東京通信 Research Memo(3):ヘルステック、ライブコマース、メタバースなど、新規事業の展開に注力
■事業概要
2. 事業内容
東京通信<7359>のセグメントはインターネットメディア事業、プラットフォーム事業、インターネット広告事業、及び、その他で構成される。その他の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントとなる。
(1) インターネットメディア事業
インターネットメディア事業では、主にスマートフォン向けのアプリメディアを企画・開発する。アプリ内の一部スペースを広告枠とし広告を出稿したい広告主へ提供することで、ユーザーの広告視聴やクリック数等を獲得し、広告収入を得ている。
具体的には、短時間で操作できる「国内向けアプリ」、シンプルな操作で言語の壁がない「ハイパーカジュアルゲーム」を中心に、現在4,000タイトル以上のスマートフォンアプリをリリースし、無料アプリ内の広告収益を主軸としたビジネスモデルとなっている。また新たなるジャンルとして、Play-to-Earn領域において懸賞アプリをはじめとする国内向けのインセンティブゲームのプロモーションを強化した。これによって、継続的なユーザーの維持による広告収益の増加を見込む。
(2) プラットフォーム事業
プラットフォーム事業では、恋愛や、仕事、人生に関する悩みを抱えるユーザーと、経験豊かなアドバイザーをマッチングする電話相談サービス「カリス」を運営する。電話占いは、相談を受ける側である占い鑑定師のマネジメントや教育にも注力し、全体的なコンテンツの質を高めることでユーザー獲得を行っている。また、「カリス」のノウハウを転用した恋愛相談サービスも行っている。占いと恋愛相談は心理的に近い分野であり、恋愛に悩みを持つ人、誰かに恋愛相談したい人などにまで顧客層を広げる。また、最近では190万以上のフォロワーを擁する筋トレ系インフルエンサーのTestosterone氏が監修するヘルステックアプリ「OWN.」を2022年4月にリリースした。動画でのトレーニング要素に加え、画像認識による食事の自動解析、体重管理や摂取カロリー計算機能をアプリを通じて提供している。また、同ブランドのさらなる事業展開として、2022年11月には自社開発のサプリメントやプロテインを取り扱う「OWN.Shop」をリリースしている。
また、ANAPと共同で、アパレル商品を中心に取り扱うライブコマース「PCAN Live」を手掛けており、インフルエンサーによるアパレル商品のライブ配信という新たな収益源を確立した。今後はANAPの協力の下で他サプライヤーと連携し、複数ブランドを手掛ける方針である。
さらに2023年には、アーティストなどとの双方向のコミュニケーションを実現する推し活※×メッセージアプリ「B4ND」のリリースを予定し、開発を進めている。
※アイドルや俳優などの芸能人、アニメや漫画のキャラクターなどの中で、自分が特に好きな人や物を、グッズの購入やイベントへの参加、ファンレター等で応援する活動のこと。
(3) インターネット広告事業
インターネット広告事業は、アフィリエイト広告及びアドテクを活用して広告主の収益の最大化を図り、取引の不正防止に重点を置くなど、大手クライアントとの信頼関係を構築し、安定した広告提案から運用までを手掛ける。業界に造詣の深い人材を中心とした組織を構築し、クローズドネットワークの活用により有望なアフィリエイターを抱え、VOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスをはじめとしたアフィリエイト広告戦略を強みとする。
(4) その他の事業
その他の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントで、投資事業、ソリューションセールス事業、スキルオン事業及び新規事業開発等となっている。投資事業としては、2022年5月に同社が出資した(株)オーバース(「ブロックチェーン技術とメタバースを利用した活動領域の拡大」をミッションとし、新しいアイドルグループの創造を目指すしている企業)が2023年に暗号資産による資金調達(IEO)を控えている状況だ。IEOによるさらなる事業拡大が期待される状況である。また、新規事業として取り組むメタバース事業に関しては、2022年8月に合弁会社であるアミザを設立し、街づくりプラットフォーム構築プロジェクト「AMIZA」を進めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
《SI》
提供:フィスコ