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5262 日本ヒューム

東証P
1,313円
前日比
+7
+0.54%
PTS
1,309.6円
13:48 12/18
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.7 0.74 2.89 30.60
時価総額 385億円
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日本ヒューム Research Memo(3):基礎事業と下水道関連事業が主力、太陽光発電・不動産事業も手掛ける


■日本ヒューム<5262>の事業概要

1. セグメント情報
セグメントは、基礎事業、下水道関連事業、太陽光発電・不動産事業、その他事業の4つである。基礎事業では、コンクリートパイルの製造・販売・施工、PCウェルの工法※の製品製造及び施工等を手掛けている。下水道関連事業では、ヒューム管等コンクリート製下水道関連製品の製造・販売から管渠更生や耐震化等の一連の下水道関連の工事、セグメント・壁高欄・ボックスカルバート等のその他プレキャストコンクリート製品の製造・販売を行っている。太陽光発電・不動産事業は、太陽光発電事業や不動産の賃貸・管理及び開発、環境関連機器の販売及びメンテナンスを行っている。その他事業については、下水道関連工事用の機材レンタル等を行っている。

※PCウェル工法とは、同社のオリジナル工法で、工場製作した鉄筋コンクリート造の単体ブロックを施工地点にて接続・一体化し、内部をハンマグラブなどにより掘削・排土しながらグランドアンカーなどを反力として圧入・沈設する工法である。PCウェルが適用できる構造物には、橋梁下部構造(基礎と橋脚)、擁壁、工場施設、建築物、人工地盤などの基礎構造をはじめ、人孔(マンホール)・立坑やポンプ井等の内空を利用する地中構造物などがある。外径1.6mから8.0m程度までの構造物に利用され、大深度(実績75m)の施工も可能である。同社においては、1968年に橋梁基礎で実用化して以来、2,500基を超える実績がある。


2023年3月期第3四半期のセグメント別売上構成比は、基礎事業が62.8%、下水道関連事業が32.3%、太陽光発電・不動産事業が4.7%、その他事業が0.2%である。営業利益構成比(調整額除く)は、基礎事業が15.2%、下水道関連事業が52.2%、太陽光発電・不動産事業が31.2%、その他事業が1.4%である。


強みは時代のニーズに合った製品や工法を開発する技術力、足元では環境製品も拡充
2. 強み
同社の強みは、時代のニーズに合った製品や工法を開発する技術力である。1925年に日本で初めて遠心力を利用してヒューム管を製造し、その遠心力技術を用いた基礎杭、各種プレキャスト製品の提供を進めてきた。また、地震対策や社会インフラの老朽化対策についても、下水道管路の耐震化工法、管渠更生工法を開発し、社会基盤整備に取り組んできた。足元では、環境・脱炭素製品の開発に取り組むなど、人と地球環境との調和を目指した事業活動を展開している。加えて、防災・減災対策製品、省力化製品などの開発にも着手し、社会課題に対応した技術開発に取り組んでいる。

同社の製品開発や工法開発の方向性は、世の中の流れにどう寄り添うかに大きく関係している。例えば、1995年1月17日の阪神・淡路大震災は、下水道施設にも甚大な損害を与え、市民生活に与えた影響は大変深刻なものであった。被災者の多くが避難所でトイレパニック(下水道管が破損したため下水道に汚物を流すことができず、貯留式仮設トイレの使用ができなくなる)に見舞われた。阪神・淡路大震災では、管渠と人孔(マンホール)との接合部や人孔から1本目の管に破損・ひび割れ等の被害が多く見つかった。そこで同社は、東京都下水道サービス(株)との共同開発により管渠と人孔接合部を非開削で耐震化する工法を開発した。同工法は経済性に優れ、地域住民の生活や交通への影響にも配慮した工法であり、震災に対して安全で安心な街づくりに大いに貢献できるものとなっている。

コンクリート二次製品業界を見たときに、メーカーはコンクリートパイルもしくはプレキャスト製品どちらかの製造を専業として手掛けていることが多い。例えば、パイル専門の事業者は、三谷セキサン<5273>やアジアパイルホールディングス<5288>傘下のジャパンパイル(株)であり、プレキャスト製品については、共和コンクリート工業(株)やジオスター<5282>等が代表的な事業者である。両方の製品を手掛けている事業者は少なく、さらに下水道工事まで手掛けている事業者は見当たらない。そのため同社は総合コンクリートメーカーとしてのポジションを確立できているものと弊社では見ている。

弊社では、今後のコンクリート二次製品について、建設市場の労働力問題(建築従事者の高齢化による人手不足・若者の建設業界離れ)の観点から、プレキャスト製品が増えていくと予想する。さらにハード面だけでなく、デジタル化などソフト面への対応もなされていくと見ている。環境・脱炭素、再生可能エネルギー分野への広がりを考えると、まだまだ新しい製品が出てくる可能性が高い。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

《SI》

 提供:フィスコ

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