591>7位ANAHD<9202>8位ANAHD<9202>
9位すかいらーく<3197>7位NTT<9432>9位イオン<8267>
10位キリンHD<2503>10位オリックス<8591>10位ライオン<4912>
11位ANAHD<9202>11位トリドール<3397>11位マクドナルド<2702>
12位JAL<9201>12位ライオン<4912>12位OLC<4661>
13位大成温調<1904>13位商船三井<9104>13位吉野家HD<9861>
14位サムティ<3244>14位全国保証<7164>14位イオンモール<8905>
14位トリドール<3397>15位アイケイケイ<2198>14位ヤマダHD<9831>
16位クリレスHD<3387>15位JAL<9201>16位INPEX<1605>
17位ライオン<4912>15位吉野家HD<9861>17位ヤクルト<2267>
18位INPEX<1605>18位INPEX<1605>17位サムティ<3244>
18位全国保証<7164>18位ヤマハ発<7272>17位ゼンショHD<7550>
18位吉野家HD<9861>20位OLC<4661>17位JAL<9201>
21位商船三井<9104>21位日本M&A<2127>21位商船三井<9104>
21位ラストワンM<9252>22位コロワイド<7616>22位寿スピリッツ<2222>
23位ヤマハ発<7272>23位カゴメ<2811>22位味の素<2802>
24位ニッスイ<1332>23位物語コーポ<3097>22位ビックカメラ<3048>
24位日清食HD<2897>25位三越伊勢丹<3099>22位良品計画<7453>
24位コロワイド<7616>25位クリレスHD<3387>22位リコーリース<8566>
24位ヤマダHD<9831>25位SBIGAM<4765>22位郵船<9101>
28位カゴメ<2811>25位ゆうちょ銀<7182>28位くら寿司<2695>
28位ビックカメラ<3048>25位ゼンショHD<7550>28位楽天グループ<4755>
28位大和<8601>25位ヤマダHD<9831>28位SBIGAM<4765>
28位サイゼリヤ<7581>
注:回答は左から順に1892、1354、1187

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



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