【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─テーマ性を有する好業績銘柄を狙う!
経済評論家 杉村富生
「テーマ性を有する好業績銘柄を狙う!」
●金融危機の“火種”は残り、くすぶる!
マーケットは「リーマン・ショック級の惨事襲来」と身構えたようだが、各国中央銀行には「学習効果」がある。対応が速い。SVBファイナンシャルグループ<SIVB>傘下のシリコンバレーバンク、シグネチャー・バンク<SBNY>の破綻に際してはFRB(米連邦準備制度理事会)が日曜日だったにもかかわらず、即座に預金の全額保護を打ち出した。なお、ドット・フランク法では預金保護の上限は25万ドルである。
約3300万円だ。ちなみに、シリコンバレーバンクは預金保険超過の預金が9割超だった。多くがスタートアップ企業、およびその経営者だ。「危ない」となると、一気に預金は引き出される。一方、シリコンバレーバンクは資産(28兆円)の大半を満期保有目的債券(時価評価はしないが、途中売却不可)で運用していたという。
現金はわずか9%だった。これでは兆円単位の引き出しに応じられるはずがない。要するに、特殊な銀行である。この場合、預金の全額保護は効果的だ。そうしないと、取り付け騒ぎの連鎖が起きる可能性があった。同様に、経営危機に陥っているファースト・リパブリック・バンク<FRC>に対しては米大手銀行11行が300億ドルの預金を預け入れる支援策を発表している。
約4兆円の支援だ。JPモルガン・チェース<JPM>、バンク・オブ・アメリカ<BAC>などが中心になった。危機を回避しようとの意気込みが感じられる。クレディ・スイス・グループ<CS>はスイス国立銀行(中央銀行)から最大500億スイスフラン(7.1兆円)を調達する。実質的な公的資金の投入である。
●ANYCOLOR、Abalance、長栄などを!
こうした機敏な危機管理策を好感して、世界の株式市場は落ち着きを取り戻してきた。もちろん、金融引き締めは継続、“火種”は残っている。今後は各国中央銀行の出方次第だろう。ECB(欧州中央銀行)は0.5%の利上げを行った。FRBは3月21~22日のFOMC(連邦公開市場委員会)での利上げを0.25%にとどめるだろう。
カナダはいち早く「利上げ打ち止め」を宣言、ベトナムは利下げ(0.5~1.0%)に踏み切った。筆者はFRBが早期の利上げ停止、QT(量的金融引き締め→昨年9月以降、月間950億ドル、年間1兆1400億ドルペースの資金回収)の縮小を決断することに期待している。クレディ・スイス・グループの7.1兆円は「瞬間蒸発」すると思う。
この局面は危機に備えた投資姿勢を堅持しつつ、元気な銘柄を個別に攻めたい。具体的には反騰態勢に入ったANYCOLOR <5032> [東証G]、圧倒的な強さのAbalance <3856> [東証S]、自動運転に絡むスマートドライブ <5137> [東証G]、上場来高値を疾駆中の長栄 <2993> [東証S]はどうか。
狙うのはテーマ性を有する好業績銘柄だ。青山財産ネットワークス <8929> [東証S]は外国人が食指をみせている。FIXER <5129> [東証G]は今期減益予想だが(来期は急浮上が予想される)、ChatGPTの本命だ。マイクロソフト<MSFT>の日本における上級パートナーに認定されている。eWeLL <5038> [東証G]は電子カルテの第一人者である。
さらに、高見沢サイバネティックス <6424> [東証S]、JTP <2488> [東証S]には好材料が山積みだ。高見沢サイバネティックスがパナソニック ホールディングス <6752> [東証P]傘下のパナソニック コネクトと共同開発したウォークスルー型顔認証改札機を大阪メトロが採用、2024年度末までに全駅(約100駅)に導入するという。定期券、交通系カードは不要になる。
2023年3月17日 記
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