明日の株式相場に向けて=FOMC後に再び正念場
名実ともに11月相場入りとなった1日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比91円高の2万7678円と続伸。前日の米国株市場ではNYダウ、ナスダック総合株価指数、S&P500指数いずれも反落しており、この流れを引き継ぐのであれば、日経平均もきょうは下値を探る順番であったが、思った以上に押し目買いニーズが強く底堅さを発揮した。10月を振り返ると日経平均は月足では俗にいう“陽線丸坊主”だったが、基本的に26000~2万8000円のボックスゾーンの領域で地味に上昇した感じである。
一方、米国株市場ではNYダウが底値圏から鮮烈な戻り足をみせ、10月の月間上昇率は14%に達し、これは1976年1月以来実に46年9カ月ぶりの記録という。10月前半は乱高下の末に、ついにマーケットを売り方が蹂躙したかのような印象もあったが、結局イベントドリブン戦略の勝者とはなり得なかった。
反騰前夜に空売り筋のショートポジションが高水準に積み上がっているという声は聞かれたが、その後はあまりにベタな踏み上げ相場への移行となった。流れが変わったのは10月13日、日本時間では14日未明にかけての時間帯である。9月の米消費者物価指数(CPI)が発表される日であったが、ここにマーケットの神経が集中していた。この直前の相場はまさに「陰の極」といってもよい冷え込み方であり、13日付の当欄でも取り上げた。しかし、空が悲観一色に染まる次の瞬間、新たな黎明を迎えるというのが株式市場でこれまで数えきれないほど繰り返されてきた風景である。この時の空の色も同じ変化をみせた。
結果として10月は46年ぶりの株高パフォーマンスにつながったわけだが、11月相場はまた攻守ところを変える可能性もある。「この急速なリバウンド相場に苦虫を噛み潰していたのがパウエルFRB議長」(ネット証券アナリスト)とする声があるからだ。いうまでもなく、あす2日(日本時間3日未明)にFOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見を控えており、これが米中間選挙と並んで11月相場のカギを握るビッグイベントとなる。11月は0.75%の利上げをマーケットはほぼ100%織り込んでいるが、問題は12月以降のFRBのスタンスである。パウエル氏は会見でおそらくタカ派への傾斜をわざと印象づけるようなコメントを発する可能性が高い。「利上げの終着点はまだ見えない」とマーケットに認識させることに精力を注ぐはずだ。市場関係者によると「米国では株価だけではなくジャンク債に位置付けられるようなハイイールド債の価格上昇もみられ、これにパウエル氏は危機感にも近い焦燥に駆られている」(同)という。“FRBに逆らうな”という格言に従えば、ここはキャッシュを高めに維持しておく方が賢明かもしれない。
外国為替市場では足もとドル円相場が乱高下しているが、水準的に1ドル=140円台はかなりの円安である。しかし、為替感応度で群を抜くトヨタ自動車<7203>の22年4~9月決算は最終利益が前年同期比2割以上の減益となった。円安効果では原料高騰によるコスト増をカバーできなかったという。エネルギー価格高騰や海外人件費など円安がコストアップに拍車をかけるという裏事情もある。為替効果で売上高を膨らませても利益採算が伴わず、トヨタは買いにくいというのが、ここ最近の同社株の値動きに反映されていた。
一方、市況悪化が表面化している半導体関連は、実勢悪がむしろ空売り買い戻しを誘発するトリガーとなって関連銘柄の株価に浮揚力を与えている。そのなか、同じ半導体の範疇でもパワー半導体については脱炭素のキーアイテムとして旺盛な需要が続いていることが明らかとなってきた。タカトリ<6338>の商いを伴う急騰劇はその象徴で、前日取り上げた三社電機製作所<6882>も軌道に乗った。同関連の出遅れ組ではワイエイシイホールディングス<6298>、そしてキョウデン<6881>あたりが要注目となる。
あすのスケジュールでは、日銀金融政策決定会合の議事要旨(9月21~22日開催分)と10月のマネタリーベースが朝方取引開始前に発表される。また、10月の財政資金対民間収支が午後取引終了後に開示される。海外では、10月の独失業率、10月のADP全米雇用リポート、FOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見など。国内主要企業の決算発表では、Zホールディングス<4689>、住友電気工業<5802>、ミネベアミツミ<6479>、エイチ・ツー・オー リテイリング<8242>、野村ホールディングス<8604>など。海外ではクアルコム<QCOM>、イーベイ<EBAY>などの決算発表がある。(銀)
出所:MINKABU PRESS
一方、米国株市場ではNYダウが底値圏から鮮烈な戻り足をみせ、10月の月間上昇率は14%に達し、これは1976年1月以来実に46年9カ月ぶりの記録という。10月前半は乱高下の末に、ついにマーケットを売り方が蹂躙したかのような印象もあったが、結局イベントドリブン戦略の勝者とはなり得なかった。
反騰前夜に空売り筋のショートポジションが高水準に積み上がっているという声は聞かれたが、その後はあまりにベタな踏み上げ相場への移行となった。流れが変わったのは10月13日、日本時間では14日未明にかけての時間帯である。9月の米消費者物価指数(CPI)が発表される日であったが、ここにマーケットの神経が集中していた。この直前の相場はまさに「陰の極」といってもよい冷え込み方であり、13日付の当欄でも取り上げた。しかし、空が悲観一色に染まる次の瞬間、新たな黎明を迎えるというのが株式市場でこれまで数えきれないほど繰り返されてきた風景である。この時の空の色も同じ変化をみせた。
結果として10月は46年ぶりの株高パフォーマンスにつながったわけだが、11月相場はまた攻守ところを変える可能性もある。「この急速なリバウンド相場に苦虫を噛み潰していたのがパウエルFRB議長」(ネット証券アナリスト)とする声があるからだ。いうまでもなく、あす2日(日本時間3日未明)にFOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見を控えており、これが米中間選挙と並んで11月相場のカギを握るビッグイベントとなる。11月は0.75%の利上げをマーケットはほぼ100%織り込んでいるが、問題は12月以降のFRBのスタンスである。パウエル氏は会見でおそらくタカ派への傾斜をわざと印象づけるようなコメントを発する可能性が高い。「利上げの終着点はまだ見えない」とマーケットに認識させることに精力を注ぐはずだ。市場関係者によると「米国では株価だけではなくジャンク債に位置付けられるようなハイイールド債の価格上昇もみられ、これにパウエル氏は危機感にも近い焦燥に駆られている」(同)という。“FRBに逆らうな”という格言に従えば、ここはキャッシュを高めに維持しておく方が賢明かもしれない。
外国為替市場では足もとドル円相場が乱高下しているが、水準的に1ドル=140円台はかなりの円安である。しかし、為替感応度で群を抜くトヨタ自動車<7203>の22年4~9月決算は最終利益が前年同期比2割以上の減益となった。円安効果では原料高騰によるコスト増をカバーできなかったという。エネルギー価格高騰や海外人件費など円安がコストアップに拍車をかけるという裏事情もある。為替効果で売上高を膨らませても利益採算が伴わず、トヨタは買いにくいというのが、ここ最近の同社株の値動きに反映されていた。
一方、市況悪化が表面化している半導体関連は、実勢悪がむしろ空売り買い戻しを誘発するトリガーとなって関連銘柄の株価に浮揚力を与えている。そのなか、同じ半導体の範疇でもパワー半導体については脱炭素のキーアイテムとして旺盛な需要が続いていることが明らかとなってきた。タカトリ<6338>の商いを伴う急騰劇はその象徴で、前日取り上げた三社電機製作所<6882>も軌道に乗った。同関連の出遅れ組ではワイエイシイホールディングス<6298>、そしてキョウデン<6881>あたりが要注目となる。
あすのスケジュールでは、日銀金融政策決定会合の議事要旨(9月21~22日開催分)と10月のマネタリーベースが朝方取引開始前に発表される。また、10月の財政資金対民間収支が午後取引終了後に開示される。海外では、10月の独失業率、10月のADP全米雇用リポート、FOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見など。国内主要企業の決算発表では、Zホールディングス<4689>、住友電気工業<5802>、ミネベアミツミ<6479>、エイチ・ツー・オー リテイリング<8242>、野村ホールディングス<8604>など。海外ではクアルコム<QCOM>、イーベイ<EBAY>などの決算発表がある。(銀)
出所:MINKABU PRESS