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9219 ギックス

東証G
888円
前日比
-5
-0.56%
PTS
896円
09:40 11/25
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
47.2 2.66 6.02 22.15
時価総額 49.6億円
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新時代の交通手段を革新、「MaaS」関連株に再浮上の時来たる <株探トップ特集>


―行動変容で求められる変革、脱炭素インバウンドの両面でも注目―

 あらゆる産業で人工知能(AI)ビッグデータなどのデジタル技術を活用した変革がみられているが、交通分野においてもスマートモビリティ(交通・移動を変える新たなテクノロジーの総称)による交通インフラのアップデートが世界的に一気に進む機運が高まっている。背景には新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけとしたニューノーマル(新常態)によって生活様式が変わり、さまざまな場面で行動変容が起きていることが挙げられ、職住融合や分散型社会といった流れによってモビリティの新しい在り方が求められているためだ。そこで官民が連携して実用化や実証実験が進められているMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)に改めて注目してみたい。

●次世代交通サービスで課題解決へ

 国土交通省によれば、MaaSとはスマートフォンアプリやWebサービスにより、地域住民や旅行者一人ひとりのトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済などを一括で行うサービスのこと。ユーザーの経路検索・改札通過などの移動履歴や支払い情報といったパーソナルデータの活用、ドライバー不足を補うための 自動運転及び地域の手軽な移動の足となる超小型モビリティ、電気自動車(EV)などのクルマのイノベーション、効率的な移動手段を分析・提案・改善するためのAIの活用など、急激に発展している各種技術が交差するサービスといえる。

 MaaSがもたらすメリットとしては、地方における交通手段の維持・確保や高齢者をはじめとする交通弱者の課題解決などさまざまあるが、環境問題の改善もその一つ。交通手段の選択肢が広がり、マイカーを持たなくても気軽に移動できるようになれば、都市部での渋滞が減少することで二酸化炭素(CO2)の排出が抑制されるほか、マイカーの保有台数の減少に伴って駐車場面積を減らすことができ、緑地などへの転用ができるようになる。政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」を実現するためには、国内CO2総排出量の約2割を占める運輸部門の変革が不可欠で、多様な交通サービスを統合したMaaSの社会実装がカギを握りそうだ。

●活発な観光型の実証実験

 MaaSの実証実験は全国各地で行われているが、なかでも活発な取り組みがみられるのが観光型と呼ばれるものだ。地方の観光地は二次交通の不便さや周辺観光におけるアクセス手段の不足など、交通手段に関する課題を抱える地域が少なくない。また、新型コロナの感染拡大で大きな打撃を受けた観光業界を盛り上げる施策としてMaaSが期待されている面もある。

 こうしたなか、日本ペイントホールディングス <4612> [東証P]傘下の日本ペイント・インダストリアルコーティングス、BIPROGY <8056> [東証P]、京阪ホールディングス <9045> [東証P]傘下の京阪電気鉄道及び京阪バス、先進モビリティ(茨城県つくば市)は、滋賀県大津市内で自動運転バスの実証実験を実施する。これは高齢化する住民の移動手段の確保や観光客の二次交通充実を目指すもので、期間は今年12月10日から来年2月28日まで。また、自動運転バスの利用促進と回遊性向上を目的とした大津市自動運転・京阪バス大津市内乗車券アプリを提供するという。

 建設技術研究所 <9621> [東証P]は11月下旬、奈良公園周辺における公園利用者の周遊性向上を目的としたパーソナルモビリティやMaaSによる移動支援サービスの実証実験を行った。新たに実験エリアや推奨ルート、貸出・返却場所を設定し、モビリティシェアリングサービス(自由散策)や観光ガイド付きツアーといった移動支援サービスを提供。更に奈良公園周辺の観光MaaSアプリを開発し、モビリティサービスの予約やスタンプラリーの開催、散策に役立つデジタルマップや奈良の観光地を結ぶ「ぐるっとバス」などの情報提供を一元的なサービスとして提供することで、利用者の利便性や満足度の向上を図った。

 ゼンリン <9474> [東証P]は長崎市で実施している観光型MaaSの実証実験で提供中の観光情報Webサイトとスマホアプリ「STLOCAL(ストローカル)」に、佐世保・西九州エリアを追加し、10月から提供を開始した。対象エリアに同エリアを追加することで、長崎市・佐世保間の周遊を促す仕組みを提供し、更なる観光体験価値の向上、公共交通の利便性を高めたい考えだ。

 このほかでは、JR西日本 <9021> [東証P]や大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)など関西の主要鉄道7社が23年夏ごろに関西全域で使用できる「関西MaaSアプリ(仮称)」をリリースすると発表しているほか、JR東日本 <9020> [東証P]とANAホールディングス <9202> [東証P]はMaaS分野での連携を強化。日本航空 <9201> [東証P]は京浜急行電鉄 <9006> [東証P]の羽田空港~泉岳寺駅間の往復乗車券と東京の地下鉄乗り放題がセットになった乗車券を発売するなど、首都圏でのサービスを拡充している。

●医療分野でも活用相次ぐ

 医療の分野でもMaaSを活用する動きが相次いでいる。高齢化が進む一方、医師も増え続ける在宅医療への対応に追われているためで、車内からオンライン診療を行うなど従来とは異なる方法で車両が使われる事例が増えている。

 例えば、オリエンタルコンサルタンツホールディングス <2498> [東証S]傘下のオリエンタルコンサルタンツ、MRT <6034> [東証G]、大日本印刷 <7912> [東証P]、MONET Technologies(東京都千代田区)、三重広域連携スーパーシティ推進協議会は10月から11月にかけ、医療MaaSの社会実装を視野に入れた実証実験を行った。この実証実験では、さまざまな用途に利用可能なマルチタスク車両を利用して、車両内で医療サービスと行政サービスを提供したほか、公的施設の活用や薬剤の配送との連携による取り組みの有効性を検証した。

 また、PHCホールディングス <6523> [東証P]傘下のPHCは8月から9月にかけ、自社の遠隔医療システム「Teladoc HEALTH」をトヨタ車体(愛知県刈谷市)の医療MaaS車両「MEDICAL MOVER」に搭載し、高齢化が進むへき地における医療アクセス向上を目的とした遠隔医療の実証実験を実施。山口県山間部に位置する徳地地域で行い、移動負担の軽減や診療の効率化など、患者と医師双方のニーズに適したオンライン診療の提供を目指し、運用体制や診療に必要な設備・機器などを検証した。

●ソリューション提供企業に注目

 これ以外で注目したいのが、MaaSに関するソリューションなどを手掛ける企業だ。直近ではデジタルガレージ <4819> [東証P]子会社のDGフィナンシャルテクノロジーが、JR四国(香川県高松市)が11月下旬から開始したチケットアプリ「しこくスマートえきちゃん」に、クレジットカード決済サービスを提供。東京エレクトロン デバイス <2760> [東証P]とNSW <9739> [東証P]はMaaS事業拡大に向けて協業を開始し、このほどIoTテレマティクス(自動車などの移動体に通信システムを搭載し、リアルタイムな情報サービスを提供すること)サービス「Drive Tracer」を発売した。

 バス運行に関わる情報をリアルタイムに配信できる「スマートバス停」を提供するYE DIGITAL <2354> [東証S]、スルッとKANSAI協議会とQRコードを活用したデジタル乗車券の開発に着手したウェルネット <2428> [東証P]、乗り換え案内や時刻表の検索サービスを行う駅探 <3646> [東証G]、乗り換え案内やMaaSの事業展開を進めるジョルダン <3710> [東証S]、「STLOCAL」のカスタマーサクセスを担当するアディッシュ <7093> [東証G]、個客選択型スタンプラリー「マイグル」を展開するギックス <9219> [東証G]、モビリティのシェアリングプラットフォーム「Kuruma Base(クルマベース)」を手掛けるスマートバリュー <9417> [東証S]なども関連銘柄として挙げられる。

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