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【特集】藤代宏一氏【上値追い続く日経平均、GW前は売りか買いか】(1) <相場観特集>

藤代宏一氏(第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト)

―2万8000円台半ばで強弱拮抗、決算期突入でどうなる―

 週明け17日の東京株式市場は日経平均株価が前週末終値近辺でもみ合う展開となったが、後場に入ると買いが優勢となり7日続伸となった。ただ、前週末に大幅高に買われ2万8000円台半ばに歩を進めたものの、足もとはやや買い疲れ感も出ている。また、企業の決算発表シーズン突入で、今後は模様眺めムードも想定されるところだが、投資家はこの場面でどう対処すべきか。先読みに定評のあるベテラン市場関係者2人に当面の株式市場の見通しについて意見を聞いた。

●「日本の内需の強さを株式市場は評価」

藤代宏一氏(第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト)

 日本の内需はかなり強いという印象だ。製造業は、米国を中心とする外需の落ち込みの影響を受けているが、非製造業を中心とする内需がそれを補っている格好だ。景気ウォッチャー調査をみても、現状・先行きともに50を上回っている。また、日銀短観でも製造業は下向きだが、非製造業は改善が進んでいる。

 過去数年、抑制されてきた旅行や飲食の需要が回復していることに加え、賃金の上昇が効いていると思う。今年の春闘は想定を上回る賃上げを達成した。この賃上げが国内の消費につながっているようだ。中国からのインバウンドが、まだ回復しないのにこれだけ持ち直している。その一方、米国は金融不安のなか信用収縮で企業収益が下押しされることが警戒されている。今後数ヵ月で米国の経済指標は悪化する可能性が高いと思う。

 しかし、日本はインフレが経済に与えた影響も米国に比べれば小さかった。足もとで日本株は堅調な値動きとなっているが、日本はこれらの要因からも積極的に選ばれている面はあると思う。今後をみるうえでのリスクシナリオは、米国で信用収縮が起こり、失業率が急上昇するようなことだ。その場合、日本も影響を受けるだろう。

 5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利上げは行われそうだが、それで打ち止めとなりそうだ。4月下旬の植田新総裁の下で初めて開かれる日銀金融政策決定会合での長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正は見送られそうだ。

 今後1ヵ月程度の日経平均株価の予想レンジは2万8000円を中心にプラス・マイナス1500円のレンジを想定している。トレンドは強含みの状況にある。やはり消費・小売りなど内需セクターに注目したい。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ふじしろ・こういち)
第一生命経済研究所経済調査部・主席エコノミスト。担当は金融市場全般。2005年4月、第一生命保険入社。08年、みずほ証券出向。10年4月第一生命経済研究所出向、同年7月内閣府経済財政分析担当へ2年間出向。12年7月副主任エコノミストを経て、15年4月より現職。

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