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【市況】米大統領選までのドル円相場【フィスコ・コラム】

米ドル/円 <日足> 「株探」多機能チャートより

アメリカの利下げと日本の利上げならドル売り・円買いに振れるはず。ところが、目先のドル・円相場は素直に下落しそうにありません。ドルと円の需給が絡み、過度なドル先安観の修正が想定されるためです。11月の米大統領選までドルは底堅い値動きが予想されます。

ドル・円は9月16日に一時139円57銭まで値下がりし、年初来安値を更新。その後は米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合を経て、本格的なドル売り・円買いに向かうと思われました。しかし、市場の思惑に反して140円台に再浮上し、目下145-150円のレンジが意識されています。ドルは足元で利益確定売りに上値を抑えられながらも、緩やかに水準を切り上げている状況です。

振り返ってみると7月3日には1986年12月以来37年半ぶりのドル高・円安水準となる161円95銭まで値上がりしていました。その後の2カ月半ぐらいで昨年1年間の値動きに匹敵する22円半も下落したことになります。それを考えれば、行き過ぎたドル安・円買いの修正がみられても不自然ではありません。実際、8月前半には141円台から149円台に持ち直す場面もありました。

9月の日米中銀による政策決定後、ドル・円の底堅さが目立ちます。米連邦準備制度理事会(FRB)の4年半ぶりの政策金利引き下げは想定通りでしたが、その幅は0.50%と当初予想を上回りました。ただ、パウエル議長は今後の利下げに抑制的だったうえ、当局者による金利見通し「ドットチャート」から19人の政策メンバーの半数近くが大幅利下げに消極的だったと指摘され、売りづらい面もあるようです。

一方、日銀金融政策決定会合は想定通りの政策据え置きでした。が、前回7月の会合があまりにもタカ派的だったため、植田日銀総裁の追加利上げに慎重な姿勢への落差から円に下落圧力が強まっています。自民党総裁選では一部の候補者が金融正常化に理解を示しています。ただ、新政権が年内に解散・総選挙に踏み切るか現時点では不透明で、やはり円買いは期待できそうにありません。

もっとも、ドルが強いのは主要通貨のなかでは対円ぐらいです。ユーロ圏の経済指標は低調な内容が目立つにもかかわらず、ユーロは対ドルで昨年7月以来の高値圏に浮上。そのほかポンドは2022年3月以来、豪ドルは23年2月以来の高値を付けました。ランドをはじめ新興国通貨も対ドルで強含んでいます。ドル・円は異なる値動きで、この2年間のトレンド転換点とみられる140円が当面は下支えしそうです。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。

《ST》

 提供:フィスコ

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