【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─海外勢の主力株買いは続く!周辺銘柄も連れ高へ
「海外勢の主力株買いは続く!周辺銘柄も連れ高へ」
●債務上限問題が決着し、米リセッション懸念は後退
この記事が読者の目に触れる頃には、米国の5月雇用統計の発表が終わり、米国市場の反応も明らかになっているはずだ。
市場予想では、非農業部門の雇用者数は前月比19万人増、失業率は3.5%程度だった。実際には予想通りということはまずないので、多少の差が生じて当然だが、雇用者数がプラスマイナス5万人、失業率はこれまた上下0.1~0.2ポイントのブレなら、問題ないと見ている。果たしてどうか。
雇用者数が予想の19万人より減少していたら、市場は歓迎するだろう。目下、市場の最大の関心事は、6月13日・14日に開催されるFOMCであり、1~5万人程度の減少であれば、金利引き上げが止まり、据え置きとなる可能性が高まるからだ。
もちろん、私もそれを願っている。
与野党が対立し、市場をやきもきさせた債務上限引き上げ問題は好ましい形で決着したが、大事なのは増税を回避できたことだ。
日本の場合、なにか新しいことをやろうとすると、プライマリーバランスを守るという縛りがあるため、必要な資金はあちらにあるものをこちらに回すか、増税する――この2つしか道がなくなる。
しかし、資金を一方から他方に移すにしても、引きはがされる方も引き続き資金を必要とする場合が多く、結局は増税せざるを得ない。
こうなるため、日本ではなかなか経済が活性化しないのだが、米国の場合は時々、債務上限を引き上げて資金を作り、増税は回避する。これが通例になっており、経済発展の歯車が回りやすい。
以上のような点から、今回の債務上限引き上げ問題の解決は、米国経済の今後にとってプラスに働くことになる。また、経済・金融に強い元連銀関係者、証券会社のアナリストたちが警告を発しているリセッション(景気後退)も、避けられる可能性が高くなってきたと見てよい。
これまで米国のリセッションは、金融政策が引き締めから緩和に転じて間もないタイミングで生じている。いまはまだ米国は金融引き締め策を継続中だが、数カ月以内に中立、そして緩和に転じると見られる状況だ。こんな時に債務上限の引き上げが見送られ、増税で賄うほかなくなったら、米連邦準備制度理事会(FRB)が緩和策を実行する前にリセッションに見舞われる恐れさえあった。
しかし、幸い、米国の政治家たちは増税やむなしという愚かな決定は下さなかったのだ。これにより株式投資はやりやすくなった。こうなるため、引き続き海外投資家の日本株、それも主力株買いが続き、その周辺銘柄も連れ高すると見てよい。
●販売抑制のくびきから解き放たれた自動車関連に注目
投資対象となりやすいのは、もちろん 半導体、AI(人工知能)、インバウンド、設備機械、 自動車などになるが、私が最も買いを集める可能性が高いと見ているのは自動車関連株になる。目下、すでに販売好調となっている上に、今後もそれが続くと見るのが自然だからだ。
前期までは半導体不足により生産の抑制を強いられていたのだ。それが必要な分、生産可能となっていることを考えると、今期の販売台数は各社とも過去の記録を更新する可能性が高い。
では、どの銘柄に投資したらよいのか。まずは株価が最近高値をつけた後にやや調整気味のホンダ <7267> [東証P]、米国でのブランド力が国内以上に高いSUBARU <7270> [東証P]になる。フォークリフトに強い豊田自動織機 <6201> [東証P]、ホンダ系部品会社でサスペンションに強いエフテック <7212> [東証P]の押し目も魅力的に見えるし、自動車シートに強いタチエス <7239> [東証P]、同じくシートに強いトヨタ紡織 <3116> [東証P]も調整が終わらないうちに投資しておきたい。
トラック用のフレーム、アクスル(車軸)に強いプレス工業 <7246> [東証P]も値動きは地味ながら、株価が浅い押しを入れたので見逃せない状況にある。
すでに幾度か取り上げて、株価も順調に上昇してきたものの、5月23日以降に急失速し、いまは出直りの兆しが見える自動車ライト最大手の小糸製作所 <7276> [東証P]にも目を配っておきたい。
そして最後は、これまた幾度も取り上げてきて、29日まで上昇を続けたあとに失速、25日移動平均線水準まで下げて止まったブリヂストン <5108> [東証P]を。私に言わせると、いわゆるちょい下げ状態。ここからちょい上げ確認でのエントリーは成功確率が高い。
2023年6月2日 記
株探ニュース