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【特集】「量子コンピューター」が8位、社会実装に向け官民挙げて本腰<注目テーマ>

TOPIX <日足> 「株探」多機能チャートより
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 みんなの株式と株探が集計する「人気テーマランキング」で、「量子コンピューター」が8位に急浮上している。

 次世代コンピューティングの切り札として注目されるのが量子コンピューターだ。従来型コンピューターは「0もしくは1」という普遍的な動作原理によって動かされている。トランジスタを並べ、電流のスイッチが入っていない状態を「0」、スイッチを入れた状態を「1」として、すべての数値を「0」と「1」で表す2進法を採用しており、この原理は超高速の演算能力を誇るスーパーコンピューターであっても変わらない。これに対し、量子コンピューターはひとつの量子が「0であり、かつ1でもある」という“重ね合わせ”や“もつれ”など極微の世界で起こり得る物理現象を利用して並列コンピューティングを実現するもので、これまでの常識では考えられないハイパフォーマンスを演じることに成功した。スーパーコンピューターですら膨大な時を要する計算問題でも、瞬時に正解にたどり着く驚異的な演算能力を発揮する。

 米国ではアルファベット<GOOGL>傘下のグーグルが、同社が開発した超電導式の実機でスーパーコンピューターで1万年かかるという問題をわずか数分で解を導き出し、既に「量子超越」を実現、米IBM<IBM>も2025年に4000量子ビットの実機開発を目指す方針を示すなど競争が先鋭化している。中国も米国に対抗して中国科学技術大学が同国政府の支援体制のもとで量子超越を達成するなど、全力で追随している。

 日本国内では政府は20年1月に策定した「量子技術イノベーション戦略」に基づき研究開発を推進してきたが、同分野を巡っては世界的に開発競争が激化していることもあり、岸田政権ではこれをブラッシュアップする形で今年4月に新戦略「量子未来社会ビジョン」を策定、一段と取り組みを積極化させる方向にある。そうしたなか今月10日、政府は量子技術の産業化を議論する有識者会議を初めて開き、国策主導でサービス開発などに向けた動きを本格化させている。国策の追い風を背に、理化学研究所は22年度中に国産の量子コンピューターを導入する見通しにあり、社会実装に向けたスケジュールは着々と進んでいる。

 株式市場でも量子コンピューターに代表される量子技術に関連する企業群に改めてスポットライトが当たっている。同関連の本命株はカナダの量子アニーリングの有力ベンチャーであるDウェーブ社と早くから業務提携を行い、同分野を深耕しているフィックスターズ<3687>だ。同社は昨年9月に創設された「量子技術による新産業創出協議会」においてトヨタ自動車<7203>やNEC<6701>、富士通<6702>、NTT<9432>といった大企業群のなかで理事を務めている。

 このほか関連有力株として、オキサイド<6521>、インテリジェント ウェイブ<4847>、多摩川ホールディングス<6838>、ユビキタスAI<3858>、テラスカイ<3915>、HPCシステムズ<6597>などが注目される。

出所:MINKABU PRESS

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