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6430 ダイコク電機

東証P
3,105円
前日比
+15
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PTS
3,118.5円
10:25 12/05
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
5.4 1.01 3.86 1.96
時価総額 459億円
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ダイコク電 Research Memo(4):2023年3月期は計画を上回る大幅な増収増益を実現


■決算動向

1. 2023年3月期の業績概要
ダイコク電機<6430>の2023年3月期の業績は、売上高が前期比30.5%増の31,824百万円、営業利益が同237.4%増の4,019百万円、経常利益が同211.5%増の4,260百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同138.2%増の2,927百万円と、3回目の増額修正予想(2023年2月9日公表)をさらに上回る大幅な増収増益を実現した。

第2四半期までは、導入(2022年11月)が近づく「スマート遊技機」の動向を探る向きから、パチンコホールにおける設備投資は、新規出店や大規模改修工事を控える厳しい状況が続いたものの、「スマート遊技機」への期待感の高まりから、導入に向けた事前の設備投資が活発化した。そのような環境下、「情報システム事業」は、世界的な半導体不足の影響のため電子部品等の供給が追い付かず、一部製品で販売台数の調整を余儀なくされたが需要に最大限に応えられるよう準備を進めてきた。第3四半期に入り、2022年11月にスマートパチスロ機が登場した。ファンから高い支持を得たことで、パチンコホールの「スマート遊技機」へ対応するための設備投資が一段と活発化し、同社の業績を大きく押し上げた。特にスマート遊技機専用ユニットを含むカードユニット「VEGASIA」の販売が好調に推移したほか、AIホールコンピュータ「Χ(カイ)」へのシステムアップや大型液晶呼出しランプ「BiGMO PREMIUM」の販売が計画を上回り、「情報システム事業」が大きく伸びた。また、サービス売上についても、MGサービスを中心に着実な底上げを図ることができた。

「制御システム事業」については、部品販売は好調であったものの、前期に実施された「新規則」機への入れ替え需要による反動と、今後の「スマート遊技機」の動向を探る姿勢から、市場全体の遊技機販売台数が減少し、それに伴って表示ユニット及び制御ユニットの販売が落ち込む結果となった。

利益面でも、「情報システム事業」の伸びが収益を大きく押し上げた。特に、利益率の高い「Χ(カイ)」へのシステムアップや主力製品が好調であったことに加え、原価コントロールも奏功し、売上総利益率が改善した。また、販管費における貸倒関連費用の計上※が利益を圧迫する要因となったものの、収益の伸びでカバーし営業利益率は12.6%(前期は4.9%)と2ケタの水準に戻ってきた。

※取引先遊技機メーカーの民事再生手続きによる債権に対する貸倒損失、及び子会社の未回収の債権に対する貸倒引当金の計上によるもの。


財政状態については、自己資本が内部留保の積み増しにより前期末比7.3%増の33,399百万円になった。また、増収により売掛金などが増加したことや、「スマート遊技機」の市場導入に伴う投資需要増に備えて製品在庫等を増やしたことから、総資産は前期末比16.4%増の48,298百万円に拡大し、自己資本比率は69.2%(前期末は75.1%)に若干低下した。

事業別の業績は以下のとおりである。

(1) 情報システム事業
売上高は前期比40.6%増の26,209百万円、セグメント利益は同152.8%増の5,490百万円と計画を上回る大幅な増収増益となった。電子部品等の調達難により販売台数を調整せざるを得ない製品があったものの、2022年11月にスマートパチスロ機が登場しファンから高い支持を得たことで、パチンコホールの設備投資が活性化し、同社業績を押し上げた※。特にスマート遊技機専用ユニットを含むカードユニット「VEGASIA」の販売が好調に推移したほか、AIホールコンピュータ「Χ(カイ)」へのシステムアップや大型液晶呼出しランプ「BiGMO PREMIUM」の販売が計画を上回った。また、サービス売上についても、主要サービスが堅調に推移したほか、クラウドチェーン店管理システム「ClarisLink」や商圏分析サービス「Market-SIS」など、「スマート遊技機」登場による市場変化への対応に関連したMGサービスの加盟店数が増加し、着実な底上げを図ることができた。利益面でも、利益率の高い主力製品の伸びやサービス売上の底上げにより大幅な増益を実現し、セグメント利益率も20.9%(前期は11.6%)と高い水準に戻ってきた。活動面でも、既存サービスのクラウド化の早期実現に向けて、クラウドサービス等のシステム開発を行うグローバルワイズを株式取得により連結化した。

※2022年11月にスマートパチスロ機が登場して以降、20円パチスロの稼動は11月が前年同期比110.6%、12月が同114.8%、2023年1月が同114.8%、2月が同118.1%、3月が同122.0%と好調に推移している。また、2023年3月末のパチスロ設置台数に占めるスマートパチスロの割合は8.2%にまで普及してきた。


(2) 制御システム事業
売上高は前期比2.1%減の5,639百万円、セグメント利益は同73.8%減の140百万円と苦戦した。部品販売は好調に推移したものの、前期に実施された「新規則」機への入れ替えが完了したことによる反動と、今後の「スマート遊技機」の動向を探る動きが続いたことにより、市場全体における遊技機販売台数が減少し、それに伴って表示ユニット及び制御ユニットの販売がそれぞれ落ち込む結果となった。一方、利益面で大幅な減益となったのは、減収による収益の押し下げに加え、貸倒関連費用を計上(約3.7億円)した影響が大きく、セグメント利益率も2.5%(前期は9.3%)に低下した。 活動面では、スマートパチスロ事業への早期参入に向けて、パチスロ開発を手掛けるライリィを連結化(孫会社化)した。また、受託開発(OEM)についても、既存のパチンコ機に加え、パチスロ機の開発体制の強化及び製造環境の再整備に取り組み、パチスロ機1機種の製造を行った。

2. 2023年3月期の総括
2023年3月期を総括すると、半導体不足の影響による販売調整や市場全体における遊技機販売台数の減少などネガティブな要因が続いたものの、「スマート遊技機」の登場に伴う市場活性化を追い風として、結果的に計画を大きく上回る増収増益を達成したところは、今後を占ううえでも明るい材料となった。特に、「情報システム事業」の利益率が以前の高い水準に戻ってきたところは、「スマート遊技機」時代を迎えるにあたって、同社の優位性がさらに発揮されることを実証するものとして評価したい。また、将来に向けた活動面でも、クラウドチェーン店管理システム「ClarisLink」や「Market-SIS」等のMGサービスが順調に伸びてきたことに加え、クラウド強化やスマートパチスロ事業への参入に向けたM&Aでも成果をあげ、中期戦略の実現に向けていよいよ本格的に動き出したと言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《YI》

 提供:フィスコ

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