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【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:日銀新総裁の所信聴取、米PCEコアデフレータ、米エヌビディア決算

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

■株式相場見通し

予想レンジ:上限27800円-下限27200円

来週の東京株式市場は弱含みか。市場予想を大幅に上回った米1月雇用統計に続き、米1月の消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)も全体的に上振れが目立ち、インフレ鈍化の一服が強く意識されつつある。特にCPIに対して先行性の高いPPIの上振れが大きく、これまでCPIの鈍化に寄与してきたエネルギーや中古車の価格が再上昇してきている中、今後の物価指標に対する懸念はさらに高まっている。米10年債利回りが再び4%台乗せに迫っており、期待インフレ率を差し引いた米10年物実質金利の上昇も続く中、これまで調整が遅れてきた株価収益率(PER)は、実質金利との連動性を取り戻す形で低下を余儀なくされ、目先、株価の弱含みが予想される。


こうした中、来週末にはFRBが特に重要視する米1月個人消費支出(PCE)コアデフレータが発表される。CPIとPPIの結果からPCEでもインフレ鈍化一服が示唆される可能性が高く、米長期金利の上昇基調が続きやすい中、株価は週末まで調整局面が続きそうだ。週半ば22日には1月31-2月1日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が公表される。前回のFOMC後の会見では、パウエル議長が「ディスインフレ」発言を繰り返すなど、FRBの早期利上げ停止期待を高めた経緯があり、議事録の内容はタカ派である可能性は低い。しかし、その後の米雇用統計と米物価指標を受けて、この議事録はすでに過去のものとしてほとんど重要視されないため、むしろ、想定よりもタカ派である場合のリスクの方が大きそうだ。


国内では、週末24日に次期日銀総裁として政府から指名されている植田和男氏の国会での所信聴取が予定されている。当日の寄り付き前には1月全国消費者物価指数も発表される。結果が予想を上回ると、所信聴取の前に思惑から為替が円高に動く可能性もあり、日本株の動きを左右する可能性あろう。


需給面では、日本取引所グループが公表する投資部門別売買動向によると、海外投資家の買い越しが根強く見られる一方、年金基金の動向を反映する信託銀行の売り越しが長期化しており、上値では逆張り志向の個人投資家による売り越しも見られる。特に、個人投資家については、10日時点の信用取引の売り残高(東京・名古屋2市場、制度信用と一般信用の合計)が6週連続で増加しているほか、日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(ETF)<1357>の純資産総額の積み上がりなどから、売り目線が増えている様子。こうした背景から、日経平均は27500円台後半、東証株価指数(TOPIX)は2000pt手前での上値の重さが続いている。FRBの早期利上げ停止期待が後退し、決算発表の一巡で個別物色のエネルギーも後退する中、手掛かり材料難で今後も同様の冴えない展開が続きそうだ。


米国では来週、小売りのウォルマートや半導体のエヌビディアの決算が予定されている。根強いインフレの要因にもなっている米個人消費の堅調さを背景に、ウォルマートはしっかりとした決算が予想される。節約志向の高まりで購買対象が生活必需品へ集中するなか、粗利益率の悪化傾向は続きそうだが、在庫調整の進展などが確認されれば好感されそうだ。また、昨年に厳しい株価下落に見舞われた半導体株は、今年後半からの市況回復を見越して今年は堅調な株価推移が続いている。半導体銘柄の中でも特に成長性が高く影響力の大きいエヌビディアの決算であく抜け感が強まれば、指数寄与度の大きい関連銘柄の一段の上昇につながりそうで、相場の下支え役として期待したい。


■為替市場見通し

来週のドル・円は底堅い値動きか。米インフレ高止まりの見方から、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ長期化観測でドル買いが入りやすい。また、日本銀行は現行の金融緩和策を当面維持することが見込まれ、円売り基調も続く。2月14日に発表された米消費者物価指数(CPI)と16日発表の卸売物価指数(PPI)は伸び率が鈍化したが、市場予想を上回った。


市場では早期利上げ休止と年内利下げの思惑が広がっていたが、直近のインフレ指数が前回を上回るケースが目立つ。来週発表の1月米PCEコア価格指数は前年比+4.3%と、上昇率は12月実績を下回る見通しだが、市場予想を上回った場合、インフレ鎮静化の流れが逆戻りする可能性もある。こうした観点から、FRBのタカ派姿勢をにらんだ金利高・ドル高は継続しそうだ。ドル・円は1月6日に付けた年初来高値134円77銭を一時上回っており、新たなドル買い材料が提供された場合、1ドル=135円を再び超えて一段高となる可能性がある。


なお、次期日銀正副総裁の人事案が国会に提示された。総裁候補の植田和男元審議委員は黒田東彦総裁の緩和路線を当面維持するとみられ、現時点では円安方向に振れている。ただ、年後半以降には金融緩和策の修正に動き始めるとの見方もあるため、金融政策などについての植田氏の発言には注意が必要か。


■来週の注目スケジュール

2月20日(月):中・1年物/5年物ローンプライムレート(LPR)、米・株式市場は祝日のため休場(プレジデンツデー)、など

2月21日(火):日・欧・米・製造業/サービス業PMI(2月)、日・工作機械受注(1月)、独・ZEW期待指数(2月)、米・中古住宅販売件数(1月)、米・決算発表→BHPグループ、HSBCホールディングス、ホーム・デポ、ウォルマート、コインベース、など

2月22日(水):日・企業向けサービス価格指数(1月)、日・プライム・ストラテジーが東証スタンダード市場に新規上場、NZ・ニュージーランド準備銀行(中央銀行)が政策金利発表、独・IFO企業景況感指数(2月)、米・連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1月31日-2月1日会合分)、米・決算発表→リオ・ティント、ロイズ・バンキング・グループ、ステランティス、百度、エヌビディア、イーベイ、など

2月23日(木):日・株式市場は祝日のため休場(天皇誕生日)、欧・ユーロ圏CPI(1月)、トルコ・中央銀行が政策金利発表、米・GDP改定値(10-12月)、米・アトランタ連銀総裁が講演、印・G20財務相・中央銀行総裁会議(25日まで)、米・決算発表→アクサ、モデルナ、ビヨンド・ミート、アリババグループ・ホールディング、など

2月24日(金):日・消費者物価コア指数(1月)、日銀総裁候補の植田氏への所信聴取と質疑、全国百貨店売上高(1月)、米・個人所得/個人消費支出(PCE)(1月)、米・PCEコアデフレータ、米・新築住宅販売件数(1月)、米・ミシガン大学消費者マインド指数(2月)、など

《YN》

 提供:フィスコ

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