貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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6861 キーエンス

東証P
66,050円
前日比
+850
+1.30%
PTS
66,086円
15:14 12/12
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
5.43 0.53 6.39
時価総額 16639億円
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「低PBR・自動車部品株」動く! 東証「カイゼン要請」でエンジン始動 <株探トップ特集>


―万年割安セクターから卒業なるか、自動運転など成長領域多く業績拡大期待も膨らむ―

 割安な銘柄が山積する 自動車部品セクターに、東京証券取引所の「低PBR(株価純資産倍率)撲滅運動」の追い風が吹いている。これまで見過ごされがちなセクターだったが、今期は半導体調達難の問題が解消に向かい、自動車生産の回復に伴う業績押し上げ効果が期待されている。今回の株探トップ特集では、変化に向けた話題が豊富な自動車部品セクターの有望株を探求していく。

●EU方針転換で強まる見直し機運

 電気自動車(EV)の販売競争で米テスラ<TSLA>など海外勢の後塵を拝する日本の自動車業界だが、ここに来て変化の胎動を感じさせるニュースフローが相次いでいる。

 まず、欧州連合(EU)が、エンジン車の新車販売を2035年に禁止する方針を転換し、二酸化炭素(CO2)と水素を合成して生産する「合成燃料」を使用する場合に限定して容認すると発表した。自動車の電動化の流れに「ブレーキ」がかかることは見込みにくいものの、日本の自動車メーカーにとっては、新興EVメーカーと対峙する戦略を練るための時間的猶予が与えられることとなった。

 半導体不足も最悪期を脱した感がある。国内自動車大手8社が3月30日にまとめた2月の世界生産は前年同月比3%増となり、4ヵ月ぶりに前年を上回った。生産台数はコロナ禍前の19年2月の水準には届かなかったが、底入れの兆しが顕著となっている。

 個別企業に目を転じると、4月1日付でトヨタ自動車 <7203> [東証P]の新社長に佐藤恒治氏が就任した。ガソリン車、ハイブリッド車(HV)を含めた「全方位戦略をとれるのが強み」(国内証券アナリスト)とされる同社だが、佐藤新体制のもとで示されるとみられているEV領域などでの具体的な方針に関心が集まっている。

●低PBR問題の構造に変化も

 自動車部品メーカーの業績は言うまでもなく、完成車メーカーからの受注状況に左右されることになるのだが、株式市場ではこれまで、好業績時であっても自動車部品株のバリュエーション面での評価が高まりにくい状況が続いていた。大前提として、サプライヤーと完成車メーカーの関係は対等にはなりにくい。資本効率の向上に向けた策を講じるのにも、ある程度は「親」の顔色をうかがわなければならない状態にあった。ところが、PBR1倍割れのプライム・スタンダード上場企業に対し、東証が状況の改善策を要請した今となっては、話が変わってくる。

 サプライヤーが生産・開発面での費用を確保したうえで、株主還元姿勢をどう強めていくのか――。そもそも、株価が低迷する企業に優秀なエンジニアが集まることは考えにくい。東証の要請を契機に自動車業界全体で低PBRの「カイゼン」に取り組む環境が整ったと言えるだろう。

 加えて、改正道路交通法の施行により日本では4月から、 自動運転の「レベル4」が認められ、一定の条件下においてドライバーがいなくても自動車が公道を走行できるようになった。最先端の領域で自社の技術力を発揮し、確固たる地位を築く可能性の高い自動車部品株に投資家のマネーが流入するシナリオが現実味を帯びてきそうだ。こうした観点をもとに自動車部品セクターでの低PBR・有望株をピックアップした。

●業績拡大・株主還元期待大の有望株

◎市光工業 <7244> [東証P]

 自動車ランプ国内大手3社の一角で、メガサプライヤーである仏ヴァレオ傘下にある。PBR0.83倍。23年12月期の最終利益は前期比24.3%増の55億円を計画している。マークしたいのは自動運転領域での事業展開だ。ヴァレオは他のメガサプライヤーと同様、自動運転領域に力を入れており、レーザー光の照射により障害物を3次元で高精度に測定する「LiDAR(ライダー)」を活用したシステムなどの拡大が期待されている。クルマのヘッドランプにセンサーを配置する発想は古くからあったが、LiDARに関しても同様の流れとなるとの見方は根強い。ヴァレオとの協業による新たな動きを期待したい。

◎豊田合成 <7282> [東証P]

 トヨタ系サプライヤーで、製品群は内外装部品からエアバッグなど幅広い。PBRは0.67倍。ミリ波レーダー対応エンブレムで自動運転技術を陰で支えており、技術面での多くのアドバンテージを持つとされている。注目すべきは北米事業。他のトヨタ系サプライヤーが、22年10-12月期において北米で苦戦するなか、同社は見事に営業黒字を確保した。コスト低減に向けた手腕とその力をみせつけた格好となっており、今後の自動車の生産回復局面では他社に先んじて業績に浮揚力が働きそうだ。

◎オーハシテクニカ <7628> [東証P]

 自動車のエンジン・ミッション関連部品やボディ・シャシー関連部品を手掛ける。約300社の協力会社を組織化して広範囲な加工技術に対応する「ファブレス機能」を合わせ持つ点は、高収益企業のキーエンス <6861> [東証P]との類似性を想起させる。PBRは0.59倍。23年3月期の営業利益は円安効果を受けながらも納入先の生産停滞が響き、前の期比12.0%減の20億円を計画。生産の回復基調が期待できる今期以降は、持ち前の収益性の高さから反転攻勢が期待できる。主要販売先には排ガス検査データの不正問題で揺れた日野自動車 <7205> [東証P]があり、同社向けの販売が回復に向かえば、業績に一段とポジティブな効果が表れそうだ。

◎ヨロズ <7294> [東証P]

 サスペンションなどを手掛け、日産自動車 <7201> [東証P]を主要取引先とする。23年3月期の最終利益は前の期比8.4%増の9億5000万円を計画。23年3月期第2四半期累計(22年4-9月)におけるトヨタ向けの売上高比率が前の年の同じ時期に比べて0.9ポイント増の7.6%に上昇したのは示唆に富む。直近では新技術・工法を採用したサスペンション部品について、トヨタの「プリウスHEV」などに向けた生産を開始したとも発表。今後は納入先の多様化が一段と進む可能性がある。PBRは0.33倍。旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスが9%超を保有する筆頭株主となっている点も留意していきたい。

◎住江織物 <3501> [東証P]

 主力は自動車・車両内装事業。23年5月期の最終利益は前期比77.8%増の5億円を計画する。PBRは0.48倍。1月には自動車メーカーの生産拠点を多く抱えるメキシコにおいて、製造ライン新設のための用地取得と新建屋建設の開始を発表するなど、海外での事業拡大の布石を打つ。課題のプライム上場維持基準について同社は22年12月末時点で、1日平均売買代金の基準をクリアした。残る流通株式時価総額基準の達成に注力する方針。株式の流動性向上に向け株式分割の検討も続けているという点も、投資家の物色意欲を高める方向に作用しそうだ。

◎フコク <5185> [東証P]

 ワイパーブレードラバーの生産量で世界トップ。PBRは0.46倍。EV化への対応では、バッテリーモジュールの長寿命化に寄与する「バッテリーホールドシート」がトヨタのEV「bZ4X」に採用された。23年3月期第2四半期決算説明会での質疑応答によると、EV向け製品に関しては、顧客との機密保持の関係で公表はできないとしながらも、これ以外にも採用が決定された製品があるとのこと。中国でのロックダウンや原材料高を背景に23年3月期は利益と期末配当の見通しの引き下げを余儀なくされたが、その分、業績拡大時の伸びしろが広がった格好となっており、投資妙味を感じさせる。

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