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【特集】米大統領選後も材料満載、「金」は最高値邁進し3000ドル目指す <株探トップ特集>

「中東情勢の緊迫化」や「米利下げ観測」を背景に金価格は上昇基調を強めている。米大統領選後も新政権下での財政赤字拡大が予想され、金は強含み状態が続くことが予想されている。

―中東情勢緊迫化や米利下げなど追い風、「銀」も12年ぶり高値圏で要注目―

 米大統領選は現地時間できょう5日に投開票を迎える。民主党のハリス氏と共和党のトランプ氏のどちらが勝者となるのか。全世界がその結果を、固唾をのんで見守っている。株式市場も、両氏のどちらが勝利するかで、今後の物色姿勢は大きく変わりそうだ。そんななか、年初から上昇基調を続け、米大統領選後も更なる上値追いが期待されているのが「金」だ。中東情勢の緊迫化や米国の利下げ機運が追い風に働いているうえに、米大統領選の結果次第では引き続き不透明感が強まり、安全資産の金に対する買いを促すことも考えられる。いま熱い視線を集める金の動向を探った。

●イスラエル巡る「地政学リスク」の高まりで価格上昇

 金相場の上昇基調が続いている。金先物相場は、ニューヨーク商品取引所(COMEX)で10月30日に1トロイオンス=2801.8ドルと最高値を更新した。金価格は年初の2000ドル近辺の水準から4割近く上昇している。日経平均株価やNYダウの昨年末からの上昇率はそれぞれ15%、約11%であり日米の主要株価指数を大きく上回っている。

 いまや最高値圏を邁進する金価格だが、昨年秋以降、金価格の押し上げ要因に働いたのが中東情勢の緊迫化だ。イスラエルとイスラム組織「ハマス」との衝突を契機に金は上昇基調を強めた。更に今年に入ってからもイスラエルを中心とした中東情勢の緊迫は続き、イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの侵攻やレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラとの抗争、イランとの報復合戦など状況は混迷を深めている。この「地政学リスク」の高まりが、安全資産としての金の価格を押し上げている。

●米国の利下げ機運強く資金の流入が続く

 加えて、金の買い要因となったのが、米利下げ期待の高まりだ。金は金利を生まない資産であり、利下げで米長期金利の低下観測が高まるなかでは、相対的な価値が上がり価格が上昇する傾向がある。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、4年6カ月ぶりの利下げが実施され、利下げ幅は0.5%と大幅なものとなった。今週6~7日のFOMCでは0.25%利下げは確実視され、12月も追加利下げが予想されている。市場には「米国は2026年までは利下げ基調は続く」(アナリスト)との見方もあり、金には追い風が吹くことが見込まれている。

 また、金価格は米長期金利と逆相関の動きとなる傾向が強いが、その一方で「金はインフレに強い商品」という特性を持つことは忘れてはいけない。米金利の上昇は当初は金価格への逆風となるが、リスクの高まりを背景にした本格的な金利上昇への懸念が強まれば、安全資産である金は再び輝きを取り戻す。

●トランプ氏勝利ならリスク要因高まり一段高も

 そんななか、関心を集めているのが、きょう投開票される米大統領選の行方だ。民主党のハリス氏と共和党のトランプ氏の一騎打ちは大接戦となり、「米大統領選の行方が不透明なことも安全資産の金が選好された要因」(市場関係者)との声もある。

 米大統領選の結果は、現時点では不明だが両氏ともに財政拡張的な政策を打ち出しており「どちらが勝利しても、米国の財政赤字拡大に対する懸念が金価格の上昇要因となる」(アナリスト)とみられている。特に、トランプ氏が大統領に返り咲き、上下両院の議会選も共和党が勝利する「トリプルレッド」となった場合、所得税や法人税の減税が実現することも予想され、米国の財政赤字が一段と注目される可能性がある。その場合、「米大手格付け機関のムーディーズ<MCO>は米国の格下げを行うのではないか」(同)との懸念もある。トランプ氏の政策には減税や関税引き上げなどインフレを促進するものが目立ち、安全資産である金への資金流入を促しそうだ。更に、トランプ氏は「ウクライナ問題の即時停戦と交渉による解決」も掲げているほか、イスラエル寄りの姿勢を鮮明にしていることもリスク拡大の要因だ。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至主任研究員は「金価格はかなり高くなっており、いったん調整が入ってもおかしくない。ただ、地政学リスクの高まりや米利下げ機運といった状況に変化はないだけに、金価格が上がりやすい環境はなお続きそうだ」という。こうしたなか、金価格は先行き節目となる3000ドル突破も視野に入る展開が予想されている。

●銀価格も12年ぶり高値でETFなど注目

 金関連では、ETF(上場投資信託)のSPDRゴールド・シェア <1326> [東証E]やNEXT FUNDS 金価格連動型上場投信 <1328> [東証E]、純金上場信託(現物国内保管型) <1540> [東証E]など。また、住友金属鉱山 <5713> [東証P]や「都市鉱山」絡みのDOWAホールディングス <5714> [東証P]。それに貴金属リサイクルの松田産業 <7456> [東証P]やアサカ理研 <5724> [東証S]、AREホールディングス <5857> [東証P]、商品先物の小林洋行 <8742> [東証S]や豊トラスティ証券 <8747> [東証S]、日産証券グループ <8705> [東証S]などが注目される。

 更に、足もとでは銀価格も12年ぶりの高値圏に上昇している。金と同様に、銀にも安全資産として資金が流入しているほか、電気自動車(EV)の部品などで使用されるなど工業用の需要増もあるようだ。銀ETFの純銀上場信託(現物国内保管型) <1542> [東証E]やWisdomTree 銀上場投資信託 <1673> [東証E]なども注目したい。

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