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シノケンG Research Memo(9):アパート販売とストックビジネスの好調持続で2ケタ増収増益見込む


■今後の見通し

1. 2017年12月期の業績見通し
2017年12月期の連結業績は、売上高は前期比29.2%増の105,000百万円、営業利益が同10.7%増の11,700百万円、経常利益が同11.2%増の11,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同17.1%増の7,800百万円と2ケタ増収増益が続く見通し。セグメント別の業績は開示されていないが、主力のアパート販売事業が東京エリアを中心に今期も高成長が見込まれており、それに連動する格好で不動産賃貸管理事業や金融・保証関連事業等のストックビジネスも2ケタ成長を持続する。唯一、マンション販売事業については、減収減益を見込んでいるが、2017年1~3月の販売状況は計画を超過しているもようだ。

また、営業利益率が前期の13.0%から11.1%へ低下するが、これはアパート販売事業で東京エリアの販売構成比が上昇することに加え、利益率の高いマンション販売事業の収益性が売上減に伴い低下することが要因となっている。ただ、シノケングループ<8909>は期初計画を保守的に出す傾向にあり、今期も市場環境に大きな変化がなければ会社計画を上回る可能性は高いと弊社では見ている。

不動産調査会社(株)タスの調べによると、首都圏では2015年夏以降、アパートの空室率が上昇し直近では30%を超える水準に達し、「空き家」問題の深刻化がメディア等でも取り上げられている。要因としては、2015年の税制改正により相続税の課税対象が広がったことで、相続税対策目的のアパート新築が増えたことが挙げられる。実際、2016年の国内の貸家着工件数は前年比10.5%増の41.8万戸と8年ぶりに40万戸台に回復しており、また、個人への貸家業を目的とした新規貸出額も前年比で21%増と高い伸びとなっている。

このためアパート販売の先行きは業界全体では厳しいとの見方が一般的だが、同社については例外で高成長が続くものと考えられる。前述したように同社の場合、販売物件を人気の高いエリアで、対象入居者についても増加傾向が続いている単身者世帯やDINKS世帯用のアパートに絞っていることで、空室率は直近でも約3%と極めて低い水準が続いていることが要因だ。投資家から見れば、こうした物件は安定した利回りが期待できるため、安心して購入することができるわけで、同社のここ数年の高成長もこうした販売戦略が奏効した結果と言える。同社ではアパート販売棟数について、数年後に1,000棟(前期実績530棟)まで拡大していくことは可能と見ており、今後も東京エリアを中心に事業を拡大していく方針となっている。

さらに、新サービスとして2017年4月より電力販売サービスの開始も予定している。連結子会社のエスケーエナジーがシノケンの販売・管理を行うアパート、マンションの入居者約2万世帯に対して、「シノケンでんき」に切り替えを促していく。電気とLPガスのセット供給により、手続きの簡素化やコストの削減など入居者メリットを訴求することで契約を獲得していく戦略となっている。1年目に約1万世帯、3年以内に5万世帯以上の契約を目指していく。電力料金は単身世帯で月額5千円前後となるため、収益に与える影響は軽微だが、生活インフラサービスを充実することで、販売物件の付加価値が向上し、入居率の維持向上につながる取り組みとして注目される。なお、インターネット接続サービスについては15年前より販売物件すべてで無料化している。

また、今期の計画には織り込んでいないものの、民泊関連事業も準備を着々と進めている。国家戦略特区指定地域である東京都大田区において、総戸数46戸のマンション用地を既に確保しており、民泊対応型とすることで従来より高利回りの投資用マンションとして開発を進めていくことを検討している。すでに、東京都港区等の行政区においても200戸程度の社有マンション物件(開発中を含む)を確保しており、今後各行政区で制定される条例に従って、基準に適合する物件を順次、民泊用として活用・運用できる体制を構築していく。関連法案が整備されれば、民泊事業も本格的に進めていく計画で、今後の動向が注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《TN》

 提供:フィスコ

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