【注目】話題株ピックアップ【夕刊】(1):小糸製、日東電、キヤノン
小糸製 <日足> 「株探」多機能チャートより
愛三工業<7283>が商い増勢のなか大幅高、一時11%を超える上昇で949円まで上値を伸ばし、約3週間ぶりに900円台に乗せてきた。トヨタ系自動車部品会社で燃料ポンプや燃料噴射システムが主力だが、電動車制御システム分野への展開も力を入れ電気自動車(EV)シフトに対応している。足もとの業績も好調だ。26日取引終了後に発表した23年3月期決算は営業利益が前の期比39%増の136億3200万円と急拡大した。24年3月期の同利益については前期比2.7%増の140億円と伸び率は鈍化するものの増益基調をキープする見込みで安心感が広がった。同社は時価予想PERが6倍台、PBRは0.5倍台と非常に割安感が強く、東証が要請している低PBR改善策への期待も内包する。なお、株主還元に関しては既にかなり積極的であり、24年3月期の年間配当は40円(前期実績は35円)を計画、配当利回りに換算して4.4%前後と高水準だ。
■東海理化電機製作所 <6995> 1,818円 +163 円 (+9.9%) 本日終値 東証プライム 上昇率2位
東海理化電機製作所<6995>が大幅高で年初来高値更新。前日26日場中に発表した23年3月期決算は大きく上振れし、売上高が前の期比13.5%増の5531億2400万円(従来予想5400億円)、純利益が同3.1倍の109億円(同70億円)だった。続く24年3月期業績も堅調な見通しを示しており、これを評価した買いが続いている。円安や客先台数の増加、北米を中心に原材料やエネルギー費用の価格高騰分の回収が進んだことが業績を押し上げた。また、繰延税金資産の回収可能性を検討し、法人税等調整額を変更したことが利益面で寄与した。期末配当も従来予想の30円から34円に増額した。これにより年間配当は64円(前の期60円)となる。24年3月期業績予想については、売上高を前期比3.1%増の5700億円、純利益を同0.9%増の110億円とした。年間配当は前期比同額の64円を見込む。
■山洋電気 <6516> 6,570円 +500 円 (+8.2%) 本日終値 東証プライム 上昇率3位
山洋電気<6516>が急反発し、年初来高値を更新した。この日、23年3月期の連結決算発表とともに、24年3月期の業績予想を開示。今期の最終利益は前期比9.5%増の125億円の見通しで、前期に続き最高益を更新する計画を示した。更に、増配予想も発表しており、これらを評価した買いが集まったようだ。今期の売上収益は同8.5%増の1311億円を見込む。また、これまで130円としていた前期の年間配当予想を5円増額して135円に修正。そのうえで、今期の年間配当は前期比5円増配の140円を予定する。23年3月期の連結決算は、売上収益が前の期比19.5%増の1208億300万円、最終利益は同26.6%増の114億1000万円だった。通信装置やロボット、半導体製造装置などのファクトリーオートメーション市場からの需要が堅調に推移した。
■野村マイクロ <6254> 4,050円 +300 円 (+8.0%) 本日終値 東証プライム 上昇率4位
野村マイクロ・サイエンス<6254>に物色人気集中、カイ気配スタートで急伸。半導体業界向けを中心とする超純水装置の大手で、海外売上高比率が高く、特に韓国と台湾大手半導体メーカー向けで実績が高い。旺盛な半導体設備投資需要を背景に足もとの業績は会社側の想定を上回り絶好調に推移しており、26日取引終了後に、23年3月期の業績予想の上方修正と株主還元策の強化を発表した。営業利益は従来予想の50億円から65億円(前の期比47%増)に大幅に増額した。3期連続の大幅ピーク利益更新となる。好業績を背景に年間配当も従来計画の100円に大きく上乗せし、150円(前の期実績は95円)とすることも併せて発表、これがポジティブサプライズとなり株価を強く刺激する格好となった。
■小糸製作所 <7276> 2,592円 +166 円 (+6.8%) 本日終値 東証プライム 上昇率7位
小糸製作所<7276>が大幅反発。26日の取引終了後、23年3月期の連結決算とともに、取得総数1600万株(自己株式を除く発行済み株式総数の4.98%)、取得総額350億円を上限とする自社株買いの実施を発表した。取得期間は4月27日から2024年1月31日まで。あわせて開示した24年3月期の連結業績予想では、売上高は前期比7.2%増の9270億円、最終利益は同41.6%増の420億円を見込む。これらを好感した買いが集まったようだ。今期は半導体不足が納入先の自動車メーカーの生産に及ぼす影響が徐々に解消されると予測。日本・北米を中心とした新規受注なども奏功する。23年3月期の売上高は前の期比13.7%増の8647億1900万円、最終利益が同22.6%減の296億6000万円だった。
■日東電工 <6988> 8,780円 +510 円 (+6.2%) 本日終値 東証プライム 上昇率10位
日東電工<6988>が3日ぶりに反発した。26日の取引終了後、23年3月期の連結決算発表にあわせ、24年3月期の業績と配当予想を開示した。今期の最終利益は前期比0.8%増の1100億円と微増益ながら最高益の更新を見込む。更に、年間配当予想は同20円増配の260円を計画しており、好感されたようだ。今期の売上収益は同0.6%増の9350億円を見込む。光学フィルムを手掛けるオプトロニクス部門で減収減益を見込む半面、核酸受託製造に使用される合成材料の需要増加などを背景にヒューマンライフ部門では増収増益を計画している。
■キヤノン <7751> 3,162円 +156 円 (+5.2%) 本日終値
キヤノン<7751>が3日続伸し、年初来高値を連日で更新した。26日の取引終了後、23年12月期第1四半期(1~3月)の連結決算発表にあわせ、通期の業績予想を上方修正した。今期の売上高はこれまでの予想の4兆2870億円から4兆3130億円(前期比7.0%増)に、最終利益は2700億円から2850億円(同16.8%増)に見直しており、好感されたようだ。想定為替レートは1ドル=130円、1ユーロ=140円で据え置いた。デジタルカメラなどを手掛けるイメージングビジネスユニットでは、ミラーレスの新製品によりプロダクトミックスが改善。同ユニットの売上高と営業利益の見通しを引き上げた。
■ジェイテクト <6473> 1,077円 +52 円 (+5.1%) 本日終値
ジェイテクト<6473>は全般地合い悪のなか、逆行高で一時57円高の1082円まで上値を伸ばし3月9日につけた年初来高値1100円を視界に捉えてきた。軸受けメーカー大手で自動車向けパワーステアリングや工作機械などでも高い実績を持つ。自動車部品が好調なほか、軸受けも高水準の需要獲得が進んでいる。26日取引終了後、23年3月期の業績予想の修正を発表した。売上高は従来予想を若干減額したものの、最終利益を従来見通しの250億円から340億円に大幅増額、前の期比では64%増の急拡大となる。コスト削減努力を進める一方、製品価格の値上げ効果が利益に反映され、米国での税負担減少効果も発現する。PBRが0.5倍台と超割安圏にあることで、買いが誘導されやすくなっている面もあるようだ。
■デンヨー <6517> 1,850円 +85 円 (+4.8%) 本日終値
デンヨー<6517>が後場動意づき、年初来高値を更新した。同社はきょう午後2時ごろ、23年3月期通期の連結業績予想修正を発表。営業利益の見通しを従来の34億円から48億5000万円(前の期比32.8%増)に引き上げたことが好感されたようだ。売上高予想も600億円から640億円(同16.0%増)に上方修正した。日米市場の需要が堅調だったほか、アジア市場も円安などを追い風に順調に回復。原材料コストの高騰で原価が上昇したものの、その一部を販売価格に反映したことも寄与した。また、期末配当を従来計画比2円増額の27円とすることも発表。これにより、中間配23円をあわせた年間配当は50円(前の期実績は47円)となる。
■MARUWA <5344> 17,490円 +730 円 (+4.4%) 本日終値
MARUWA<5344>が大幅反発。同社はきょう午前10時40分ごろ、24年3月期通期の連結業績予想を公表。営業利益の見通しを前期比4.3%増の210億円としていることや、年間配当計画を前期比8円増配の86円としていることが好感されたようだ。売上高は同4.6%増の615億円を見込む。半導体市場の先行きに不透明感があるものの、一方で電気自動車(EV)向け事業は引き続き好調を維持できるとみている。
株探ニュース