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6638 ミマキエンジニアリング

東証P
1,539円
前日比
+1
+0.07%
PTS
1,539.1円
12:30 11/25
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
7.9 1.51 2.11 24.84
時価総額 493億円
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Mimaki Research Memo(1):「水と空気以外なら何にでもプリントできる」


■要約

1. 産業用インクジェットプリンタなどをワンストップで製造販売する開発型企業
ミマキエンジニアリング<6638>は、産業用インクジェットプリンタやカッティングプロッタ、プリンタに使われるインクなどをワンストップで製造販売する開発型企業である。販売市場は、広告・看板などを製作しているSG(サイングラフィックス)市場、工業製品や一般消費者向け小物類の加飾をしているIP(インダストリアルプロダクツ)市場、生地や既製服を捺染するTA(テキスタイル・アパレル)市場の3つで、海外の売上高構成比が約70%とグローバルな事業展開を行っている。各市場の製品買い替えサイクルはそれぞれ4~5年のため、各市場に毎年順番に新製品を投入することで毎期売上高を積み上げる収益構造になっている。産業プリントの市場は、サイングラフィックス市場ではデジタル化率は高まっているものの、その他の多くの市場では5%~10%に過ぎず、成長のポテンシャルは非常に大きい。

2. インクなどケミカル分野を含む複合的な技術基盤が同社の強み
ケミカル分野を含む複合的な技術基盤が同社の強みである。なかでもインクは、「水と空気以外なら何にでもプリントできる」ことを目標に独自開発している。多種多様な素材にプリントできる高機能インクは、幅広い市場でインクジェットプリンタを展開するうえで差別化要素となるうえ、消耗品ビジネスとして安定収益をもたらしている。他にXY制御技術やインクを吐出するヘッドの制御技術はもちろん、デジタル・オンデマンド生産方式による受注生産、多品種少量ニーズへのワンストップ対応、工場のスマート化を進めるFA(ファクトリーオートメーション)技術、グローバルでローカルな営業力も強みである。なお、同社はヘッドを自社製造していないが、ニーズに応じて市場から最適な調達ができるため、むしろ製造していないことも強みとなっている。

3. 価格改定や新機種の好調などを背景に2024年3月期第2四半期累計は2ケタ増益、通期も上方修正
2024年3月期第2四半期累計の業績は、売上高が35,437百万円(前年同期比4.3%増)、営業利益が2,331百万円(同23.7%増)と好調な着地となり、利益は期初の会社予想に対して超過達成となった。円安の影響もあったが、価格改定やTA市場向けに投入した新機種の好調などが業績好調の要因である。こうした第2四半期までの状況を考慮し、同社は2024年3月期の通期業績について、売上高を下方修正、利益を上方修正し、売上高76,800百万円(前期比8.8%増)、営業利益4,840百万円(同14.1%増)と見込んでいる。下期は世界的な景気減速に伴う需要減少の影響が懸念されるものの、TA市場向け新製品の好調継続に加え、さらなる新製品の投入や海外営業活動の強化などを実行する計画である。

4. 中長期成長戦略「Mimaki V10」の進捗は順調、計画を上回って推移
同社は2020年12月に中長期成長戦略「Mimaki V10」を策定した。イノベーションを継続し、収益性を重視した成長と財務基盤の強化を図ることで、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の低迷からV字回復を達成し、さらなる成長を目指した。収益性はインクの品質改善、成長性はデジタルオンデマンド・プリントソリューションの提供、財務基盤は在庫管理の強化などにより改善を図り、2026年3月期に営業利益率10%、売上高の年平均成長率10%を目指す。足元では、営業利益率も売上高成長も計画を上回って推移しているため、「Mimaki V10」は順調といえる。特に、TA市場においては、サステナビリティの観点からアナログ捺染の環境に対するダメージが注目されている。同社は、デジタル・オンデマンド印刷技術による捺染のデジタル化によって、こうした問題を解消していく考えである。

■Key Points
・産業用インクジェットプリンタやインクなどを独自に製造販売する開発型企業
・高機能インクやプロッタ技術など複合的な技術基盤や営業力、開発力などに強み
・新機種の好調などを背景に2024年3月期の通期業績は利益を上方修正、中長期成長戦略も順調に進捗

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《SO》

 提供:フィスコ

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