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【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】主要企業の決算を控え模様眺めムードも、押し目買い意欲は強い

RAKAN RICERCA 代表取締役 会長 村瀬智一

主要企業の決算を控え模様眺めムードも、押し目買い意欲は強い

●日経平均は3月高値が射程に、バフェット氏の発言が後押し

 日経平均株価は6営業日続伸で4月4日の戻り高値2万8287円を突破し、3月9日以来およそ1カ月ぶりに2万8500円台を回復してきた。景気後退(リセッション)懸念が高まっていた米国では、3月の米消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)の鈍化により、5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の追加利上げで金利水準はピークを打つ(あるいは据え置く)との期待が広がり、13日のNYダウは約2カ月ぶりに3万4000ドルを回復した。

 VIX指数は18を下回り、終値では年初以降の安値をつけるなど、リスクオンムードが強まった。これに加えて、今週は米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が「日本株を追加取得する」と述べたことが話題となり、大手商社株のほか、低PBR銘柄など割安な企業を物色する動きが活発だった。さらに、小売企業の決算発表が本格化するなか、ファーストリテイリング <9983> [東証P]が決算評価によって上昇し、日経平均株価を押し上げた。

 日経平均株価は直近戻り高値を突破し、3月の年初来高値(2万8734円)が射程に入ってきた。バフェット氏の発言もあって押し目買い意欲は強そうだが、決算シーズンに入り、本格化する主要企業の決算を見極めたいとするムードも高まりやすい。ファーストリテイリングなどの決算により市場のセンチメントはひとまず改善した格好だが、小売り企業の業績も明暗が分かれており、先回り的な買いは限られよう。ゴールデンウイーク期間中の5月2日~3日にはFOMCも開催される。会合を前に手控え気分も強まるとみられ、決算やテーマ性のある銘柄での個別対応となりそうだ。

●今後、活躍が期待される「注目5銘柄」

◆PKSHA Technology <3993> [東証S]
AI(人工知能)を用いてメールやチャットデータなどからFAQを自動作成できるサービス「Knowledge Maker(ナレッジメーカー)」を手掛けており、米マイクロソフト<MSFT>のチャットアプリ「Teams」上でFAQを自動作成するサービスも提供する。クラウド業界最大手の米アマゾン・ドット・コム<AMZN>が生成AIを提供すると発表したことで、今後、生成AIの利用環境の整備が進むとともに、需要拡大に弾みがつくことが期待される。株価は足もとのリバウンドで上値を抑えられていた200日移動平均線を明確に上放れ、3月3日の年初来高値2125円が射程に入ってきた。同水準をクリアしてくると、2021年2月高値の4125円をピークとする長期調整トレンドの転換も期待できそうだ。

◆アルペン <3028> [東証P]
スポーツ専門店最大手であり、スポーツ用品店、ゴルフ用品店などを全国展開する。侍ジャパン優勝で幕を閉じたWBC後も野球熱は冷めないが、今年は他にも9~10月開催の「ラグビーワールドカップフランス」、11月開幕の「FIFAワールドカップ2026アジア2次予選」などスポーツのビッグイベントが相次ぐ。また、「3密」回避のスポーツとしてゴルフが注目を集めたが、コロナ禍が収束に向かうなかでも屋内練習場(シミュレーションゴルフ)の増加もあって、若者のゴルフ人気は高く、関連道具やウェアなどの売上寄与が期待される。株価は足もとのリバウンドで昨年12月半ば以降、上値抵抗として機能してきた200日線を突破しつつあり、長期的なボトムレンジからの上放れに期待したい。

◆アイコム <6820> [東証P]
無線通信機器大手。2月9日に2023年3月期第3四半期累計(4-12月)決算の発表と併せて、通期の連結経常利益を従来予想の20.9億円→23.9億円(前期は15.7億円)に上方修正した。欧米を中心に経済活動の正常化に伴う需要増が続くうえ、電子部品などの原材料の入手難にも改善の兆しが表れている。第4四半期の想定為替レートを1ドル=130円、1ユーロ=140円と円高に修正しているが、足もとの為替相場は同水準を上回る円安で推移を続けており、上振れ着地が期待される。株価はリバウンド基調を強めて、1月の急落局面で空けたマドを埋めつつある。ボトム圏でのレンジ上放れから、一段のリバウンド加速に期待したい。

◆ドトール・日レスホールディングス <3087> [東証P]
コーヒーやパスタ店に強みを持つ外食大手。4月14日の引け後に決算を発表。2023年2月期の連結経常損益は34.6億円の黒字(前の期は14.7億円の赤字)に浮上し、続く24年2月期の同利益は前期比2.1倍の74.4億円に急拡大する見通しとなった。年間配当は前期比2円増の32円に増配する方針。新型コロナウイルス感染症の業績に与える影響が徐々に薄らぎ、売上高の回復傾向が顕著となっている。週末14日の上昇で3月3日につけた年初来高値を更新。いったんは達成感が意識される可能性はあるものの、切り上がる13週線を支持線としたトレンドを継続しており、押し目狙いのスタンスになろう。

◆エヌ・ピー・シー <6255> [東証G]
太陽電池の製造装置大手。4月12日に2023年8月期の連結経常利益を従来予想の3億4200万円から6億6400万円に上方修正した。米国主要顧客の新工場向け装置、国内電子部品業界向け FA装置が予定通り売上に計上される見込みであるほか、下期も部品の売上が好調を維持する。これを受けて13日にストップ高、翌14日には611円まで上昇し、3月6日につけた年初来高値600円を更新してきた。ただし、14日の日足は長い上ヒゲを描き、3月高値とのダブルトップ形成も意識されやすい。押し目狙いのスタンスとなりそうだが、昨年10月の急落分を徐々に埋めてきており、昨年9月高値の730円を射程に入れる展開を想定する。

(2023年4月14日 記)

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