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【特集】巴川紙 Research Memo(1):巴川コーポレーションに商号変更


■要約

1. 特殊紙製品を原点に「電気物性評価技術」を生かし、抄紙、塗工、粉体、粘・接着分野の新技術を生み出し成長
巴川コーポレーション<3878>は、初代社長井上源三郎(いのうえげんざぶろう)氏が電気絶縁紙のドイツ製見本を手掛かりに1900年初頭より研究開発に着手し国産化に初めて成功し、1914年に巴川製紙所を創設した。その後、電気物性評価技術、抄紙技術、粉体技術、塗工技術、粘・接着技術を生かし、数々の製品を創出し成長してきた。近年は「抄紙、粉体、塗工、粘・接着」技術に磨きをかけ、「熱・電気・電磁波」を制御する製品群「iCas(アイキャス)」の拡充や環境配慮型製品の開発を進め、高機能性材料分野へと領域を広げ企業変革を進めてきた。

2. 2024年3月期は1.4%減収、35.1%営業減益とトナー事業などの不振で収益低迷
2024年3月期の連結業績は売上高33,692百万円(前期比1.4%減)、営業利益1,331百万円(同35.1%減)、経常利益1,643百万円(同23.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益594百万円(同59.1%減)となった。売上面ではトナー事業が低調に推移、半導体・ディスプレイ関連事業は堅調に推移したものの補えず、減収を余儀なくされた。利益面ではトナー事業の減収影響が大きく、価格転嫁などの進捗、円安効果などのプラス効果を上回り、大幅減益となった。

3. 2025年3月期は3.9%増収、65.3%営業増益を見込む
2025年3月期の連結業績は売上高35,000百万円(前期比3.9%増)、営業利益2,200百万円(同65.3%増)、経常利益2,200百万円(同33.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,000百万円(同68.3%増)を予想。トナー事業や機能性シート事業の収益改善、半導体・ディスプレイ関連事業のMIX良化などで増収、利益回復を見込む。

4. 中期経営計画は見直さず、2026年3月期売上高400億円、営業利益35億円を目指す
同社は昨今の経営環境の変化や最新の業績動向を踏まえ、サスティナビリティ課題への取り組みや他社との提携、M&Aを通じた成長を含め、経営理念を再定義した。2024年1月に株式会社巴川コーポレーションに商号変更するととともに、修正第8次中期経営計画では2026年3月期を最終年度として、売上高400億円、営業利益35億円を定量目標として掲げた。

■Key Points
・2024年3月期の連結業績は1.4%減収、35.1%営業減益とトナー事業などの不振で収益低迷
・2025年3月期の連結業績は3.9%増収、65.3%営業増益とトナー事業や機能性事業の収益改善、半導体・ディスプレイ関連事業のMIX良化を見込む
・巴川コーポレーションに商号変更、2026年3月期売上高400億円、営業利益35億円を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)

《HN》

 提供:フィスコ

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