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2715 エレマテック

東証P
1,997円
前日比
+59
+3.04%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.6 1.18 4.51 6.49
時価総額 845億円
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エレマテック Research Memo(3):多数の商材・取引先を生かして業績の安定成長を実現


■会社概要

2. 特長と強み
(1) 豊富な商材と盤石な顧客基盤
エレマテック<2715>の特長としてまず挙げられるのは、多数の取引先と商材を抱える点だ。仕入先は約7,200社(メーカー)にのぼり、一方で約6,200社の販売先(ユーザー)に対して、電子材料や電子部品を中心とする広範囲で多様な商材の取引を行っている。個別の仕入先及び販売先は開示されていないが、主な販売先上位10社が売上高の約45%(2022年3月期)を占める。このように仕入先や販売先、取扱商品が分散されているため、業績は特定の顧客や製品の動向に大きく左右されることが少なく、安定した成長の持続が可能となっている。

(2) 提案力と製造能力(拠点)
多数の顧客を抱えていることから、同社は顧客から多くの要望を受ける。その一方で、長年にわたり多くの商材を取り扱ってきたことから、多数の商材の特色・特性を知り尽くしており、この商材の特色や過去のノウハウを組み合わせることで、顧客の要望に応える力を持っている。また単に顧客要望に応えるだけでなく、そのニーズを先読みして、自ら提案する力を有しているのも同社の強みだろう。要するに「受け身」(Passive)の事業展開だけでなく、「能動的」(Active)な事業展開を行えるのだ。

さらに同社の場合、製造部門(国内1工場、海外2工場、多数の製造委託先)を有していることも強みだ。これによって、単に部材を販売するだけでなく、顧客の要望に応じてモジュール品やカスタマイズ品、半製品を提供することができる。ある意味で、顧客にとっては「便利で都合の良いベンダー」かもしれないが、この事実によって、多くの顧客が同社とのビジネスを長年継続しているとも言え、この点も同社の強みだろう。

(3) 立体的な収益構造
一般的な電子部品商社の場合、収益を拡大するためには顧客(X軸)と商材(Y軸)が重要な要素となり、平面的な収益構造と言える。しかし同社の場合は、これに加えて企画(提案)・製造・品質管理などの第3軸(Z軸)の要素も持っている。言い換えれば収益構造が立体的になっていると言える。

特に近年は単なる商社機能から企画力・提案力を強めており、Z軸方向が高く(厚く)なってきている。一般的な建物に喩えれば、高いビルほど強く崩れにくい構造であることと同様で、同社の収益構造は強く、簡単には崩れないと言える。このように立体的な収益構造を有している点も同社の特色であり強みだろう。

3. 主なサービス・機能
同社が提供しているのは、最適な部材の供給、信用供与・ファイナンス、納期・在庫の管理といったエレクトロニクス商社としてのベーシックなサービス・機能だけではない。企画開発・設計、製造サービスなど、より高度で付加価値の高いサービス・機能も提供している。同社では特色として以下のような5つのサービス・機能を掲げているが、こうした機能があるからこそ、多様な商材をビジネスにつなげ、業績に落とし込むことができていると言えるだろう。

(1) 企画開発・設計
営業部門・開発部門・技術部が連携し、新しいパーツやユニットを企画開発・設計する。
(2) 調達代行サービス
顧客が求める品質・コスト・納期に最適な部材の調達を代行する。
(3) 製造サービス
自社工場や国内外の優良な外部委託を活用し、カスタマイズ品・モジュール品、完成品(ODM)を提供する。
(4) 品質・環境マネジメント
高品質な製品を届けるために、高度な品質管理体制を確立している。
(5) 海外ネットワーク
ワールドワイドなネットワークを使って、スムーズなグローバル物流を実現している。

以上のように、同社は単なる部品商社ではなく様々なサービスや機能を有している。言い換えれば、上記の「5つのサービスや機能」を提供することで単純な商社機能に付加価値を加え、その結果として相対的に高い粗利率を維持している。今後も「5つのサービスと機能」をより活用していくことで、同社の粗利率はさらに向上していくはずだ。


「機を見るに敏」の戦略で収益成長を維持してきた
4. 長期業績推移
同社の長期的な業績推移を振り返ると、浮沈の激しいエレクトロニクス業界に身を置きながら、経済サイクルや製品サイクルなどの波を乗り越えて安定成長を果たしてきたと言えるだろう。2000年代初めは携帯電話関連で伸びたが、その中身はFPC(プリント配線板)の部材や基板実装、光学フィルムなどが主要な商材だった。2010年前後は地デジ移行などもあって液晶テレビ関連の部材が大きなビジネスとなった。また、2010年以降はスマートフォンやタブレットが急成長商品として台頭し、同社はそこに各種フィルム類やガラス類などを販売してリーマンショックからの迅速な回復と、連続最高益の更新を達成した。ここ数年は今までのスマートフォン市場が成熟化したことで業績の踊り場を迎えた形となっているが、ドライブレコーダーなど企画力・提案力を強めることで成長を維持している。さらに同社にとって次の成長市場は自動車関連と海外顧客攻略に移行しつつある。多数の取引先と多様な商材を有するだけでなく、提案・製造の力も持っている同社にとっては、一段と商機が拡大すると期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《ST》

 提供:フィスコ

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