貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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9418 UNEXT

東証P
1,700円
前日比
-15
-0.87%
PTS
1,700円
14:07 12/18
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.4 3.75 0.82 87.21
時価総額 3,066億円
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USENNEX Research Memo(4):個人向けコンテンツ配信と店舗・施設向け運営支援サービスを展開(1)


■USEN-NEXT HOLDINGS<9418>の会社概要

3. 事業概要
事業セグメントは、コンテンツ配信事業、店舗サービス事業、通信事業、業務用システム事業、エネルギー事業の5つである。コンテンツ配信事業では、個人向けに映画や電子書籍といったデジタルコンテンツを配信しており、そのほかの4事業は、法人や個人事業主による業務店など中小事業所・各種施設の運営支援サービスがメインとなっている。店舗サービス事業では、飲食・小売といった業務店や各種施設に対して、キャッシュカウな音楽配信サービス、周辺の音響機器の販売・施工や音楽著作権の管理、そして成長事業である店舗DX商材・サービスなど、店舗経営のためのソリューションサービスを提供している。通信事業では、安定成長の法人向けICT商材や高成長の業務店向け自社光回線などを販売している。業務用システム事業は、ホテルや病院などに向けて自動精算機やフロント業務管理システムなどの機器販売や保守サービスを行っている。エネルギー事業は、店舗サービス事業や通信事業の顧客などに対して、低価格の電力・ガスの販売を行っている。なお、事業間のクロスセルなどによってシナジーを追求すると同時に、販売によるワンショット収益から月次利用料を収受する安定継続的なランニング収益を増やすことで、収益体質の改善も進めている。

(1) コンテンツ配信事業
個人向けコンテンツ配信サービス「U-NEXT」は、映画やテレビといった動画から電子書籍、音楽を、インターネットを通じてテレビやPC、スマートフォンなど様々なデバイスで視聴することができる月額課金型の有料サービスである。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)で急拡大した動画配信市場は、ウィズ/アフターコロナにシフトするなかで成長鈍化が指摘されるが、日本では米国などに比べて定額制有料動画配信の利用が十分進んでいないことから中長期的に拡大基調をたどると見られている。このように日本の動画配信市場は伸びしろの大きい成長市場と言えるが、競争の激しい市場でもある。DAZNとHulu、その他の中小事業者によるサービスも総じてシェアを落とす一方、「U-NEXT」、Netflix、Amazonプライム、ディズニープラスの大手4社のサービスにシェアが集中しつつあるところと言われている。

外資3社は、巨額資金を背景に制作したオリジナル作品に圧倒的な強みがある。これに対するのが国内外のコンテンツを網羅的にラインナップしている「U-NEXT」の「カバレッジ戦略」で、映画、ドラマ、アニメなど24万本以上の見放題作品に加え、公開・放送されたばかりの最新作を含む3万本以上のレンタル作品を視聴可能で、業界トップと言われる作品数を揃えている。加えて、ニッチ分野や音楽ライブ・格闘技ライブなども網羅し、新作の配信も早い。また、漫画や書籍など76万冊以上の電子書籍、そして音楽配信もパッケージされているため、1契約で「視聴」「読書」の複数のコンテンツサービスを利用することができる。同社サービスの月額利用料は2,189円(税込み)と一見高く見えるが、毎月1,200円分のポイントが付与されるため実質989円(税込み)になること(ポイントで劇場観賞用クーポンも取得できる)、1アカウントで4人まで視聴可能なことなどを考え合わせれば、コストパフォーマンスは高いと言える。

作品内容でも同社は差別化を図っている。「ONLY ON戦略」によって、新作・話題作やスポーツコンテンツ、音楽コンテンツのライブ配信といった「U-NEXTでしか観られない」「見放題で楽しめるのはU-NEXTだけ」という独占配信作品の強化に取り組んでいる。このため、NetflixやAmazonプライムに対抗したい海外のコンテンツホルダーとの独占契約をするほか、音楽配信で構築した深い関係性を生かして音楽ライブ配信の展開を進めている。さらに、大手では唯一成人向け作品の配信を手掛けている。レンタルビデオの成長期にTSUTAYAが米国大手のブロックバスターを圧倒した例からも、成人向け作品が大きな差別化要素になることが分かっている。このように外資大手3社と明確に差別化された戦略を展開しているため、ユーザーが動画配信サービスを複数利用する際に、「U-NEXT」が選択されることが多いようだ。

(2) 店舗サービス事業
店舗サービス事業は、60年以上の歴史を有する祖業でキャッシュカウな音楽配信サービス「USEN MUSIC」、及び店舗のDXを支援するサービスを行っている。対象は飲食店、小売店、理美容店、医療機関、オフィスなど全国に約300万件近くある業務店や施設で、個人店から地域密着チェーン、全国チェーンまでと幅広い。このうち全国約70万件の店舗や施設に対して、J-POPや洋楽などの専門チャンネルからリクエストチャンネルまで多彩な音楽や各種情報を放送するサービスを提供している(店舗向け音楽配信シェアは約90%と推定)。楽曲数は1,000万曲程度あり、AIによってどのような業種・業態にも適したプレイリストを作成できるうえ、来店客向けや従業員向けなど約1,000種類の店内アナウンスも標準搭載している。

店舗DXは、音楽配信サービスの周辺事業として展開してきた。近年、省人化・省力化に向けたデジタル支援のニーズが急増しているが、中小事業者が独力でIoTやDXなどを推進するのはハードルが高いため、同社が導入サポートをワンストップで行っている。音楽配信「USEN MUSIC」を軸に、POSレジ「USENレジ」や業務用Wi-Fi「USEN AIR」、来店客属性分析ができるAIカメラ「USEN Camera」、配膳ロボットなどの商品・サービスが一体となった店舗運営支援サービスとなっている。こうした店舗インフラを「USEN IoT PLATFORM」と呼び、新規開業に必要なDX商材・サービスがすべて揃っている。サービスが豊富になったことを背景に、店舗DXの商材・サービスをパッケージ化した「USENまるっと店舗DX」を開発し、新店などセット成約率の高い新規顧客向けに営業を推進している。音楽配信を加えると100万件近くなる規模の顧客基盤は、同社にとって最大の経営資源と言える。

同事業の強みは、顧客基盤のほか、グループで全国140の拠点、1,200人の直販営業と900人の施工/保守人員を擁する強力なサポート体制にある。音楽配信、店舗DXともに機器の設置施工からアフターケア、面倒な著作権処理など開店から運営までを支援することができる。なお音楽配信の市場は安定的で、新店(新規契約)と閉店(契約解除)が拮抗している状態だが、収益性が高くキャッシュカウであるため、グループ全体の成長戦略を資金面で支える事業となっている。一方、店舗DXは労働人口の減少に伴って省人化・省力化ニーズが急速に高まっているが、特に同社の既存顧客は個人店や中小チェーン店が多くデジタル化が進んでいないため、店舗DXを導入する余地が非常に大きく高成長事業と言うことができる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《SI》

 提供:フィスコ

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