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【特集】Jトラスト Research Memo(1):2024年12月期第1四半期の営業損益は計画値を9億円上回って着地

Jトラスト <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

Jトラスト<8508>は、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業などのアジアの金融事業を中心に、不動産事業も展開している。新3ヶ年計画に基づき主力の金融3事業に一層注力するとともに、不動産事業を拡大することで成長を図る計画だ。

1. 2024年12月期第1四半期の業績概要
2024年12月期第1四半期は、営業収益31,554百万円(前年同期比21.2%増)、営業損失281百万円(前年同期は10,135百万円の利益)、税引前利益563百万円(同94.8%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は38百万円(同99.6%減)の増収減益決算となった。営業収益は第1四半期としては過去最大となった。大幅減益となったのは前年同期には負ののれん発生益10,113百万円を計上したためである。主力の金融3事業では、2024年12月期第1四半期は1,203百万円の営業利益となり、計画値を14億円上回って着地した。これは日本金融事業の大幅増益に加え、東南アジア金融事業の損益が大きく改善した結果である。一方、韓国及びモンゴル金融事業は営業損失となったが計画どおりである。2023年12月期決算では保守的に貸倒引当金を積み増すなど、将来の成長を見据えた対応により予想を下回る業績結果となったが、弊社では2024年12月期から成長軌道に向けて再スタートする準備を整えたものと見ており、第1四半期にはその成果が表れていると考えている。

2. 2024年12月期の業績見通し
2024年12月期の連結業績は期初の業績予想を据え置き、営業収益128,000百万円(前期比12.0%増)、営業利益7,400百万円(同8.2%減)、税引前利益8,200百万円(同16.1%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益6,400百万円(同60.8%減)とし、営業収益は過去最高を計画している。営業利益は2023年12月期に計上した不動産事業における負ののれん発生益の剥落等の影響から減益を予想するが、負ののれん発生益を含まない実力ベースでは増益となる。親会社の所有者に帰属する当期利益については、2023年12月期にNexus Bank(株)の吸収合併に伴う繰延税金負債の戻入れがあったが、2024年12月期は法人所得税費用が増加することで大幅な減益となる見通しだ。事業セグメント別営業利益については、日本金融事業は保証事業と債権回収事業における安定的な収益計上から順調な利益拡大を予想する。韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業、投資事業では黒字転換を計画する。投資事業では、シンガポール高等院の判決に基づき回収益を計上する予定だ。不動産事業では負ののれん発生益が剥落するものの、事業規模拡大に伴い利益計上を計画する。ただ、期初の業績予想は極めて保守的であると弊社では見ている。

3. 中長期の成長戦略
同社グループは、3ヶ年計画(2024年12月期~2026年12月期)を推進しており、2026年12月期に営業収益1,529億円、営業利益178億円の目標を掲げた。事業セグメント別では、日本金融事業は引き続き安定的な利益を計上し、韓国及びモンゴル金融事業も黒字転換して安定利益を見込む。東南アジア金融事業はJ トラスト銀行インドネシアを中心に利益拡大が見込まれ、成長ドライバーとして期待される。この結果、金融3事業の営業利益は、2024年12月期の82億円から2026年12月期には186億円への大幅増益を計画している。さらに、2022年3月に傘下に収めたJトラストグローバル証券(株)は新たな金融商品の提供を開始し、(株)日本保証の保証残高の拡大を目指しており、M&Aによる増収増益も期待できる。2023年2月には(株)ミライノベート(2023年1月上場廃止)を吸収合併するなど、不動産事業の拡大も同社グループの成長に貢献すると見られる。

■Key Points
・2024年12月期第1四半期は、負ののれん発生益を除いた営業利益は計画値を上回って着地。金融3事業の黒字化が貢献
・ 2024年12月期は、2023年12月期の特殊要因がなくなり営業利益は減益を予想するが、実力ベースでは増益の見込み
・中長期的には、日本金融事業と韓国及びモンゴル金融事業での安定的な事業運営のほか、東南アジア金融事業の拡大及び不動産事業の貢献などにより利益を伸ばし、グループの持続的な成長を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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 提供:フィスコ

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