【村瀬智一が斬る!深層マーケット】低バリュエーションや配当志向の物色に
「低バリュエーションや配当志向の物色に」
●日経平均は2万7500円を挟んだこう着が続く
日経平均株価はこう着感の強い展開が続いており、1月下旬にかけてのリバウンド一巡後は、概ね2万7500円を挟んだ上下300円程度の値幅での推移である。決算発表の集中期間を通過し、機関投資家は動きやすくなったと思われるが、米国の金融政策の行方に対する警戒感は根強く、積極的な売買を手控えさせているようだ。
また、国内では4月に任期満了となる日銀の黒田東彦総裁の後任に、政府が植田和男氏を指名したことで、金融緩和政策の修正観測が燻っている。最近の報道では現在の大規模な緩和政策を継続すると伝わっており、金融市場に与える影響は当面、限られるとみられるが、株式市場では今後の政策修正を織り込みに行く動きが意識されやすい。
そのため、ハイテクなどグロース株への物色には慎重となり、結果的にはややTOPIX型が優位になろう。また、今回の決算発表では、配当の増額や自社株買いなど株主還元策を打ち出す企業が目立った。3月期末に向けてバリュエーションの低い銘柄を見直す動きや配当志向の物色が強まりそうだ。
●今後、活躍が期待される「注目5銘柄」
◆マツキヨココカラ&カンパニー <3088> [東証P]
2月14日に発表した2023年3月期第3四半期累計(4-12月)業績は、連結営業利益が前年同期比74.2%増の483億円と大幅増益で着地した。通期計画に対する進捗率は83.7%に達し、順調な進捗をみせている。医薬品と化粧品の伸長が粗利益率改善に寄与しており、ココカラファインとのシナジー効果が順調に発現しているとみられる。今後は回復をみせるインバウンド需要の貢献も期待されよう。また、MSCIスタンダードインデックスに新規採用されたことで、指数に反映される2月末に向けて先回り的な動きも意識されそうである。
◆ベイカレント・コンサルティング <6532> [東証P]
企業戦略立案・課題解決・実行支援まで提供する総合コンサル会社。1月13日に発表した23年2月期第3四半期累計(3-11月)業績は、営業利益(非連結)が前年同期比36.9%増の209億円だった。通期計画に対する進捗率は80.4%となった。新たに約650名の社員を採用し、コンサルタント数を前年同期比で約2割増に強化したほか、DX(デジタルトランスフォーメーション)やサステナビリティ、事業戦略などに関するプロジェクトの順調な受注・遂行により、こちらも前年同期比で約6%増の高付加価値化を実現した。株価は決算の進捗が評価されて急伸し、1月19日には5830円まで買われた。その後は5500円を挟んで横ばいで推移しており、過熱感は和らいだとみられる。25日移動平均線水準からのリバウンドに期待。
◆Cominix <3173> [東証P]
2月1日に発表した23年3月期第3四半期累計(4-12月)業績は、連結営業利益が前年同期比44.3%増の7億2000万円で着地した。切削工具の主要販売先である自動車業界では、 半導体など部品の供給制約の緩和や円安による底堅い輸出を背景に工場稼働が回復基調となった。この流れの中、主力商材やオリジナル製品の販売拡大に取り組んだことが業績拡大に寄与した。株価は決算を受けて急騰した後は、“往って来い”の形とはなったが、切り上がる25日線を支持線とした上昇トレンドを継続。
◆サンワテクノス <8137> [東証P]
電子部品主体の専門商社。1月30日場中に決算を発表。23年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結営業利益は前年同期比63.9%増の54億2100万円だった。通期計画に対する進捗率は83.4%と順調。半導体・自動車・太陽光発電関連などの市場で積極的に設備投資が行われ、電機品や電子部品・機器、設備機器の需要が高い水準で推移した。株価は決算を好感して日足ボリンジャーバンドで+3σを超える水準まで急騰した後は、高値圏での保ち合いが続き現在は+1σ水準で推移しており、過熱感は後退している。
◆黒崎播磨 <5352> [東証P]
1月30日に発表した23年3月期第3四半期累計(4-12月)業績は、連結営業利益が前年同期比16.6%増の73億1300万円で着地した。耐火物事業で原料価格などのコスト上昇を販売価格に着実に転嫁できたほか、堅調なインド鉄鋼市場で事業拡大と非鉄分野向けへの拡販に取り組んだことが寄与した。また、バイオマス発電用ボイラを含む大型工事案件の受注とコストダウンなどにより、ファーネス事業も順調だった。株価は強い基調を継続しており過熱感は警戒されるものの、PBRは0.7倍台と割安感があり、バリュエーション修正の動きに期待したい。
(2023年2月17日 記)
株探ニュース